KADOKAWAが圧力に屈する
◉KADOKAWAが、2024年1月24日の発売を予定していた書籍『あの子もトランスジェンダーになった SNSで伝染する性転換ブームの悲劇』の刊行を、中止しました。原著はアビゲイル・シュライアー著『Irreversible Damage』で、「不可逆的なダメージ」ぐらいの意味でしょうか。作家でジャーナリストの著者の書は、学者が書いた学術書ではないのでアメリカでも物議を醸していて、批判があるのは事実です。でも、既に数カ国で出版されており、抗議に屈して直前で発売中止とは、言論の自由の観点からも不味いです。
ヘッダーはKADOKAWAの公式サイトより、KADOKAWAのグループ理念だそうです。
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■本を焼く者たち■
ドイツの詩人ハインリヒ・ハイネは、 戯曲『アルマンゾル』の中で有名な言葉、「焚書は序章に過ぎない。本を焼く者は、やがて人間も焼くようになる。(Dort wo man Bücher verbrennt, verbrennt man auch am Ende Menschen.)」と書いたのですが…。まさに、本を焼こうとする者たちが、跋扈する令和の世。言論は自由なんですが、それは出た本への批判であって、出版すること自体を妨害するのは、事前検閲と同じです。出版関係者が本を焼こうとしたことは、記憶しておきたいです。
添付画像も、評論のために転載しておきます。何が問題なのか具体性がなく、さっぱり解りませんが。
執筆時点で、134万閲覧で1885イイネ。イイネ率は0.140%と、完全な炎上状態です。草津町をセカンドレイプの町と侮辱した一般社団法人Springや、そんな団体に人権賞を授与した東京弁護士会と、同じレベルの炎上です。
なのにKADOKAWA側の判断はあまりに拙速で、とても公論を反映したモノとは言いがたいです。ツイフェミが『宇崎ちゃんは遊びたい!』を燃やそうとしたときは、とても的確な対応をしていただけに、残念です。役員クラスで、この動きに内部から迎合した人間がいた可能性を、自分は感じます。
■原著者も批判へ■
ハイネの著作は、実際にナチスに焚書されるのですが。恐ろしいのは、それをやってる人たちの多くが「私はアンチファシズムです」と言ってることなんですよね。ブルガリア建国の父で、反ファシズムの闘士でもあったゲオルギ・ディミトロフは「次にファシズムがやってくるとき、彼らは反ファシズムを掲げてやってくるだろう。」と予言しましたが。 まさにそのとおりになった感じです。気に食わない研究者はオープンレターで追放を画策し、気に入らない政治家の暗殺に拍手喝采、気に食わないDVDは発売中止に、そして気に食わない本は出版中止に。
原著者のアビゲイル・シュライアーさんも、X(旧Twitter)で苦言を呈しています。
子宮頸癌ワクチンや、コロナ禍でのワクチンで、医療的なデタラメな本が堂々と発売され、朝日新聞などの一流紙に広告も載る。あるいは、元国際テロリストの最高幹部も、出所後は何冊も本を出しています。それも言論の自由。なのに、タイトルが気に食わないとか、煽り文句が気に食わないで抗議され、出版中止。延期や、タイトルの見直しならともかく。具体的に原著のここが問題という指摘は、見かけませんね。ヘイトのなんのと、フンワリした批判は多いのですが。
■先鋭化する左派■
ある意味で、ロシア連邦軍のウクライナ侵攻によって、すっかり権威が失墜した和製リベラルが、その失墜ゆえにより過激化・先鋭化しているのでしょう。昨年は、WBPCグループの問題が指摘され、奇跡のタイミングでイーロン・マスクのTwitter買収と数々の改革で、まるでドミノ倒しのように左派の権威が失墜していきましたから。それだけに、今秋のKADOKAWAの弱腰ぶりは、残念ですね。経営陣に物議を醸してなんぼという、覚悟がなかった、ということでしょう。今回の件に対する、識者の意見を、転載しておきます。
まさに、過去の成功体験にすがったのでしょう。そこにKADOKAWAが安易に屈してしまった。悪手でしたね。タブー無き言論で知られる示現舎さんが、自社で出せないかと呟いていましたが。逆にKADOKAWAがヘタれるなら、ウチで出しますよという気骨のある出版社が出る可能性もあるでしょうし。鹿砦社とか、いくつか名乗りを上げるかも知れませんし。ひょっとしたらですが、KADOKAWAが再度考え直す可能性も、ゼロではないでしょうし。そこはもうちょっと、見守りたいですけどね。
■角川の理念今昔■
KADOKAWAのルーツである角川書店を興した角川源義は、こんな言葉を残しています。角川文庫などには必ず掲載されていて、自分らの世代は中学高校の頃、作品を読み終わった後、何度も目にした文章です。角川源義自体は、愛人を作り妻妾同居の困った御仁でしたが、それはそれとして。ここには、出版文化というものに対する、角川源義の志(こころざし)が述べられています。1945年に創業した角川書店は、敗戦という日本史に残る重大な事態に向き合い、こんな言葉を残したわけです。
そして、夏野剛社長による、現在のグループ理念。
どうやら、KADOKAWAには流行はあっても不易はなくなってしまったようです。出版社は世襲のところが多いんですけど。世襲議員批判もありますが、出版業を家業として受け継ぐので、目先の利益ではない50年100年のスパンの文化事業として、受け継がれるモノがあるんですよね。これが世襲の良い面。電子書籍に反対する役員を抑え込んで、舵を切った講談社野間家の若旦那とか。でも、角川書店は巨大化しKADOKAWAになり、結果的に角川源義の孫の世代には継承されず、名前だけが残った感じに。残念です。信念や理念がないとこうなる、という例として、記憶しましょう。
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