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また表現規制を推進する動き

◉ダイヤモンド・オンラインが、精神保健福祉士・社会福祉士の、大船榎本クリニック精神保健福祉部長の意見を取り上げているのですが。研究者でもない方の、ただの主観ですね。言ってることも、エビデンスがない。朝日新聞の記事じゃないんですから、ちゃんと世界各国の研究を参照し、科学的に議論しないといけないのに、延々とお気持ちが述べられるだけです。でも、こういう記事を繰り返し繰り返し流すことで、マスコミは勝手に世論を形成しようとしますので、注意が必要です。嘘も100回言えば真実になるの、ゲッペルス精神ですから。

【児童ポルノ愛好の小学校教師「パンドラの箱が開いた」妻子がいても女児に性加害】ダイヤモンド・オンライン

子どもとの性的行為を妄想しながら自慰にふけったり、実在しない子どもを性的に描いた創作物(マンガ、アニメ、小説など)を楽しむことを取り締まる法律はない。だが、性加害者の治療・更生に携わってきた専門家によれば、憲法19条「思想の自由」や憲法21条「表現の自由」などで守られたそうした娯楽は、小児性愛障害と診断された者の次の性加害の引き金になっているという。※本稿は、『子どもへの性加害 性的グルーミングとは何か』(幻冬舎新書)の一部を抜粋・編集したものです。

https://diamond.jp/articles/-/337419

ヘッダーはnoteのフォトギャラリーより、メイプル楓さんのイラストです。

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■実在児童性虐待記録物■

そもそも、児童ポルノという言葉自体が、言葉のイメージを勝手に拡張し、被害者のいない創作物まで規制対象に含めようというのが、そもそも詐術ですからね。本音は、表現規制でしょう。なので〝実在児童性虐待記録物〟と名前を変えようという主張が出るのは、至極まとうな話です。あくまでも守るべきは、記録物の対象となる児童個人の人権であって、創造力豊かな人のお気持ちではありません。というか、この名称のせいで混乱だけでなく、実害も出かねないわけで。

これ深刻でね。「児童”ポルノ”」という単語に拘泥したせいで、エロい部分が写ってるかどうかが基準になってしまい、児童の人権が侵害されてるかどうかは二の次になってしまってるのだ。児童が”顔射”されて下半身がどうされてようが、顔のアップのみの撮影なら、そのデータは児童ポルノとはならないと。

https://x.com/okotatsudoragon/status/1755401998084776181?s=20

現実問題、困難本末転倒が起きているわけで。上に政策あれば下に対策あり。けっきょく、こういうことをして来るわけですから。守るべきは、実在する被害者の人権です。世界各国の研究を見ても、創作物が影響を与えての犯罪は起きない、影響があっても軽微というのが主流。規制派がときどき、こういう研究があるぞ~と持ち出すのは、よく読むと保留がついていたり、酷いときには結論を真逆に捻じ曲げていたり。影響に関しては、こういうクーリエ・ジャポンの記事もあります。

人間に催眠術をかけても、殺人は非常に強い深層意識の抵抗があって、難しいとか。犯罪という一線を越えるのは元々が、そういう犯罪へのハードルが低い人間だということです。ポルノを楽しむことと犯罪を犯すことの間には、大きな隔たりがあります。もっと言えば、テレビアニメのパンチラさえ神経質に規制する国が、犯罪率で日本に圧勝しているわけで。それはもう、規制政策が間違っているか、間違ってはいなくても効果が非常に薄い、ということ。そんなものに付き合う理由はないです。

■因果関係なきお気持ち■

元記事は、長いだけでひたすらお気持ちと個人の経験が連ねてあるだけで、読むのが苦痛なんですが。栗下善行氏の、こちらの指摘が簡潔で重要です。そう、ようやく持ち出したデータも、因果関係が逆です。例えるなら「日本の犯罪者の使用した9割以上が包丁やナイフで、銃の規制より包丁の規制が重要!」みたいな主張で。銃規制が厳しい日本では、そもそも一般人が拳銃や散弾銃、ライフルを入手するハードルは、とても高いので。必然的に包丁が凶器になる可能性は高いってだけで。因果律をすり替えていますね。

「マンガ、アニメ、小説などの創作も、実在の被害者がいる児童ポルノと同じよう規制されるべき」という記事。こちらの病院の「性暴力加害者の約9割が所謂児童ポルノを持っていた」とのデータも、創作物とは書かれていないし、因果関係も逆ではないのかと。「野放し」との表現も適切ではない。

https://x.com/zkurishi/status/1754712069755314346?s=20

けっきょく、こういうデタラメを言い募って、表現規制したがる。日本国政府としては、たぶんに外国の圧力、ハッキリ言えば禁欲的なプロテスタント系の国のプレッシャー、もっと言えばアメリカの圧力があるのだろうな、と。でも、プロテスタントの国の倫理観って、『ドラえもん』はのび太の依存心を肯定し自立心を損なうと、長らく放映しないような文化なので。そういう部分を聞いて譲歩していても、どんどん攻め込んでくるだけです。反捕鯨運動と同じですよ。

■コンテンツ軽視の政府■

この1週間、芦原先生とドラマ版『セクシー田中さん』の問題が、クリエイターの間で大問題として、日本テレビと小学館が批判されています。この国は、稀有な才能であるクリエイターを蔑ろにし、組織としてのテレビ局や出版社を優遇してきたのですが。でも、中国とか2008年公開『カンフー・パンダ』を共産党の偉いさんが見て、我が国はなぜこういう作品が創れんと、今後はコンテンツ産業が重要と、10年以上前から力を入れています。日本はその点で、政治家が価値を解っていませんが。実は、こんな状況があります。

すげえ
いつのまにかアニメの海外売り上げが日本の農産物輸出額(酒とか真珠とか含む)を上回ってるのか
https://jcci.or.jp/news/trend-box/2023/0207101100.html

https://x.com/takumidevices/status/1755186077994987822?s=20

そう、日本のアニメは2023年の海外収益だけで1兆4592億円。一方、2022年の農林水産物・食品の輸出額は過去最高の1兆4148億円と農水省。もう、産業として無視できないんです。これは後日、別noteを立てて書きますが。国内外合わせて2兆9277億円という、産業としてはもうけっこうな規模です。これに加えて、漫画の国内市場は6770億円と、巨大です。ゲーム・アニメ・漫画の国際収支は2兆円の黒字ですから。低俗な大衆文化と見下してるのは、政治家として不明です。余計な規制は、角を矯めて牛を殺すと、心得てほしいです。

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