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工藤會トップに死刑判決

◉深作欣二監督の名作『仁義なき戦い』にもモデルとして登場した、広島のあるヤクザが、九州の連中は頭がおかしいと漏らした話を聞いたことがあります。山口組の圧力を跳ね返した広島ヤクザにしてもその異常性に驚いたのが福岡のヤクザなわけですが。その筆頭がこの工藤會(会の正字体)です。任侠道の建前として、素人を巻き込んではいけないというものがあるのですが、素人も弾くヤクザとして、

【工藤会トップ、死刑判決の裁判長に「生涯後悔するぞ」…ナンバー2は「東京の裁判官になって良かったね」】読売新聞

 特定危険指定暴力団工藤会(本部・北九州市)総裁の野村悟被告(74)に死刑判決が言い渡された。午前10時に福岡地裁で始まった判決公判は、主文の言い渡しが後回しとなり、判決理由から述べられた。野村被告は認定事実が読み上げられる間、ときおり首をかしげ、隣にいた田上被告は苦笑いを浮かべるなどしていた。
 ところが、午後4時頃に主文が言い渡されると、両被告の態度は一変。野村被告は足立勉裁判長に向かって「公正な判断をお願いしたのに全然公正じゃない」「生涯後悔するぞ」などと大きな声を上げ、無期懲役が言い渡されたナンバー2の会長の田上不美夫被告(65)も「ひどいな、あんた。足立さん」「東京の裁判官になって良かったね」などと、威圧ともとれる発言を残して退廷した。

アメリカ合衆国財務省から「世界最大の犯罪組織にあたるヤクザの中でも、最も凶暴な団体」と指摘されるほど。とうか、安倍政権以降の暴力団締め付け強化は、アメリカの意向もあるのでしょうね。アメリカのマフィアは、イタリア系移民の互助組織コーザ・ノストラが母体で、地縁血縁主義で意外と数が少ないんですよね。数人から五大ファミリーのジェノヴェーゼ一家とガンビーノ一家が約300人、他の三つのファミリーは約100人前後。山口組の最盛期2万人とか、工藤會の520人とか、損じられないでしょう。

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■工藤會とはどんな組織?■

さて、その工藤會。まぁ、無茶苦茶な集団として悪名をはせていて、その圧倒的な攻撃性と攻撃性、警察に敵対する姿勢で知られているのですが。もともと、福岡という地域が玄洋社の頭山満を生み出した土地柄で、右翼とかフィクサーと呼ばれる人間を多く生み出してきた場所。で、北九州は八幡製鉄所で知られていますが、近くに筑豊の炭鉱があり、全国から身体ひとつで食っていこうという、荒っぽい人間が集まる土地柄で、さらに気が荒くなる。結果、メチャクチャな行動をする組織が生まれたわけで。

【《工藤会トップに死刑判決》手榴弾でクラブ襲撃、12人重軽傷…「逆らう者は許さない」暴力団が北九州を“修羅の街”にするまで】文春オンライン

 かつて「暴力の街」「修羅の街」と呼ばれ、工藤会が牛耳った福岡県北九州市。しかし、福岡県警による相次ぐトップ検挙により、屋台骨はぐらつき始めた。現場を指揮した元刑事が、工藤会壊滅を本気で志すきっかけとなったという「倶楽部ぼおるど襲撃事件」の全貌を明らかにしたのが「県警VS暴力団 刑事が見たヤクザの真実」(文春新書)だ。同書の内容を抜粋した記事を再公開する。(全4回の1回目。#2、#3、#4を読む)

もうひとつ。なんというか、安部譲二先生も、ヤクザは幼児性を引きずってる胸の発言をされていましたが。なるほどと思わせる内容です。

【野村被告、被害者の言葉に「カチンときた」 看護師刺傷】朝日新聞

●クリニックでの施術
――施術を受けるクリニックは、誰が見つけたのか
 組員。「脱毛するところを見つけてくれんか」と頼みました。
――クリニックではどんな治療を受けたか
 顔と下腹部にレーザー(脱毛施術)を受けました。
――それ以外は
 (増大手術のため)亀頭に注射を4本打ちました。
――(増大手術を受ける)いきさつは
 (脱毛施術の)レーザーを当てた後、待機室で(増大手術の)パンフレットを見て「これなんかね」と聞いたら、看護師が説明してくれました。「俺もこれしてくれんかね」と頼みました。

さて、報復を示唆する発言を、トップとNo.2が繰り出した工藤會ですが。もしこれで実際に司法関係者を弾くようなマネをしたら、裁判所も警察も、本気で潰しに来るでしょうね。もちろん、言外の命令の証拠を積むだけ。でも、そこで損得計算せずやっちゃうのが、あるいみで反社の行動原理の部分がありますから。福岡県警も、事が起きたらトップの首が飛んで。この裁判自体は最高裁まで争うでしょうから、その是非の判断は10年はかかるでしょう。

■マスコミが避ける裏事情■

さて、今回の報道で、朝日新聞や毎日新聞はもちろん、読売新聞や産経新聞もほとんど報道していない事実があります。この凶悪極まりない工藤會のトップ野村悟氏と、福岡県福岡市出身で民主党政権下では復興担当相でもあった故松本龍議員が、義理の兄弟であったことです。正確には、両氏の妻が姉妹である、ということです。古い言葉で言えば相婿。もちろん、個人主義的な観点では、両者の人格は分けて考えるべきですし、疑惑だけでどうこう言うのh間違いです。

しかしながら、松本氏の大臣時代の「(今、あとから入って来たけど)お客さんが来る時は、自分が入ってからお客さんを呼べ。いいか、長幼の序がわかってる自衛隊ならそんなことやるぞ。わかった? しっかりやれよ。」などの、過去の数々の暴言を、暴力団かと思った人、宜なるかなです。松本氏の生前から、彼の実家の松本組への怪しい金の流れは批判されています。ちなみに祖父の松本治一郎は全国水平社の設立に関わった一人です。ウィキペディアにも、こんな記述が。

福岡空港は、空港用地の地権者である松本組を含む地主への地代総額が年間80億円にも達し、相場を度外視した地代のために毎年地代分の赤字を計上しているという。しかも「同和問題の解消に資するため」に固定資産税の課税は免除されてきた。これらはいわゆる「エセ同和」ではない部落解放運動の暴力的、拝金的部分を体現しているとも言われる。

関係ないですが、示現舎さんのこんなツイートが目に入ったので、転載しておきますね。

■死刑廃止議論の観点から■

派生してですが。これでまた、死刑廃止論議が盛んになるかもしれません。まぁ、事が事ですし、工藤會のやってきたことが酷すぎて、賛同の輪は広がらないでしょうけれども。さらに言えば、死刑反対論者の真の目的は、国家権力を削ることなので「現行の法律で対応可能」の一点張りで、代替案を拒否し死刑廃止のみを訴えるので。モトケン先生の提案も、効く耳もたんでしょう。日本人は本来、言霊思想で血を見るのがイヤなのだから、仮釈放も恩赦もなしの終身刑を代替として組み込むのなら、死刑廃止への賛成も多かろうに……と思うのですが。

平安時代は実際に、『薬子の変』で藤原仲成が処刑された弘仁元年(810年)から『保元の乱』で源為義らが処刑される保元元年(1156年)までの346年もの間、死刑が執行されてないんですから。死刑にされた人間の怨霊化を恐れて、なのですが。今でも日本人は呪術の世界に生きていますから。モトケン先生の提案のように、いったん死刑制度を廃止しておいて、次に恩赦なしの終身刑に例外規定を求める二段構えで、切り崩して骨抜きにすれば良いのに……と思うのですが。原理主義者の頑迷固陋さが、かえって死刑廃止を遅らせる滑稽劇。

こちらの議論も、また改めて書くかもしれませんが。どっとはらい( ´ ▽ ` )ノ

追記です。この死刑判決を出した裁判長、硬骨漢という言葉が似合いますね。裁判内容の是非は意見が分かれても、この筋の通し方は立派。

工藤會にもっとも欠けてる部分を、裁判官が見せた構図。皮肉です。

売文業者に投げ銭をしてみたい方は、ぜひどうぞ( ´ ▽ ` )ノ