見出し画像

大日本印刷が中小出版の効率化システム開発

◉本業は編集者ですから、こういう話題はちゃんと報じてかないと。DNPは大日本印刷の略称で、出版業界では最大手です。営業の大日本と呼ばれますが、技術の凸版印刷とが双璧です。集英社と強いつながりがある共同印刷が三番手ですが、規模的には大日本印刷の55%ぐらいですかね。大日本印刷は営業力があるだけあって、こういう技術開発も先進的で、DTPの対応も早かった印象です。少子化で人手不足が予想される未来、やはりこういう形で中小出版社が省力化していく方向で、技術革新は大事ですね。

【DNP、編集者らの作業時間7割減 中小出版システム】日経新聞

大日本印刷(DNP)は中小の出版社向けに書籍の編集や進行管理、製版などを一元化し、制作業務を効率化するシステムを開発した。複数の作業を1つのシステムで完結させ、郵送やメールで紙面をやりとりする手間を軽減する。編集者らの作業時間を7割減らし、効率的な作品作りを後押しする。

従来は編集の各工程でそれぞれ別のシステムを使うケースが多かった。新システムは編集者や校閲、紙面を刷り出しする製版担当者らが1つの紙面を参照し、進捗状況や原稿の修正依頼などを確認できる。今後、記事や画像のデジタルアーカイブ機能も追加する。

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC075H10X01C22A1000000/

ヘッダーはnoteのフォトギャラリーより、

◉…▲▼▲▽△▽▲▼▲▽△▽▲▼▲…◉

■日本人は多様性好き?■

日本は中小企業が多すぎて、それがゾンビ企業化しているという指摘は、確かにあたっている面もあります。経営が破綻しているにもかかわらず、金融機関や政府機関の支援によって存続しているゾンビ企業の問題は、確かに問題です。ですが、分厚い中小企業が、日本の経済や雇用を守っている部分もまた、事実です。アメリカだと、スーパーマーケットでも1種類の果物が大量に置いてあって、選択肢が少ないと。そっちのほうが流通も管理も効率的だし、値段も下がるのでしょうけれど。日本は多様な選択肢から、選びたい国民性なんですよね。

なので、コカ・コーラの日本支社は昔から、新規製品の開発に余念がないわけです。アメリカだと、コーラとファンタのオレンジとグレープだけあれば、自動販売機もそれがズラッと並んでる形。でも日本は、いろんな種類がないと顧客は満足しません。だから、ファンタも昔からレモンだメロンだアップルだと、開発してきたわけです。最終的には定番のオレンジとグレープが圧倒的に売れても、それでも選択肢は用意しておかないと。結果的に、コカ・コーラボトラーズジャパンは、商品開発能力が高まりましたしね。

■独禁法と大統一幻想と■

ここらへんは、一神教の欧米社会と、多神教の日本の文化的な違いでしょうか。出版に関しても、再販制度がある日本の出版の種類は、やはり多いんですよね。多様性がある。アメリカは、ベストセラーを更に売ったほうが儲けが上がっていいという考えですが、日本は中小の出版社が、専門書を多数出して分厚くやる方がいいという考え。でも、ここらへんはアメリカもわかっていて、独占禁止法で巨大化しすぎた企業は分割したほうが、結果的にいというのは若てるんですよね。

例えば、ロックフェラー財団の力の厳選であったスタンダード・オイルですが。一時期はアメリカ合衆国内における石油精製能力の90%を保持するちょうどくせんきぎょうだったんですが、独占禁止法で34の新会社に分割。結果、分割された会社がエクソンやモービルやBPとして、更に大きくなったんですよね。ちなみに、独占禁止法の適用を拒んだIBMは大企業病に陥り、小回りがきかなくなってパーソナル・コンピュータの時代に対応できず、マイクロソフトに覇権を奪われました。

そのMicrosoftも、独占禁止法の適用を逃げ回った結果、スマートフォンの時代に対応できず、Appleに名を成さしめました。こういう視点からも、大きな事はいいことだで、中小企業を潰すやり方は、自分はいいとは思わないんですよね。公金や銀行の勇姿で生き残るのがダメで、中小企業が健全な利益を出しているなら、それは日本社会の健全性の証拠。どうにも共産主義の一党独裁願望とか、ナチスのアーリア人説と優生学とか、一神教的な統合の思想なんですよね。これは、非科学的なので危険ですから。

■ゾンビ化か生き残りか■

で、出版業界ですが。老舗の専門書の出版社が苦しい状況にあるのは、事実です。でもそれは、DTP(デスク・トップ・パブリッシング=パソコンの上ですべての製版作業が完結する本作り)に対応できていない部分が、大きいんですよね。釣り系の古参雑誌が休刊したのも、けっきょくは編集者の高齢化と、DTPへの対応ができていないため。たぶん、今の50歳前後の編集者が、DTPの対応ができていない下限かもしれませんが。AdobeのInDesignやIllustratorを用いたDTPは極端な話、パソコン一台で出版社が作れますから。

でも、そこに対応できていない出版社は、確かに苦しいのでしょうけれど。はっきり言って、そこまで難しことでもないんですよね。けっきょく、若い人間が入ってこず、新陳代謝が出来ていないんですから。であるならば、黒字が出ている事業なら大手出版社に売却するか、ゾンビ企業ならたたむか、そこは考えないと。九州のエロ本の自動販売機でも、数千万円から億の売上があるので、ニッチな需要はあるわけで。そういう部分が滅びるのは、やはり寂しいです。

DNPがこうやって、業界の生き残りをかけて動いてるわけですから、中小出版社ももうちょっと、革新は必要でしょうね。昔ながらのやり方が悪いとはいいませんが、ちょうど紙の製版とDTPの両方を経験した狭間の世代としては、最終的には紙の本になるし、電子書籍にもなる形で、本の完成形は同じなんですから。ダーウィンも言っています。「強い者、賢い者が生き残るのではない。変化できる者が生き残るのだ」と。令和の世、出版社が伝統を受け継ぎつつ変わることを、切に願います。でないと、作家がDTP学んで出版社を見放しますよ?

どっとはらい( ´ ▽ ` )ノ

売文業者に投げ銭をしてみたい方は、ぜひどうぞ( ´ ▽ ` )ノ