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林家正楽さん死去

◉紙切りの第一人者で、東京の寄席ではお馴染みの、三代目林家正楽師匠。上京して始めて行った寄席で見たときは、その鮮やかな作品作りは衝撃でした。短時間で、スルスルと作品が出来上がってしまう。お題をもらって、その場で1分間ぐらいで、コミカルな動きで話芸を交えて切り上げる。江戸太神楽とか紙切りは、実際に寄席で見ると、引き込まれます。残念です。人間国宝に認定されていい、至芸でした。

【寄席・紙切りの名人芸もう見られず 陽気な人柄も人気の林家正楽さん】毎日新聞

 テレビではめったに見られないけれど、東京の寄席ではおなじみの芸、紙切りの第一人者、林家正楽さんが21日急逝した。今年も初席から寄席の高座を務め、17日に76歳を迎えたばかりだった。

 紙切りは、落語が続く寄席に彩りを与え、気分転換もさせてくれる大事な芸。「七福神」「パンダ」「羽生結弦」など、お客さんの注文を受け、即興で真っ白な紙をハサミで切り、1、2分という短時間で作品を仕上げてしまう。まさに神業だ。作品を見せた瞬間の客の歓声と拍手、それにしてやったりというか、やり遂げたというか、満足感漂う正楽さんの表情を何度見たことだろう。

https://mainichi.jp/articles/20240126/k00/00m/040/221000c

ヘッダーはnoteのフォトギャラリーより、新宿末広亭です。

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正楽師匠、海外でもよく仕事をされていて。日本語が解らない外国人が見ても、凄さが伝わる芸ですからね。で、海外にはない紙切りの芸に、驚いた後に必ず聞かれるのが、はさみを見せてくれと。こんな魔法のような技術には、凄いハサミを使ってるに違いない、と思うようで。実際は、普通のハサミで、動かしやすいように、やや緩めにしてあるようで。弘法筆を選ばず。アフリカでは、紙が貴重なので、子供たちと紙作りからやって、紙切りを教えていましたっけ。

紙切りの技術向上のため、百科事典の項目を、全部切るなんて修行もされていたそうで。若い頃は、出されたお題に全対応を目指していたそうですが、キャリアが積み重なると、知らないお題が出ても、それなんですかと聞きながら、切っていくようになったそうで。それだけ、対応力があるからこそ。春風亭小朝師匠が武道館で独演会を開いたときも、大紙切りで小朝師匠の顔を切っておられました。

代わったお題を言われることも多く、テレビで披露されていましたが、「闇夜のカラス」も切ったとか。カラスの姿ではなく、鳴き声を切るという、シャレが効いたもの。あれほどの腕があるので、絵も上手いのかと思ったら、絵は苦手と仰っていて、驚きでした。絵画と紙切りは、また別の技術なんですかねぇ。ちょうどこの桂米助師匠のこちらのYouTubeの番組を、昨日見ていたもんで、その直後に訃報。驚きました。

お弟子さんも複数居られて、喪が明けたら四代目を継承されるのでしょう。他国にはない芸ですから、未来に伝えていって欲しいですね。ただ、あのマッタリとした話芸も含めて、正楽師にしか出せない、個性的な名人芸でした。まぁ、しゃべる内容は毎回同じなんですが、「職業病です」のフレーズを聴くと、ああ寄席に来たなぁという、安心感がありました。あの寄席独特の雰囲気を、醸し出されておられましたから。

林家正楽師匠のご冥福をお祈りします。合掌

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