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【日記2022/8/14】コードを読む行動


・3200字弱


・麻婆豆腐を作ったので、さあ米を食べようと炊飯器を開けた所、水の入っていないサラサラの状態の米が熱せられてホカホカになっていた(今日のやらかしポイント)



・読了

・暗号という、「味方には伝わって欲しいけど敵には伝わって欲しくない文章」の作り方と、それによって動いた歴史について延々と綴られていた。

・私は、よくパズルとか謎解きクイズと同列に「暗号」という言葉が使われている事実が不快だ。パズルとしての暗号は、出題者が回答者に忖度しながらギリ解けるように設計されているので、暗号ではない。「暗号」という言葉について辞書を引いたりググったりしてみてほしい。

・歴史上で用いられた暗号というのは、ガチで解かれたら困るから絶対解かれないように設計されていて、美しい。

・人類が少なくとも2500年以上かけて発展させてきた英知の結晶を数日の読書で理解できるの、ありがたいね。「理解はできるけど自分が思いつくのは無理だなぁ」というコロンブスの卵みたいな話がたくさんあった。この本には絶望と希望があった。

・めっちゃ頭いい人が絶対解けない暗号の作成方法を思いついて、それを読んだ私は「こんなの解読できるわけないだろ……どうするんだ……」という深い深い絶望を覚えるのだけど、めっちゃ頭いい人がその暗号の解読方法を思いついて、それを読んだ私の脳内には薄明光線が射してくる。やはり”アルゴリズム”は美しい。

・本来なら約159,000,000,000,000,000,000通りの鍵を試さないと解けないはずの暗号を、天才数学者の閃きのおかげで17,576通り試せばよくなった瞬間とか、トんだよね。読みながらドビューンってなったもんね。

・クイックソートのwikiを読んだときもズビューンってなったし、ハフマン符号を習った時もバビューンってなったし、制御工学で微積が使われるPID制御を習った時もズガドーンってなったし、ニューラルネットワークの仕組みを知ったときもヘップバーンってなったな。

・自分じゃ一生かかっても思いつかないようなすごいアルゴリズムを理解するたびに深い深い感動があり、その感動は他の娯楽では代替できない。


・勢いのままに下巻も購読してしまった。

・一般市民も電子メールを暗号化して送受信するような時代が来るとしたらどうしても発生する「鍵配送問題」。暗号化するための鍵はどうしても定期的に会って手渡ししないといけないという問題があったのだけど、とある天才がその問題を数学で解決し、盗聴されてもオッケーな鍵を作り出すことで問題を解決した瞬間の文章、読んでてスパークが起きたね。

・私は非実用的な数学にはそこまで興味がないのだけど、数学が現実問題を解決している様はこれ以上ないくらい美しいから興味があるね……

・今まで公開鍵暗号方式に対しては「あーあの頭良い人が作った鍵ね」程度の理解度だったけど、実際にそれが発明された経緯と具体的なアルゴリズムまで読むと戦慄できるな。よく耳にしていた「RSA暗号」が三人の研究者の頭文字であることを知った時の伏線回収、カタルシスがすごいな。

・こういう本を読んでいると、「もし戦争がなかったら、暗号技術も進化しておらず、今日のような安全なインターネット通信技術はなかったのだろうか」と思ってしまうのだよね。戦争があったから今日の私は安心してゾンアマでクレカを使ったり書籍の電子データがこちらの端末で読めたりするのかもね(だからといって決して戦争を肯定するわけではないが)

・今の私らの通信を守っている暗号の鍵を交換するのに使われるRSA暗号は「素数の掛け算は一瞬でできるけど、その逆の素因数分解には天文学的な時間がかかる」という原理を応用して作られているのだけど、量子コンピュータが完成したらそれも簡単に破られちゃうらしい。

 しかし量子コンピュータが完成する前から量子コンピュータに破られない量子暗号を思いついて実験して効果を証明してる方々もいて、すごいね……早く次の展開が見たいものだ。

・その本では量子コンピュータの原理が素人にもギリ理解できるくらいの低解像度で解説されていたのだけど、あまりに直感に反しており、信用できなすぎてめまいがしてきた。シュレディンガーの猫みたいに、量子コンピュータでは粒子が観測されていない間はその回転方向が西向きの状態と東向きの状態が重ね合わされた状態なので、例えばその状態の粒子を7個同時に量子コンピュータに入れたら宇宙が128(2^7)通りに分岐し、128通りの処理を同時に行ってるのと同じことになるらしい。だから1量子ビット増えるごとに計算能力が2倍になるらしい。

 「量子コンピュータ 計算速度」とかでググっても釈然とした速度がわかることはないかもしれない。

 調べた所、どうやらCPUが従来と変わるわけではなくて、あくまで従来のコンピュータに「複数の変数を同時に処理できる」という能力がつくことで処理が早くなるので、特異な処理とそうでない処理があるみたいだ。(門外漢なので全然間違ったこと言ってるかもだけど)

例えば、量子コンピュータを使っても四則演算やエクセルの表計算を高速化することはできません。

 フィクションすぎる話なので、普及して手元に出回ってくるまでは俄に信じられないな……


・なんか定期的に思うけどここ数十年の人類の進化って早すぎてウケるよね。人類が石器を発明したのが少なくとも2,600,000年前なんだけど、そこからウホウホと2,100,000年ほど過ごしたあたりで火を発明し、ウホウホと500,000年ほど過ごしたら「雷って、電気だ!」ということに気づき、そこから300年くらいしたら世界中の一般市民が「絵を自動生成する鉄板」で遊んでるんだもんな。

 まだ人類が「インターネットを作れるかも」と思いついてから100年経ってないんだぜ? 石器→火に2,100,000年かかってた頃と大違いすぎる。



・暗号解読(上)とグーグル検索と日記編集画面を三角食べしていたら、エニグマを解いた天才を主役にした「イミテーションゲーム」なるノンフィクション映画あることを知った。アマプラにあったので視聴。以下ネタバレ感想(半分史実なのでネタバレもクソもないのだけど)

https://www.amazon.co.jp/dp/B015S8Y08Q

・主人公が天才アスペなのが”良い”な。私の好みとして、完全無欠の天才よりも、「知能と引き換えに他の何らかの能力が著しく欠如している天才」の方が愛くるしいかもしれない(フィクションにおいての話ね)。

・普通の人は歪曲表現とか皮肉表現で「意味通りじゃない会話」をするし、初対面の人ともアイコンタクトや会話の空気感で恋愛感情の有無をそれとなく確認したりといった高度なコミュニケーションをするけど、主人公にはそれがわからないのだ。かなり共感できるので感情移入して見てしまった。

・私が知識として知っていた「チューリングマシン」「チューリングテスト」「チューリング完全」って全部この人の名前から来てるのか……という納得があった。

・歴史家たち曰く、この天才がいなければ第二次世界大戦の終結はあと2年以上遅れていて、あと1400万人以上の死人が出ていたらしい。

・途中、暗号解読した文から「Uボートが旅客船団を攻撃しようとしている」という事実を知り、それを救おうと言い出す皆にチューリングが「いや、そんなことしたらエニグマを解読したのがバレて戦争に勝てなくなる」と言って聞かせた瞬間、まさにトロッコ問題と同じだったな。目の前で約500人の民間人が殺されるのを黙って見過ごすことで戦争の終結を早めることができる舵を自分が握っていたとき、どうするか?


・急におわり

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