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安倍元総理の対中外交とは?

◉第一次安倍政権のときも、実は対中関係は悪くなかったんですよね。これ、アベガーの人ほど認識していませんが。対中強硬派であったのは事実ですが、中国からしたら手強いが有能な敵と、無能な働き者と、どっちが話せるかって問題です。有能な敵は妥協点を探れますが、無能な味方はかってに忖度して墓穴を掘り、あるいは背中から撃ってくる危険性がありますからね。サラリーマン経験ある人は、実感するでしょうけれど。

【中国側も一目置いた安倍氏の毅然とした態度】JBpress

 安倍晋三元首相の銃撃事件は、中国でも戦後の日本政治史における最大の惨事として伝えられた。一部の“反日分子”がインターネット上で心無い言葉を撒き散らす一方で、親日派の人々は「日本は唯一の政治リーダーを失った」とその死を惜しんだ。
 中国人にとって安倍氏は、良くも悪くも影響力の強い政治家であり、その評価は複雑だ。安倍氏は、大国を標榜する中国と伍して渡り合える日本の政治家だったからだと言えるだろう。2000年代から今に至る20余年、日中関係が激動の波に呑まれる中で、安倍氏は“硬軟織り交ぜた絶妙なバランス感覚”を発揮し、日本企業の対中ビジネスの道を拓いた。

https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/70993

ヘッダーはnoteのフォトギャラリーより、パンダのイラストです。

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■尖閣諸島中国漁船衝突事件■

悪夢の民主党政権、例えば尖閣諸島中国漁船衝突事件が起きた2010年は、まさに民主党政権でしたが。あのとき、菅直人総理大臣・前原誠司外務大臣・仙谷由人官房長官という布陣でしたが。国際連合総会中で総理と外相がいない状況で、那覇地方検察庁鈴木亨次席検事が突如、中国人船長を処分保留で釈放すると発表し、仙谷官房長官が容認するという、謎の行動を取ったわけです。黒川検事長問題でギャーギャー言った人たちは、問題視しましたか?

こうやって、中国に媚びたにも関わらず、悪夢の民主党政権は尖閣諸島国有化で、逆に中国政府の虎の尾を踏みます。中国としてはグレー状態でジワジワ問題を広げて行きたかった事案に、いきなり白黒の旗幟鮮明が求められちゃって、これが国内政治にも波及してしまいました。当時中国は、北戴河会議の真っ最中。北戴河会議とは、中国要人が避暑地の北戴河に集まり政局などを議論すること。ここで、中国の次期指導者なども話し合われたりする、重要な場です。

■北戴河会議と習近平政権誕生■

中国や半島は、国際政治はあくまでも国内政治の延長線上にあります。これは日本も似ているのですが、日本は国際政治音痴なだけ。中国では、国内政治がすべてで、ここでの駆け引きに国際政治があるわけです。例えば「進出」か「侵略」かで揉めた教科書問題。あれだって、岡田英弘先生に言わせれば、国内での親日派の政敵攻撃の目的であって、実は日本は眼中になかった。ところが、朝日新聞はじめ左派マスコミが騒いで、これは政治カードに使えると中国に気づかせちゃった。

中国では当時、胡錦濤国家主席の時代だったわけですが、コチラの2期目の任期は2013年3月までという状況で、胡錦濤は同じ共青団の出身である李克強を後継者に推していたのですが。共青団系で最長老の1人である宋平が推す習近平が、尖閣国有化の悪手を追い風に第6代の国家主席に。対日強硬派として権力の座に就いた以上、習近平主席も退くに退けるはずもなく。結果、日本に対する数々のイヤガラセが、さらに強化されることになります。ここらへんの流れをわかっていないアベガーが、多すぎます。

■政冷経熱の落とし所■

胡錦濤国家主席時代に、第一次安倍政権は関係改善したわけですが、今度は反胡錦濤派である習近平政権でも、関係改善が求められたのが大事に安倍政権。民主党政権なら、打つ手なしだったでしょうけれど。中国人の本質は華僑のような商売上手さにあると見抜いていた安倍政権の外交ブレーンは、政冷経熱という形で政治と経済を分け、相手のメンツを立てつつ、上手く落とし所を見つけて、微妙な距離感の維持を達成したわけで。ここらへんは、日本のメンツを考えない文在寅大統領の2レーン云々とは、質が違います。

安倍政権としては、経済家政科の柱のいくつかに、観光立国を挙げていたのですが。これは、安倍政権批判一色だった韓国のマスコミさえ、認めざるをえないほどの成功でした。日本のマスコミは、観光客増大でこんなにトラブルが増えた~迷惑を変えられたという声が~と、ネガティブキャンペーンに終止しましたが。安倍政権の8年でインバウンドが拡大し旅行者数・消費額共に約4倍に増えたのですから。表面上は批判しあって見えても、相手も自分も利益ある落とし所を見つける。

■70%WIN WIN案を出せる外交■

けっきょく、安倍政権の政治手法は対中国に限らず、ここが上手かった。表面上は批判しても、相手の利益になる部分を提示し、それによって100%ではなくても70%ぐらいのWIN WINになる案を出して、相手にも「こいつ、手強いが話せる敵だな」と思わせる。これで、オバマ政権だろうがトランプ政権だろうが、一目置かせたわけですしね。トランプ大統領と感情的に対立したメルケル政権に比較して、トランプ大統領とも欧州首脳とも話せる安倍総理は、かなり重宝だったわけで。

次期戦闘機開発にしても、日本とコンセプトが近いイギリスとの共同開発に切り替え、日本にもイギリスにもメリットが有る形にする。アメリカをどう説得したかはわかりませんが、主力戦闘機はアメリカ頼みは変わりませんし、F-16系が担ってきた支援戦闘機を、日英が担うなら、それはアメリカ的にもお目溢しの内。そこで日英が、次期主力戦闘機開発に共同参加するなら、トータルではメリットも大きいでしょうし。そりゃあ、エリザベス女王が皇室に弔事を出すのも当然です。

■平家・海軍・国際派の悲劇■

「野党の役割は「代案」を出すことではない」なんて、当事者意識のカケラもないことを言う荻上チキ氏とは、本質的に違うわけです。でも、日本の野党の国際政治の感覚なんて、TBSが推すこの荻上チキ氏や青木理氏らの感覚と同じ。日本は武力ではなく外交で問題解決すべきだ、なんて一般論しか言えない。んなもん、中学生でも言えるんですよ、綺麗事ですから。そうではなく、具体的に無効にはこういう利益を与えつつ、日本にもメリットが有る形での案を出さなければ、ないものねだりの駄々っ子と同じ。

日本はずっと、平家・海軍・国際派は出世できないと言われていました。実際、平清盛や足利義満、足利義教、織田信長、石田三成、荻原重秀、田沼意次、大久保利通、高橋是清のように、経済感覚があって貿易の重要性がわかってるタイプは、忌まれ嫌われ、最後は失脚や暗殺の憂き目にあっています。高橋是清も安倍元総理も、大衆人気はありましたが、最後は暗殺。自分はドはそこに、その後の歴史がどうなったかに思いを致し、暗澹たる気持ちです。

■鉄血宰相ビスマルクと安倍晋三■

日本は明治維新後、ドイツの政治形態を手本にします。それは、少量手の連合みたいな状況であったドイツの状況が、独自の軍隊と通貨(藩札)さえ持っていた三百諸藩による、もっとも有力な徳川家を将軍として推戴していた幕藩体制に似ていたのもありますし。プロイセンをドイツ帝国の核に押し上げた鉄血宰相ビスマルクの、その優れた政治手腕に大久保利通や伊藤博文らが心酔していたからですが。ビスマルクは、元々が若い頃は反墺親仏派でした。

にも関わらず、ビスマルク体制とはドイツが欧州諸国と友好関係を築きながら、ナポレオンによって欧州各国に戦火をもたらしたフランスを孤立させるというもの。勘のいい人は気づいたでしょうが、これってTPPで対中経済包囲網を、クワッドで対中軍事包囲網を構築しようとした、安倍総理の国際戦略に似てるでしょう? ビスマルクは、政治は学問ではなく名人芸だと、喝破したそうですが。安倍総理の外交も、どこか名人芸でした。故に、左右の教条主義者には理解できなかったんですが。

鉄血宰相と呼ばれ、ヒトラーなどの思想的ルーツと思われがちですが。イメージとは裏腹に、ビスマルクは親ユダヤ主義者でしたし、ユダヤ人学識者を個人的には重用し、ユダヤ人銀行家のブライヒレーダーを重用したため、保守派からはブライヒレーダーの陰謀をビスマルクは吹き込まれていると中傷もされました。なんか、ますます安倍元総理が似てきたなぁ……。反ユダヤ主義にビスマルクも、関与仕掛けたこともありますしね。ビスマルク同様に、毀誉褒貶にさらされるのは、仕方ないですが。

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