エーアポンプと赤

3
ノート

エアーポンプと赤 3

リョウと私は手を繋いでいる。

 ベットの上で二人。リョウが私の横に倒れ込んでからたぶん5分くらい。それからずっと何もしゃべらず、ただ手を繋いでいる。

 彼女は私の横でクリーム色の天井を真面目な顔で見つめていた。さっきまであんなにはしゃいでいたというのに、なんだか今にも泣きだしそうな張り詰めたような顔をしている。私はゆっくりとまばたきを繰り返しながらその横顔を眺め、気づかれないように小さなため息

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エーアポンプと赤 2

夢を見ていた。

 緑色の光の上で私は体を丸めるようにして眠っていた。風が吹き、緑色の光はそよそよと音をたてた。どうやら草原に居るらしい。そう理解すると、私の周りに白や黄色の小さな花が咲きだした。雲一つない晴天で、私は日焼けも気にせず日光を体に吸収していた。

 誰かが私の頭を撫でてくれてる。逆光で姿は見えないけれど、手だけはやたらとハッキリと見えた。誰の手だろう。この細い指先を知ってるようにも、

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エアーポンプと赤 1

さよならが上手に言えないから、あたしはいつも捨てられる。

 目を覚ました時、どこに居るのかとっさに分からなかった。シーツから冷たいカビの匂いがする。クリーム色の天井。動いていない時計。埃をかぶった掃除機。洗濯物で座る場所すらないソファ。何もかも静かに、死の匂いのようなものを漂わせながら存在している。

 その中で唯一音をたてているものがあった。カーテンが閉め切られている窓辺に、忘れ去られたように

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