ぼんやりとした小説を書いています。

キラキラとは程遠い。9

美術室には彼以外誰も居ない。

 静かにドアを開けたのに、タケオは私の気配に気づいたようで顔を上げた。夕日で彼の栗色の髪の毛が赤く染まっている。眩しそうに目を細めるので、私は日が差し込む窓際まで歩いて、そっとカーテンを閉めた。

 「あ、ごめん。ありがとう」

 そう言うと、タケオは表情をほころばせて笑った。付き合い始めの頃、彼はこんな風には笑わなかった。むしろ笑顔をみせる方が珍しかったのに。喋る

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キラキラとは程遠い。9

美術室には彼以外誰も居ない。

 静かにドアを開けたのに、タケオは私の気配に気づいたようで顔を上げた。夕日で彼の栗色の髪の毛が赤く染まっている。眩しそうに目を細めるので、私は日が差し込む窓際まで歩いて、そっとカーテンを閉めた。

 「あ、ごめん。ありがとう」

 そう言うと、タケオは表情をほころばせて笑った。付き合い始めの頃、彼はこんな風には笑わなかった。むしろ笑顔をみせる方が珍しかったのに。喋る

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