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〝暴力反対〟は間違っているのか?

◉哲学者の森元斎長崎大学多文化社会学部准教授が、『死なないための暴力論』という本を上梓されたそうで。それに伴うインタビューなのですが……。記事を読み限り、「今こそ共産党を見直そう!」と言う代わりに、暴力革命肯定論をソフトに言っただけですかね? 「誰も正攻法では安倍晋三の悪事を断罪できなかった」とか、いきなりもう前提がおかしくて、正気を疑うレベルです。

【なぜ"暴力反対"は間違っているのか? 思想と歴史に学ぶ「暴力」の必須教養】週プレニュース

ハラスメントから性加害、紛争まで、「暴力」的な事象が続く昨今。「いかなる暴力も許されない」という言葉もよく聞く。しかし、そんな思考停止の暴力反対論に待ったをかけるのが『死なないための暴力論』だ。

暴力にまみれたこの世界で力強く生き抜くために、暴力とどう向き合えばいいのか。著者の森 元斎(もとなお)氏に話を聞いた。
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――なぜ今、「暴力論」なのでしょうか? 本書執筆のきっかけを教えてください。

森 2022年の安倍晋三暗殺事件がきっかけのひとつです。誰も正攻法では安倍晋三の悪事を断罪できなかったけれど、事件後には統一教会の問題も裏金問題も次々と明るみに出ました。「暴力では何も変わらない」という人もいますが、これは暴力で変わったと思われる事例のひとつです。

https://news.yahoo.co.jp/articles/737de9ffa96c55dd47dd28550bb56372a5690611?page=1

ヘッダーはnoteのフォトギャラリーより、メイプル楓さんのイラストです。


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■過剰復讐の正義■

モリカケ問題は野党とマスコミが騒いだだけで、何も出てこず。桜を見る会問題も、公設第一秘書が政治資金規正法違反(不記載罪)で、略式起訴秘書が罰を受けた程度。有権者に酒振る舞っていた立憲民主党の梅谷守議員のほうが、法的には問題でしょうね。まぁ、X(旧Twitter)でも書きましたが、それぐらい良いじゃないかというレベルと思います。いわんや、国民の血税を詐欺して実刑ギリギリの有罪を食らった辻元清美議員と、比べるべくもなく。この准教授、おおかた森友学園問題での近畿財務局の赤木俊夫さんの自殺を、安倍晋三元総理夫妻が原因と思い込んでるのでしょうかね。

いずれにしろ、安倍晋三元総理は暗殺されなければならないような悪事は働いていませんので。悪魔化にもほどがありますし、論外です。このnoteでも何度か書いていますが、安易な暴力革命の肯定は、放伐の問題として否定しています。殷の湯王は夏王朝の暴君・桀王を追し、周の武王が殷王朝の暴君・紂王を征した故事から、放伐。主君弑逆は許されないことだが、暴君を弑逆することで平和な世が訪れたとするなら、暴力革命も許されるのかという議論は、2000年以上前から論じられたことです。

■千年王国思想とは■

いちおうの結論というか合意として、放伐を認めると自分だけの正義を掲げて戦乱に明け暮れるので、それは辞めておこうというのが東アジア型専制君主国家の中華帝国での建前。そこから東洋では、民主主義や共和制の議論が、進まなかったわけで。日本だと、加賀一向一揆が武士階級を倒して自治を得たりする歴史があり、もとから鎌倉幕府の評定衆から合議制の国ですから。江戸時代も老中は合議制で、曾孫も合議制が多く、下級武士が中心となった明治維新を経て、議会制民主主義が定着したのには、そういう歴史が在ったからです。

なのに、カール・マルクスという、キリスト教に改宗したユダヤ人のラビの家系という、宗教コンプレックスを持つ人間が、ユダヤ・キリスト教の専念王国思想を焼き直したのが、共産主義思想です。ヨシュア記の聖絶のように、神が滅ぼせと命じたら要塞都市エリコの女子供どころか家畜まで、皆殺しにするのが宗教の本質です。この過剰復讐の焼き直しが、暴力革命の肯定なんですね。この国の知識人は、知的怠惰で未だに「今こそ共産主義を見直そう」などと寝言を言いますが。今こそ、その暴力性を否定しよう、でしょうに。

■福島瑞穂的甘え■

その現実を理解せず、殴り返してこない政府を罵倒して反政府ポーズを取って粋がっていた福島瑞穂弁護士は、坂本弁護士一家失踪事件が起きると、まだ証拠もない時期に犯人はオウムに違いないから別件逮捕しろ(大意)と、週プレ誌上で口走ったのです。それまでは、別件逮捕に人権弾圧だのギャーギャー言ってた、人権派弁護士の仮面もかなぐり捨てて。政府転覆という、国家に暴力を振るうオウムが、自分ら上級国民の弁護士様にも暴力振るうと気づき、怖くなったのでしょう。

ここらへんは呉智英夫子にも批判されてたのですが、未だに国会議員を続け、権力者の側に。言っときますが野党議員だって権力者だし、一時は連立内閣で与党の大臣でもあったので。間違いなく権力者の側。週刊プレイボーイは90年代の昔から「福島瑞穂レベルのダブスタで創造力が欠如した偽善者」が、お好きなようで。暴力肯定の先には、オウム真理教の地下鉄サリン事件などの都市型テロを容認するし、それこそ国会銀や大学教授や准教授が襲撃される未来を、肯定することになるんですが。いいんですか?

■歴史と経済の音痴■

内容はこういう感じで、バカバカしい論にもならない思いつきが、延々と続くのですが。現実には、選挙で非バレた国会議員が、駆け引きの中で妥協点を探り、綱引きを繰り返し、合意点に到達したわけで。あの頃の経営者が清廉潔白だったとは言いませんが、ストライキで企業を屈服させるのと違い、デモで政治が変わりましたか? 影響ゼロとは言いませんが、政治家と官僚とブレーンたちの力が、圧倒的に大きいでしょうに。安倍晋三総理の演説を妨害した旧しばき隊界隈と同じで、そういう威嚇行為を肯定してもただの意思表示、その後でちゃんとした政策にビルドすることができなければ、酔っぱらいの愚痴と同じです。

一方で、私は暴動と政治は相関関係にあると考えています。日本が福祉を獲得していった時期には、暴動が非常に多かったんです。もちろん高度経済成長というファクターもありますが、1950~70年代は特にそうでした。

……ああ、経済だけではなく歴史も苦手なようで。まぁ、哲学者ですからね。経済学者でもでたらめなことをいう人間、歴史学者でも間違いことは多々ありますし。高度経済成長の前に何があったかも、ちゃんと勉強していないようですね。高度経済成長を用意したとされる、岸信介の制作をご存知でしょうか?

・1000億円の減税
・国民皆保険制度の導入
・最低賃金制度の導入
・国民皆年金制度の確立
・独占禁止法の改正に意欲
・高度経済成長の礎を用意
・汚職、貧乏、暴力の三悪追放の抱負
・売春防止法施行
・自治省の設立
・対米自主外交
・国連中心主義
・国連安保理非常任理事国に当選
・米英の核実験を国連で批判
・ネール印首相と核実験禁止問題を討議
・国連安保理で核兵器廃絶決議を提出して成立
・国連提出のレバノン紛争での決議案が採決
・アジア重視外交を展開
・アジア各国との戦後賠償に積極的
・日米地位協定の改善
・沖縄等返還の合意

この岸の時代に、国会前に暴徒と化した学生が集ったのを、どう考えるんですか? そういう暴徒は結局、何も政治は変えられず。岸信介のような東大次席卒業の秀才で、満州国では馬賊同然の軍閥連中と渡り合い、国内では東条英機内閣の倒閣に動き、軍人に脅されても屈せず成功。そういう人間が、浅はかな学生や知識人よりも、的確な政策を先手で打ってるわけです。暴徒とかした学生の後継者は、70年安保で再び暴れ、その後は連合赤軍や日本赤軍となり、テロや内ゲバを繰り返したわけで。

■非武装中立論?■

包括的な概念で出してきたのが、北米自由貿易協定に反対し、先住民権利法案がメキシコ国会で採択されたのに交渉再開を拒否し武装闘争を継続するEZLNに、ロジャヴァ革命に、黒人の権利を歌いつつ白人攻撃に走ったBLMって……。BLMは、キング牧師の非暴力不服従の公民権運動と違って、暴力に走って白人の穏健派を取り込める目標を、提示できなかったわけで。同じように、暴力肯定したマルコムXは、人間的には魅力でも、結局は暗殺され、運動が広がらなかったのを、忘れたんですかね。

森 反暴力には、非暴力的な側面もあるし、暴力的な側面もあり、かなり包括的な概念です。その具体例として、メキシコの反政府組織である「サパティスタ民族解放軍(EZLN)」や、シリアでクルド人が起こした「ロジャヴァ革命」、アメリカにおけるブラック・ライブズ・マター(BLM)などについて書きました。

また準教授氏、ロジャヴァでは警察が半年ごとに交代制度を採用していると称賛し、こんな事を言っていますが。それでは、専門家としてのスキルも上がらんし、職業への倫理観や忠誠心も、薄れるだけでは? 体の良い相互簡易システムに見えますが、これは個人の感想。そもそもロジャヴァは徴兵制を採用していますし、その実態は少年兵もいる状況で、表面上の理想やお題目はともかく、アフリカの協賛ゲリラや毛沢東の紅衛兵、ポル・ポトとクメールルージュの少年兵のように、危ういものを感じますね。その内に情報が出てくるでしょう。

自分が警察官として横暴に振る舞っていたら、半年後に警察官になった被害者に復讐(ふくしゅう)されるかもしれませんからね。

この言に至っては、要はウクライナ侵攻で憲法9条教と非武装中立論が完全崩壊したため、これまた言葉を変えての非武装中立論への、婉曲な軍隊否定論に過ぎません。軍隊のないコスタリカの次は、徴兵制を隠して警察官の交代制称賛って、次のテンプレはロジャヴァ革命ですかね? でも、実際はこの警察による抑圧の批判もあるようで。こういうことをやっていれば、その内に密輸や密貿易に警察が関わり、組織ぐるみの犯罪に発展する可能性を感じますが。いちおう、著書のリンクを張っておきます。

日本の左派は、象牙の塔とマスコミに護られて、珍妙な論も批判されずに、昭和の時代から令和まで生き残ってきたんですが。もう限界ですね。「今こそ共産主義を否定しよう!」から始められなれない知的怠惰な知識人は、学生からも見放されるでしょうね。本当に優秀な学生はもう、欧米の大学に進学し始めていますから。国内だって、沖縄科学技術大学院大学が成功し、今後も同様なタイプの大学院大学は増えるでしょうから。もうちょっと真剣に、考えたほうが良いですよ?


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