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古代日本人と韓国人のルーツ

◉今年のノーベル生理学・医学賞が、ゲノム解析のスバンテ・ペーボ博士に贈られたように。ワトソンとクリックがDNAの構造を解析してから1962年にノーベル賞を受賞して以来、この分野は飛躍的に発達しています。ゲノム解析を見ると、それまでの常識が覆されるという点で、古典的な考古学には苦々しい存在でもありますが。日本人のルーツに関しても、かなりの多人種が入り乱れていることがわかっています。鹿児島の彫りが深く毛深い人間を多く見て育ってる側から見ると、関西とかノッペリしてるなと思いますし。中国人の教え子でも、北方系は韓国人に似てるし、南方系はタイ人に似てるし、浙江省の子は九州南部の日本人っぽかったり。

【古代史サイエンス:現代日本人は縄文人の直系の子孫なのか? --- 金澤 正由樹】アゴラ

2019年になると、日本でも国立科学博物館を中心としたグループが、約3800年前の縄文人女性の全ゲノムの解読を試み、見事に成功を収めています。以下はプレスリリースからの抜粋です。
(中略)
結果は見たとおりで、弥生人のDNAは現代日本人とほぼ同じですが、なぜか約6000年前(縄文時代)の朝鮮半島南部人(釜山近くの獐項遺跡)ともほぼ一致していました。

7300年前の鬼海カルデラ大噴火の影響か
これは、薩摩半島の南方50kmにある鬼海カルデラが約7300年前に大噴火し、分厚い火山灰で南部九州の縄文人は壊滅したものの、かろうじて生き残った北部九州の縄文人が朝鮮半島南部にまで避難し、その後に北方から来た中国大陸人と混血した…という驚くべき歴史があった可能性を示しています。

https://agora-web.jp/archives/221019113518.html

ヘッダーはGoogle Mapより、アジアの地図です。

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■鬼界カルデラの過大評価■

詳しくはリンク先をお読みいただくとして。個人的には、鬼海カルデラの約7300年前前の大爆発の影響を、過大評価しているようにも感じますね。喜界アカホヤ火山灰は、岩手県南部まで届くほど、かなりの距離まで観察できますが、それで古代人が滅びるかは別の話です。この時の幸屋火砕流は半径100キロくらいまで届いていますが、それでも薩摩半島南部と宮大隅半島南部ぐらいまでしか届いていません。火砕サージが広がった範囲を考えても、被害は宮崎県南部や熊本県南部くらいまででしょう。

現実問題、鬼界カルデラのすぐ近くで直撃を食らったはずの屋久島でも、ヤクシマザルやヤクシカなど、氷河期に九州本土と陸続きで渡ってきたと考えられる哺乳類が、普通に生き残っていますから。なお、屋久杉はこの鬼界カルデラの大爆発で屋久杉がなぎ倒されたと考えて、昔は寿命が7300年と言われましたが。普通に考えれば、屋久島は九州最高峰の宮之浦岳がある、洋上のアルプスと言われる島です。火砕流が数百メートルも駆け上がるはずもなく、島の反対側はさほどダメージを受けていないでしょう。いわんや、九州本土をや。

■ポリネシア系文化の拡散■

そもそも6000年ほど前には、長江下流域の河姆渡遺跡のあたりから、稲作が日本に伝播しています。そして4500年ほど前には、現在の台湾や福建省の辺りにいたポリネシア人の、海洋大移動が始まっています。イースター島のモアイがフンドシを着けて、身体には文身(イレズミ)を入れ、正座をしているのですが。この3点セットは、ポリネシア系の文化なんですよね。日本の文化の基底には、このポリネシア系の文化があるわけです。ニュージーランドやトンガのラグビー代表の戦舞(ハカ)の脚を踏みしめる動作は、古式の四股に似ていますしね。Wikipediaから転載しますね。

ポリネシア人の祖先はオーストロネシア語を話すモンゴロイド系の民族で、元々は華南や台湾にいたのだが、その一部は紀元前2500年頃に南下を開始し、フィリピンを経て紀元前2000年頃にインドネシアのスラウェシ島に到達する。ここからニューギニア島沿岸、メラネシアへと東進する間にパプア先住民やメラネシア先住民と混血し、ポリネシア人の始祖となる。この先住民は5万年前に出アフリカ後にインドを経てやってきたオーストラロイドに属す人々で、アボリジニと同祖である。従ってポリネシア人はモンゴロイドにオーストラロイドが混ざった人種である。

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9D%E3%83%AA%E3%83%8D%E3%82%B7%E3%82%A2%E4%BA%BA

下の地図、赤いマークがイースター島です。ポリネシア人は台湾や福建省の当たりから出て、ハワイ諸島やニュージーランドはもちろん、イースター島まで到達した、大海洋民族です。そりゃあ、島伝いに沖縄諸島から奄美諸島を経て、九州に到達するのは簡単。それどころか、アイヌ系民族が古モンゴロイドであるように、北海道やオホーツク海にも到達しています。北方系のモンゴロイドは、寒冷地に適応して髭が薄く(髭に古希の水分が付着して凍傷になるため)なり、一重瞼になった、新モンゴロイドですからね。

Google Mapより

■多種多様な日本人のルーツ■

岡田英弘先生に言わせれば、日本人とは列島の原住民と華僑が作った国、ということになります。人種的には、ユーラシア大陸の東端で、いろんな人種が入り混じっていますが。後漢王朝末期、黄巾の乱で漢王朝は朝のごとく乱れ、このときに人口が3分の1とも10分の1とも言われる大激減をし、晋の短期期な統一はありますが隋唐王朝の登場まで、強大な統一王朝が現れません。この期間、周辺国は影響が弱まり、国風文化というか、民族意識が高まります。この時期、中国の史書に倭人が登場しだすのは、理由があるのですね。

『DNAから見た日本人』斉藤成也

上図のように、日本への人種の流入ルートは多数あり、日本人はかなり混血した人種だというのが、近年の研究でわかっていますし。4がポリネシア系、5が河姆渡遺跡などの稲作漁撈民ルート。半島のみを過剰に重視するのはおかしく、それこそ大陸とは黒曜石の交易が18000年前からあります。ウラジオストクのナホトカから、発見されていますし。新潟は糸魚川の翡翠とか、約7000年前とかから交易に使われ、環日本海経済圏・環東シナ海経済圏・環オホーツク海経済圏と呼ぶべき、経済圏があったのがわかります。そこで形成されたのが日本人の遺伝子ですからね。興味がある方は、下記のnoteも読んでみてください。

■南方軽視の文化伝播ルート■

普通に考えれば、この日本列島から来た南方系の古モンゴロイドと、大陸から南下した北方系の新モンゴロイド(高句麗や百済は扶餘系遊牧民族国家)が半島で出会い、混血したのは想像に難くないですね。韓国人は、半島の人間が日本列島に進出したと言うでしょうけれど、であるならば韓国人の遺伝子は、もっと大陸の中国人やモンゴル人より寄りでないといけません。アジアとヨーロッパの境界線であるボスポラス海峡や、ヨーロッパとアフリカの境界線であるジブラルタル海峡が、両地域の人種が入り乱れ混血するように。対馬海峡はそういう雑居の地域だったのでしょうね。

そして、稲は元々熱帯の作物ですから、伝播ルートを考えれば、寒冷な北朝鮮地域を経由しての伝播はありえず。九州から北上して半島南部に伝播した、と考えるのが自然。実際、半島南部から耳小骨に変形がある人骨が出ています。これは潜水漁労に特有な職業病で、日本でも静岡県などの縄文人の骨に見られます。魏志倭人伝にも、倭人は潜水漁労をするとあり、また実際に貢物に真珠があります。海女の文化は日本と済州島にしかないですし、潜水漁労は南方系の文化です。縄文時代から半島南部に一定の倭人がいたと。現代韓国人のルーツのひとつでしょう。

■歴史は明日、創られる?■

こういう話には、イデオロギーが加わってきて、右からも左からも反発を食らいますが。自分は保守派ですが、国粋主義者ではないので、岩戸隠れ神話や国譲り神話、天孫降臨神話、神武東征神話には一定の歴史的事実の反映はあると思いますが、それを実際の歴史と無理やり結びつけようとするような国粋主義的言説には、ずっと反対していますしね。それは同様に、韓国・北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)にとって不都合な部分も、是々非々でするということで。ルーツなんか遡れば、誰だってアフリカの類人猿の子孫ですから。

もともと、中国大陸も南方系の神話と北方系の神話が入り混じっており、現在のベトナムやタイ系の人種が北上し、揚子江や黄河で北方系の人種との交易の中で、都市文明が花開いたようですし。もちろん、近年は遼河文明などの研究も進み、コチラが日本のルーツという説もあります。でもまぁ、こういうのは考古学的な発見で、どんどん変わっていきますので。歴史は壮大な推理小説、ということで。今後もぼちぼち、歴史ネタを書いていきます。

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