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コロナ禍でも企業倒産が記録的な低水準

◉日刊工業新聞社の記事が、なかなか興味深いのでご紹介。朝日新聞や毎日新聞はもちろん、読売新聞や産経新聞の保守系新聞でも、記者に専門性がないためか、あまり突っ込んだ経済関係の記事がないですね。コロナ禍に見舞われた2021年上半期でも、企業倒産が記録的な数字であると言う報道。政府を批判することが自己目的化した新聞、あるいは不安を煽るのが自己目的化した新聞には、こういうのは〝不都合な真実〟なのでしょうかねぇ……。

【コロナ禍の21年上期・企業倒産、記録的な低水準だった理由】日刊工業新聞

 帝国データバンク(TDB)と東京商工リサーチ(TSR)が8日それぞれ発表した上期(1―6月)の企業倒産は、ともに3000件台で記録的低水準だった。TDBは2000年以降で最少、TSRは90年以来2番目に少なかった。コロナ禍が続くが政府や金融機関の資金繰り支援が奏功した。

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■サラリーマンと自営業者■

まぁ、大手全国紙に専門性がないのは、科学面も政治面も軍事面も福祉面も……そうなんですけどね。全部じゃねぇかと。もちろん、個別には専門性を備えた優れた記者は、いっぱいいますけどね。こういう記事に対しても、政府の企業優遇だとか批判を始めるのでしょうけれども。日本の就業者6311万人の内5553万人が雇用者で、その割合は87%に達します。ちなみに、正社員3302万人・非正規社員1906万人だそうです。下記リンク先参照。

それに対して自営業者は554万人で、就業者の内8%に過ぎません。そりゃあ、企業を優遇するよね、と。で、自営業者の立場から言わせてもらえば、持続化給付金100万円と家賃支援給付金で、かなり助かりました。法人化している人は、200万円でしたしね。さらに、経営者には雇用調整助成金も出ましたし。一律定額給付金をよこせと言ってるのは、これらを利用していないか、あるいは雇用を守られたサラリーマンか? 本当に困窮している人は一部では?

■持続化給付金アゲイン■

前から繰り返し書いていますが、一律10万円の定額給付金の予算が12.9兆円でした。そして、このカネの多くは貯蓄に回され、消費の刺激にはならなかったことが、統計的に解っています。政治がダメだから使いたくても使えなかったんだ、貯金に回っても意味がある───という擁護論もありますが、それを言い出したら不可知論。持続化給付金は約407万件の中小企業・個人事業者に届いた時点で約5.3兆円でした。やるなら持続化給付金アゲインでしょう。

最近、困窮世帯へ一人10万円の給付が話題になっています。これもマスコミは批判だけしていますが、生活困窮世帯への30万円給付では4兆円程度の計上額となる予定だったとの試算もあります。企業もまずまず倒産から救えていて、自営業も救えているなら、本当に困窮しているであろう家庭から、救いの手を差し伸べるのが合理的。こうやって見ると、手探りの中でも政府は、かなり的確な手を打っているのがわかります。藤田孝典氏らのTwitterデモに、自分が疑義を呈する理由です。

■TRSとTDBの下半期予測■

そりゃあ、くれる物ならいただきたいですし、金はありすぎて困るようなものでもないですから。10万円欲しくないのかと言え割れればほしいですが、そういう個人の欲望と、財政の話はまた別でしょう。政府の財源は無限ではありません。東日本大震災級の災害が起きるかもしれませんから、そこは常に明日の博打のための種銭を残す『麻雀放浪記』の坊や哲のように、政府もできる予算の中でやりくりするわけです。むしろ、選挙の票目当てでばらまく可能性はあります。

本来なら、バラマキ目的の一律定額給付金はヤメロ、ちゃんと困窮した人に届くようにしろ、と言うべきなんですが。日本の野党や野党支持者は、そういう専門性がない人が多いのか、建設的な意見がSNS上でも見かけません。帝国データバンクと東京商工リサーチの分析のほうが、素人目には信頼が置ける分析に思えます。せめて野党には、この分析の尻馬に乗っかるぐらいの強かさがほしいのですが……。健全な与党は健全な野党が鍛えると、自分は思いますので。

今後は企業の過剰債務の影響が出るとみられる。TSRは「倒産件数は夏以降増加に転じる」、TDBは「原材料価格高騰を販売価格に転嫁できない状況が今後に影響する」とみる。

どっとはらい( ´ ▽ ` )ノ

売文業者に投げ銭をしてみたい方は、ぜひどうぞ( ´ ▽ ` )ノ