【日記2024/3/10】DEPPA 感想

・1400字強

・好きな絵師のどこが好きなのか、言語化することで再現可能な部分を取り出せるかもしれないよね。


 絵、もちろん「本気で描かれた絵」から学べることもあるけど、私はそれよりも、こうして「最小時間で最大画力を発揮しているような手抜き絵」の方が、その絵師がデッサンをどういう方向性で理解しているのか直に覗けている気がするので好きだ。

 上の絵の表現はすごい。彼は人体をそう認識しているのか……たぶん「斬新な表現をやってやろう」という意識で描いたのではなくて、誰も見ていないであろう部分を(面倒くさいから)省略した結果にこういう絵になったのではないだろうかと思っている。

 漫画のどうでもいいコマを埋めるとき、およそ注目されない部分はこれくらい大胆に省いてもいいのかもしれない。描くのに時間がかからない絵は、見るのにも時間がかからない。描くのをサボる方法を突き詰めたら、それは見やすさにも繋がる可能性がある。それがデフォルメの魅力の一つだと思う。


 すごいよね、人間の認知能力への信頼が。体って部分的には描かなくてもいいのか。

 人間の認知能力への信頼がないと、「ここまで崩していいのか」という大胆なデフォルメ絵って描けない気がする。

 自分は漫画を描くとき、黒/グレー/ホワイトグレー/白の4色くらいで塗りをしている(グレースケールで描くか、あるいはモノクロならトーンを使っている)。ふと、「なぜ自分は5色以上使わないのか」と考えたけど、四色定理があるからかもしれない。自分は「隣接する2つの領域は、同じ色だと見分けづらいから、極力違う色にした方が認知に優しいよね」というマイルールに則って絵を描いているのだけど、そうすると自然に4色に落ち着いたのだ。


過去絵

 極端な話、全部が白で塗られていると(つまり線画の状態だと)、認知しづらくないだろうか? 細部を舐めるように見れば「部分部分は上手いね」という感想は湧くかもしれないけど、全体として上手いかどうかって、直感的にはわかりづらくないですか。

 そんなわけで、私は完全に人間の認知能力をナメているので、塗りは4色でやっている。

 でもね~~~モンキーパンチ先生はトーンを使わないので、ペンから出せる白黒だけで勝負しているのだよね。そしてそれはとても見やすい。

 まずは読者の認知能力を信頼しないと、私はモンキーパンチ先生には近づけない気がする。



 このリプツリー、すぎる……

 今さらだけど、描きたいオブジェクトの、手前と奥にそれぞれオブジェクトを描き、レイヤーが3層以上になるようにすると遠近感が出るよね。ただのキャラを描くときも、大胆に遠近法を使うだけで見せゴマであることがわかりやすくなる。今さらだけど。



 絵が、流れている……

 自分も、たまに「この絵は上手く描けた(当社比)」と思うとき、描く前から流れが見えている場合が多いかもしれない。


 モンキーパンチ先生の絵も、かなり絵が流れている。

ルパン三世 単行本未収録作品集 (アクションコミックス) Kindle版 103ページ
新ルパン三世8 91ページ

 これとか、かなりすごい。現実の人間は格闘するときこんなポーズにはならないのだけど、影絵映えする誇張表現が気持ち良い。

 新ルパン三世、一部はKindle Unlimitedで読めるのでどうぞよしなに。全部1~2話完結の話だよ。


・好きな絵師がなぜ好きなのかの言語化、有意義かもしれない。自分の中で、暗黙知が形式知になった。


・おわり

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?