ぼんやりとした小説を書いています。

過去を抱いて今は眠るの 4

宮園恵(ミヤゾノ メグミ)が連れてこられたのは、体育館裏にある倉庫だった。

 昼休みに足を運んだ時と同じく、湿った土の匂いがまだ辺りに強く残っている。風が吹くたびに、伸び放題になっている雑草や木々が音を立てて、メグミの恐怖心をくすぐった。

 渡良瀬誘(ワタラセ イザナ)は慣れた手つきでワイシャツの胸ポケットから鍵を取り出し、真ん中の扉の鍵穴に差し込む。

 「ねぇ、なんでここの鍵なんか持ってる

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【お知らせ】セイエン文庫さんにて朗読して頂きました「ねぇ、先生。」が期間限定で無料公開キャンペーンを実施中です!お耳に時間のある方はぜひ!ぜひぜひこの機会に聞いてみてください!素敵な声にきっとくらくらしてしまいますよ。
https://note.mu/seienbunko/n/n226ddac27c84

過去を抱いて今は眠るの 3

「おい!ミヤゾノちょっと来い!入学してからずっとお前のことが気になってたんだ!」

 という渡良瀬誘(ワタラセ イザナ)の声に、一年一組の教室に居た誰もが言葉を失っていた。雑談で溢れていた教室はしんと静まり返り、遠くで蝉の鳴く声が聞こえる。

 がたん。

 と、音を立てて椅子から立ち上がったのは、宮園恵(ミヤゾノ メグミ)ではなく、千葉茉由(チバ マユ)だった。

 いっぽう名前を呼ばれたメグミ

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過去を抱いて今は眠るの 2

「そろそろ元気出しなよぉ。何かひどいこと言われちゃった?」

 というのんきな声と共に、机に突っ伏していた宮園恵(ミヤゾノ メグミ)に飴の袋が差し出された。メグミは何のためらいもなくその袋に手を突っ込む。声をかけてきたのはクラスメイトの千葉茉由(チバ マユ)だった。メグミのことを心配そうに見つめている。

 学校中で「変人」と呼ばれているワタラセの元を訪れてから、メグミはすっかりしょぼくれてしまっ

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【告知】セイエン文庫様にて「0.3ミリ」「待ち焦がれながら真夜中に」「ねぇ、先生」を朗読して頂きました。私の作品だとは思えないほど、とっも素晴らしく仕上がっています。最高です。有料マガジンですが、一人でも多くの方に聴いて頂きたいです。
https://note.mu/seienbunko/m/mc8ba7bfbb37f

過去を抱いて今は眠るの 4

宮園恵(ミヤゾノ メグミ)が連れてこられたのは、体育館裏にある倉庫だった。

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 渡良瀬誘(ワタラセ イザナ)は慣れた手つきでワイシャツの胸ポケットから鍵を取り出し、真ん中の扉の鍵穴に差し込む。

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過去を抱いて今は眠るの 3

「おい!ミヤゾノちょっと来い!入学してからずっとお前のことが気になってたんだ!」

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 がたん。

 と、音を立てて椅子から立ち上がったのは、宮園恵(ミヤゾノ メグミ)ではなく、千葉茉由(チバ マユ)だった。

 いっぽう名前を呼ばれたメグミ

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過去を抱いて今は眠るの 2

「そろそろ元気出しなよぉ。何かひどいこと言われちゃった?」

 というのんきな声と共に、机に突っ伏していた宮園恵(ミヤゾノ メグミ)に飴の袋が差し出された。メグミは何のためらいもなくその袋に手を突っ込む。声をかけてきたのはクラスメイトの千葉茉由(チバ マユ)だった。メグミのことを心配そうに見つめている。

 学校中で「変人」と呼ばれているワタラセの元を訪れてから、メグミはすっかりしょぼくれてしまっ

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