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失われる技術と伝統

◉2011年の東日本大震災と、それに伴う津波による福島第一原子力発電所の事故。10年経って、ようやく少しは冷静に語ることができるようになりましたが。当時は、反原発派とそれに煽られた人達が、ヒステリックに脱原発を言い募っていましたが。元が広瀬隆氏の著書を信じ込んだ危ういモノですから、そりゃあ暴走します。結果、原子力研究的にも土木建築的にも工業技術的にも、失われた10年になりつつあります。

【「10年後に原発経験者いなくなる」 IHIや三菱重工の半端ない危機感】日経ビジネス

 横浜市の臨海部に並び立つIHIの横浜事業所。工場に入るとあちこちで鋼材を溶接する火花が散る。一見活況に見えるが、大久保亮太横浜工場長は「原発の(新規制基準適合の)安全対策工事の特需。2年は持ちこたえられるが、その後どうなるか」と吐露する。
(中略)
 「あと10年もたつと新設プラントの経験者はほとんどいなくなる」。IHIの緒方浩之原子力SBU長は危機感を募らせる。ピーク時の1980年代には原発事業の社員は約1000人いたが、足元ではほぼ半減(協力会社除く)した。設計よりも溶接や機器の組み付けなど技能系の落ち込みが深刻だという。
 「実際に出荷する機器のものづくり現場で仕事をしてはじめてどんな経験が不足しているか分かる。その機会を少しでも作らないと技能維持はおぼつかない」(緒方SBU長)

ヘッダーのイラストは、noteのフォトギャラリーより。福島第一原子力発電所だそうです。

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■国内産業維持の重要性■

この10年、無能な方の菅総理大臣によって止められた原発の、弊害は大きいです。家禄発電所などにかかった燃料費は、割高ですし(再生可能エネルギーは原発よりコストが安いとか言うのは、だいたい数字の誤魔化しがあります)。その結果、茨城県大洗町のHTTR(高温工学試験研究炉)は超高温ガス炉として10年前は世界トップクラスだったのに、今では中国の商用実証炉が先に臨界に。

そして上記記事にもあるように、現場で失われる技術の継承。そういえば、アメリカでは潜水艦がずっと原子力潜水艦だけになった結果、通常のディーゼルエンジン型の潜水艦が作れなくなったとか。こういうのって、継承が途切れると、復活させるのは難しいんですよね。日本の産業でも、外国に工場移転した結果、産業自体が消えたりする可能性は、いろんな分野で在る訳で。効率を追う危険性。

■次の総理に求められること■

とはいえ、三菱はアメリアと技術交流し、来るべき小型モジュール炉の時代に対応しようとしています。一品モノの現在の第三世代炉に比較して、小型モジュール炉はどの名のとおり、部品をまとめてモジュール化して、現地では組み立てるだけの量産がきく構造です。コレが導入されれば、三菱やIHIの懸念は解消されるでしょう。時代は変わりつつあります。アメリカでは2029年に高温ガス炉の稼働が予定されています。こんな記事を見つけました。

【原発処理水放出の「風評」、そのあやふやな正体とは? 市場関係者が語った意外な言葉】47NEWS

 「風評」って何だろう、どこで生まれているんだろう。東京電力福島第1原発事故の後、福島県を苦しめてきたこの言葉はどこかあやふやで、正体が見えずにいた。第1原発で発生した汚染水を浄化処理し保管している水を巡り、政府は海洋放出すると決めた。再び起こる可能性が高い風評の実体を探ろうと、首都圏の市場や飲食店を訪ねたところ、そこで出合ったのは意外な言葉だった。(共同通信=武田爽佳)
(中略)
 風評と闘うべきなのは、漁業者や地元自治体、国だけではない。「風評を一番ばらまいているのは、マスコミじゃん」。取材を進める中、複数の関係者に掛けられた言葉だった。報道機関は性質上、人々の懸念につながる事象が起きた時に大きく報じる。後日、詳報や検証を試みる頃には、世間の関心が薄れていることが往々にしてある。

マスコミが非科学的な言説を、両論併記の言い訳で垂れ流し、風評加害者であることを認めることが大事。次に、トリチウムは人体に影響がほぼないことをキチンと言及し、処理済み水の海洋放出を実行すること。そして原発の再稼働。次の総理に求められるのは、このプロセスを実行できるかどうか。間違っても、エネルギー問題にまったく言及できていない立憲民主党の公約とか、論外です。日本がなぜ無謀な戦争に踏み切ったか、歴史に学べばエネルギー問題を疎かにはできないはずです。

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