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刺又が再評価?

◉上野の貴金属店の強盗を、刺又で撃退したニュースで、古来の武器が見直されているようです。一般には刺股、あるいは指叉とも表記しますが。刺股だと下半身を攻撃する武器に見えますし、指叉だと音叉みたいに感じますし。先端がU字形の金具の長柄武器、というイメージに近いのが刺又の字なので、自分はこの表記にしますが。ただの棒よりも、敵を取り押さえる武具という面で、過剰防衛にもなりづらいってのが、イメージ模様です。知り合いの教師の話では、附属池田小事件の後、導入する学校もあったようです。

【「さすまた」小学校や保育園にも配置 使い方は】長野朝日放送

東京・上野の貴金属店であった強盗未遂事件。店の関係者が「さすまた」で応戦し、犯人は逃走しました。県内の学校などにもさすまたが置いてあります。
元警察官の男性は、「もしも」に備えて、いま一度使い方の確認が必要だと話します。

26日午後7時前、東京・上野の貴金属店に3人組が押し入り、商品を奪おうとしました。
すると、店の従業員がさすまたを振り回し、犯人は逃走。
事件とともに、この「さすまた」に注目が集まっています。

https://www.abn-tv.co.jp/news-abn/?detail=00036692

ヘッダーはWikipediaのフォトギャラリーより、警察用の刺又です。

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■捕縛用三道具■

刺又は、突棒・袖搦と並ぶ捕縛用の武具。江戸時代には、三道具とも呼ばれた重要な制圧用武具。今でも、消防署のマークは刺又を図案化したものなんですよね。今だとポンプとかなんでしょうけれど。突棒は多くの刺が付いたT字型(撞木)の棒で、服や髷に絡めるためのもの。袖搦は、無数の棘がついた釣り針というか、ヒトデというかちょっと表現しにくいですが。和服が廃れ、髷も力士以外はほとんどなくなり、捕獲武器としての有用性で、刺又は現代まで生き残ったと言えますね。

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%89%E9%81%93%E5%85%B7

個人的には、先人が工夫した武器や武術は、次世代にも残ってほしいので、こういう形での刺又の再評価は嬉しいですね。攻撃用ではなく非致死性の長柄武器(ポールウェポン)で、でも高い制圧力を発揮するというのは、興味深いです。いちおう、剣道もやってた人間からすれば、刺又による突き技って、対処が難しいですからね。槍で言えばいわゆる太刀打ち、槍の中茎が収まってる部分を払えば良いのですが、二股の部分に惑わされてしまうというか。そもそも、槍対刀では、よほどの力量差がないと槍の圧勝ですから。

こうやって見ると、捕縛用の三道具はどれも、太刀打ちの部分にトゲトゲが付いていて、犯人が掴んできたときに防御になってるんですね。もちろん、打突力を高める意味もあるのでしょうけれど。現代のアルミ製刺又に、このトゲトゲは難しいでしょうけれども。掴まれにくいような工夫は、必要かも知れません。現代の刺又も、捕獲用にベルトがついてるタイプや、各メーカーが工夫していますが。そのうち、先端部分だけ鉄で、スタンガンのような機能を持ったタイプとか、機動隊用や要人警備用には生まれるかも知れませんね。

■刺又の有効性■

外国なら、銃器を持って強盗に来るので、こういうポールウェポンはあまり意味がないんでしょうけれど。日本だと、まだまだ有効でしょう。警察の場合、ジュラルミンの盾に刺又を装備しているようで。ウィキペディアに写真がありました。AmazonやYahoo!ショッピングを覗いたら、盾とセットで売っているタイプも多いですね。長柄部分は六尺、約180センチぐらいあって、さらにU字形の金具部分だけ長いですから、200センチぐらいの全長に。このロングレンジは圧倒的に有効で、防御側は手近なものを投げるしかないですね。

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%88%BA%E8%82%A1

自分は剣道家ですから、盾は不要というか。日本の剣道は、両手持ちですから、棒術や槍術や薙刀術への応用が、効きやすいんですよね。剣道の竹刀が、三尺八寸が定寸ですから、元々が四尺の棒に近く。上野の強盗団も、突きというより上からボンボンぶん殴られて、逃げ惑っていましたし。伸縮タイプで、収納時133センチで使用時206センチぐらいの刺又なら、竹刀と同じようにバンバン殴ったほうが有効でしょうね。警察の刺又、突きだけでなく、引いたときに相手を引っ掛けるパーツがついてて、これはコレで実戦的ですね。操作は難しいでしょうけれど。

武芸十八般、なんて言われますが。剣術は警棒に、砲術は拳銃に、棒術や杖術は機動隊の杖に、あんがい受け継がれているのですが。武器の王様であった弓矢と槍は、行き場がなくなりました。それでも、弓術はスポーツ武術として盛んなんですが。槍は、そういう意味では不遇。自衛隊の銃剣道に残ってはいるんですけどね。でも、刺又が再評価されれれば、槍術の後継者として、再評価されそうですね。警備員とか、コンビニのアルバイトに、刺又術のレクチャーが必須になったりして。

■武術を現代に■

コンビニや銀行、貴金属店などに、フルフェイスのヘルメットとか被った人間なら、首や胴体を狙って突いて、壁に押し付けるのが有効。管槍のような、スライド部分を実装しても便利そうです。日頃はモップとして利用。いざという時はモップ部分を踏みつけて引っ張ると、刺又に早変わりとか、そういう商品も生まれたりして。もちろん、刺又でも当たりどころによっては、犯人は死にますしね。そこは、過剰防衛にならないようにしないと。あんがい、スポーツチャンバラに、刺又が普及すると、人気が出そうな。

個人的には、社団法人全日本なぎなた連盟が、薙刀術の応用として、技術を体系化しても良いような気がするんですよね。もともと、剣道にないスネへの攻撃などもあり、スポーツ競技として非常に優れた技術体系を有していますし。なにしろ不世出の名人・園部秀雄師範が、連戦連勝であったように、女性でも体力差を埋められる武術ですから。まぁ、そのために女性の武術のイメージが強くありますが、ポールウェポンをスポーツ化に成功した、数少ない武術と言えます。

刺又独自の、相手の首や胴を押さえる技術、壁に押しつけて動きを制する技術、倒れた相手を刺又で押さえつける技術などを、薙刀本来の技術体系に上手く取り込んで、警備員などの必須技術にすれば、薙刀の普及にも貢献するでしょうし。スポーツ剣道にも、小太刀の型とかありますが。アレに近いイメージですかね。ふと思ったんですが、刺又って足払い系の技にも応用できそうな。形状的に、足元とかに突き出すと、脚が絡んで転倒しそうな。真面目に、これはスネへの技が豊富な薙刀が、応用しやすいかも。

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