見出し画像

海水から水素を安価に直接製造する手法を豪大学が開発

◉エネルギー関連の話題ですが、これ自体を独立してnoteにする価値がありそうな、興味深い話題です。TOYOTAは水素エンジンに注力していますが、世界的な潮流は必ずしもそうではないです。しかし、海水から安価に水素が生成できれば、ある意味で核融合発電よりも世界を変えるかも知れません。何しろ全世界の水資源の、97%は海水ですから。これを利用できれば、内陸国以外は無尽蔵の資源を手に入れたも同然ですから。もちろん、島国で司法を海に囲まれ、世界6位の排他的経済水域を持つ日本は、とても有利な立場に。

【淡水化も精製も不要——海水から直接水素を製造する安価な手法を開発】fabcross

オーストラリアのアデレード大学化学工学科の研究チームが、淡水化や精製、アルカリ化などの前処理プロセスなしに、天然の海水をそのまま原料として直接電気分解し、水素を安価に製造する手法を考案した。表面にCr2O3層を導入したCoOxを触媒としたものであり、高価な貴金属触媒を用いて、高度に精製された水を電気分解する現行の水素製造プロセスと同等の結果が得られることを示している。研究成果が、2023年1月30日に『Nature Energy』誌に論文公開されている。

燃料電池車や発電などの分野において、CO2を排出しない次世代エネルギーとして期待されている水素は、化石燃料の部分酸化や水蒸気改質、または水の電気分解によって製造されている。特に、再生可能な電力を用いた水の電気分解は、製造工程においてもCO2を排出しないことから、最もグリーンな水素製造法として期待されている。

https://fabcross.jp/news/2023/20230304_green-hydrogen.html

ヘッダーはnoteのフォトギャラリーより、茨城の海だそうです。荒ぶる太平洋。大洗にはHTTRもありますしね。

◉…▲▼▲▽△▽▲▼▲▽△▽▲▼▲…◉

■淡水資源の供給も■

実用化されている水の電解法は、原料の前処理として、淡水化・精製・脱イオン化・アルカリ化などのプロセスが必要なんだそうですが。その触媒に、プラチナやイリジウムなど高価な貴金属を使用しており、これが製造コストのネックになっているのですが。新たな触媒を用いることで、安価に製造できるようで。この安価にってのが、大きいですね。費用対効果って、やはり重要ですから。どんなに高効率でも、莫大な費用がかかっては、アラブの産油国でないと利用できませんし。

個人的に期待するのは、これを応用すれば水素燃料を用いた発電はもちろん、海水の淡水化も簡単にできそうですね。言うまでもなく、海水から水素を取り出し、それを酸素と反応させれば、再び水になるわけで。言うまでもなく、地球上の97%が海水ということは、真水は3%しかなく。しかも、そのほとんどは南極大陸の氷なんだそうです。我々人類は、ごく少量の真水を使って、イキテルにすぎないんですね。ダニエル・クレイグ主演の007でもねたになっていたように、これからは水ビジネスが大事。

■水素とアンモニア■

けっこう以前、太陽光励起レーザーで、海水を蒸発させて真水を得ると同時に、海中に含まれるマグネシウムを燃料として利用する、という話が話題になりましたが。その後、続報もなくなってしまいましたが……。ただ、太陽光励起レーザーでなくても、こうやって水素と酸素を取り出せるならば、残りの海水の中に溶け込んでた物質は、これまた取り出せますしね。それこそ、日本のような島国は、洋上にプラントを作ってやれば、面白そうですけどね。離島の、新たな産業になったりして。海中に溶け込んだ物質は、多いですから。

化石燃料により生成されているエネルギーを、部分的または完全に代替する水素の需要は今後増大し、原料となる淡水資源が著しく不足することが予想されるが、「未だ開発初期段階であるものの、前処理プロセスまたはアルカリ添加なしに、直接海水を活用できるソリューションが得られ、既存の工業的純水電解槽と同等の結果が得られた」と、研究チームは説明する。現在、大きな電解槽を用いてシステムをスケールアップする研究を進めており、燃料電池やアンモニア合成用の水素製造など、実用プロセスに活用することを目指している。

同上

記事にも触れられていますし、このnoteでも何度か書いていますが、水素って期待では容量が大きいし、液体にするとほっとくと容器から漏れ出すし、個体にするには−259.14度の超低温が必要と、扱いに困る物質なんですが。H2Oの水の他に、NH3のアンモニアにして運ぶというのは、昔からあるアイデア。アンモニア自体が、燃えますからね。エネルギー問題を考えると、この水素とアンモニアが案外、切り札のような気がします。人工光合成とかも、もちろん絡んできますが。

どっとはらい( ´ ▽ ` )ノ

売文業者に投げ銭をしてみたい方は、ぜひどうぞ( ´ ▽ ` )ノ