見出し画像

台湾産パイナップルの対日輸出8倍

◉驚きですね。それまで台湾産パイナップルの対中輸出は約4万2000トンだったのが、突然の輸入規制で4000トンと10分の1に激減したのに。対日輸出が2000トンだったのが、1万8000トンに急増とは。中国の兵糧攻めに、思わぬ援軍です。まぁ、台湾産が美味しいのが大きいのですが。更にこの件は、対中貿易の危うさを印象付けるとともに、友好友好と連呼する連中の薄っぺらさが可視化された部分も可視化されました。韓国もこの手法で、アメリカ軍の地上配備型ミサイル迎撃システム(THAAD)の韓国国内への配備で揺さぶられ、中国に三不の誓いを出しましたし。

【台湾パインの対日輸出、中国の輸入禁止で8倍超 農家「日本に感謝」】朝日新聞

 中国から2021年に輸入禁止の措置を受けた台湾産パイナップルの日本向け輸出量が、この2年間で8倍以上に急増したことがわかった。台湾の貿易業者らは、蔡英文(ツァイインウェン)政権による輸送費への補助により、日本市場での価格競争力が得られた結果と分析している。

 台湾側の統計によると、禁輸前の20年に台湾産パイン中国向け輸出は約4万2千トン、日本向けは約2千トンだった。中国による禁輸を受けた後、21年には中国向けが約4千トンに急減する一方、日本向けは約1万8千トンに急増。22年も中国向けが約400トン、日本向けは約1万7500トンで最大の輸出先になったという。

https://www.asahi.com/articles/ASR4G538NR4CUHBI02H.html

ヘッダーはnoteのフォトギャラリーより、

◉…▲▼▲▽△▽▲▼▲▽△▽▲▼▲…◉

■政治手段としての貿易■

もちろん、対中国輸出4万2000トン引く4000トンで3万8000トン、対日輸出18000トン引く2000トンで1万6000トン、プラスマイナスでは2万2000トンで、台湾のパイナップル農家には大打撃だったんですが。それでも、目の前が真っ暗になった農家には、かなりの助けになったでしょう。個人的には、パイナップルは芯が好きといいう変わり者なので。芯まで甘い台湾産パイナップルは、好きです。台農17号という品種で、大きさは小ぶりですが日本の蜜入りりんごと一緒で、長めに成熟させるために、甘いんですね。早めに収穫すると日持ちはするんですが、酸っぱさも残りますしね。

パイナップル、パインと略されますが、パインは❘松毬《マツカサ》=pine coneの意味です。そして、リンゴのような味がするので、pine appleでパイナップルと。言われてみたら、甘味と酸味がある味は、リンゴっぽいですね。キウイフルーツも、原種が日本にも自生するサルナシという、マタタビの仲間です。これも言われてみると、種のツブツブの食感と味が、梨に似ていますよね。日本では、こんなパイナップルにペンを刺して悪ふざけする芸人がいるようですが、よくわかりませんm(_ _)m

あと、この輸入急増で日本のパイナップル農家が~と、つぶやいている人がいましたが。日本の国産パイナップルは99.9%が沖縄県産ですが、これは高級志向なので日本では庶民がそうそう買うようなものではないですね。むしろ、フィリピン産パイナップルのほうが、打撃ではないでしょうかね。日本のパイナップルは、90%がフィリピン産ですから。ただ、輸入先の多様化という点では、むしろ台湾産に分散されるのは、悪いことではないです。主要輸入国でも、40%を超える依存は、危険のように思うのですが。地理的にも、台湾産は近いので完熟タイプの輸入で棲み分けられるでしょう。

■育て、依存させ、殺す■

中国のいやらしさは、こちらの記事の方で少し触れていますね。有料記事ですので、肝心の部分は読めませんが。ただ、要点は判ります。政治的な道具として、理不尽に輸出規制をする。千かく衝突問題絡みで、レアアースの輸出規制で日本も仕掛けられた部分ですね。ただ、日本は輸入先の多角化・リサイクルの促進・レアアースの使用量を減らす技術開発・代替物質の開発などなど、いろんな対抗策を練ったのですが。米の自給率100%が実は危険なように、農産物でも資源でも、一国に大きく依存するのは避けないといけません。これは道徳的な問題ではなく、国際政治の問題として。

【「育て、依存させ、殺す」 台湾パインの活況は中国のワナだったか】朝日新聞

 「芯まで甘い」と人気を博する台湾産パイナップルは、日本の年間輸入量がこの2年間、それまでの8倍超に急増した。

 ただ、そこに至る道のりは苦かった。

 「日本には、とても感謝している」

 台湾南部・高雄市の郊外にあるパインの集荷場で昨年7月、協同組合「新農果菜生産合作社」を率いる張清泉さん(38)は真剣な表情で語った。場内では、日本向けの出荷作業が最終盤を迎えていた。猛暑のなか、組合員たちが大型冷蔵庫から、日本語の書かれたパイン入りの段ボール箱をトラックに積み込んでいく。

 そうでなければ、そのパインは行き場を失っていたかも知れない。

https://www.asahi.com/articles/ASR4G3W69QDPUHBI01W.html

そうでなくても中国は、スリランカなどでも経済的に依存させて、頃合いを見て剥ぎ取る戦略。高利貸しが最初はどんどん貸してくれて、クビが回らなくなったところで剥がしていくのと同じ手段ですね。例えば、日本の円借款を「くれるんじゃなくて貸すのはセコい」という某国民がいます。そうでしょうか? 確かに、返済する必要のないお金のほうが、有利に見えます。でも、きちんと返済することで、仮高値を元手に産業を起こし、持続的に成長するよう、知恵を絞り真面目に働く必要があります。そして、日本の借款は低利で長期。つまり、長いスパンで事業計画ができるわけです。

■敵戦計・笑裏蔵刀の計■

相手を自立させるための方法論が借款による援助です。そこがわからないと、甘い言葉につられて無償援助に騙され、中国様々と依存し、気がつくと二進も三進もいかなくなる。中華の兵法三十六計に「敵戦計」と呼ばれる戦術があります。そのひとつは、笑裏蔵刀の計。笑いの裏に刀を蔵す。敵を攻撃する前に友好的に接しておき、油断を誘う兵法です。中国の対外戦法はまさにこれで、友好友好と言いながら接近し相手を油断させ、小国なら依存させ、大国なら揺さぶる。これはいい悪いではなく、国際政治の基本です。日本人がお人好しすぎるんです。

スリランカも、政治的には大変なことになっていますが。日本の国際社会への復帰という点で、恩義があります。サンフランシスコ講和条約で、スリランカ代表のジャヤワルダナ全権は「憎悪は憎悪によってやむことなく、慈愛によってやむ」と、お釈迦様の言葉を引用し、賠償請求権を放棄し、後押しをしてくれたわけで。中国にい痛い目にあった今こそ、日本が援助の手を差し伸べて、友好国として絆を深める。これも、国際政治のいやらしい目から見たら、戦術のひとつですが。でも、損得計算だけでは、友好は築けませんので。台湾にしろスリランカにしろ、海洋国家日本にとって、大事なパートナー。

中国も、いたずらに敵対する必要はないのですが、基本的には六韜三略の国です。マキャベリ以上に完成されたマキャベリズムを有してきた国です。2500年前に書かれた兵法書『孫子』は今でも名著ですし、六韜は偽書の疑いもありましたが、銀雀山漢墓群から残巻が出土して、これまた2000年以上の歴史がある可能性が。中国は歴史的に戦争が弱かったので、そういう外交術や兵法が発達した部分があるので。侮ることなく、その戦術を見極め、対抗していかないと。聖徳太子の昔から、日本の国是は対中独立、民族自立ですから。ソフトパワーに対抗しないと、ハードパワーだけではだめです。

どっとはらい( ´ ▽ ` )ノ

売文業者に投げ銭をしてみたい方は、ぜひどうぞ( ´ ▽ ` )ノ