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東京新聞の妄想記事

◉東京新聞が、現実には存在しない珠洲原発を想定して、その被害を熱く語るという、妄想記事をアップしています。日刊ゲンダイの野球記事で、デスクの妄想を書き連ねた駄文を、よく載せますが。いくら望月衣塑子記者の取材源だとはいえ、真似しなくてもいいのにと思ったのですが。この記事、東京新聞の一面トップだったようです。

【「珠洲原発があったら…もっと悲惨だった」 能登半島地震で孤立した集落、原発反対を訴えた僧侶の実感】東京新聞

 能登半島地震は22日で発生から3週間になる。被災地では道路が寸断され、多くの集落が孤立した。かつて「珠洲原発」の予定地だった石川県珠洲市高屋町も孤立。住民が市外に逃れるのに10日余りを要した。計画は住民の反対を受けて2003年に凍結されたが、「珠洲原発があったら、避難どころじゃなかった」。反対運動の中心的存在だった地元の僧侶・塚本真如(まこと)さん(78)が、避難も屋内退避もできない状況を振り返った。(岸本拓也)

https://www.tokyo-np.co.jp/article/304267

ヘッダーはnoteのフォトギャラリーより、珠洲市の禄剛埼灯台だそうです。

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■いつものマスコミ仕草■

もう、製図用な判断力が現場の記者にも、それを通した編集部長にも、こんな見出しをつけた整理部にも、もっと言えば経営陣にも、まともな バランス感覚がなくなってしまっているのでしょうね。東京新聞労働組合のアカウントの、ポスト内容を見ると社内の雰囲気が伺えますが。記事自体も、原子力発電所が地震に弱いという思い込みをもとにした、科学的エビデンスのない内容です。

反対運動の中心的存在だった地元の僧侶に語らせるという、責任逃れの手法も完璧なマスコミ仕草。東日本大震災で、福島第一原発よりも震源に近かった女川原子力発電所がむしろ、避難所となった事実さえ、知らないのか忘れているのか知りませんが。原子力発電所って、それぐらい頑丈な建物なんですけれどね。福島第一原発の事故は、津波による外部電源の喪失という、設計ミス。

ここを混同させようという反原発派の手法は、ナントカのひとつ覚えというか。十年一日ですねぇ。鹿児島県北西部地震で震度5強と6弱の連発をほぼ震源地間近で食らった川内も原子力発電所も、新潟県中越沖地震の柏崎刈羽原子力発電所も、東日本大震災での女川原子力発電所も、能登半島の志賀原子力発電所も、地震の揺れ それ自体で原子炉がダメージを負ってはいません。

■反原発ありきの偏向記事■

けっきょく東京新聞は〝まず反原発ありき〟で、今回の能登半島地震にかっこつけて、原発批判をしたかっただけだというのが、記事から透けて見えます。志賀原子力発電所が地震にも津波にも耐えきり、「電源喪失が〜! 燃料プールが〜!」と騒いでも、たちまち反論されたので。以下の引用部分も、ただの僧侶の主観、願望ですね。自分のやったことは正しかったと言いたい、自己肯定のための。

もし高屋に原発が造られていたらー。塚本さんは揺るぎない口調で語った。「もっと悲惨な状況になっていたやろうな、としか言いようがない。止めて本当に良かった」

東京新聞のような、タラレバの話をしてもしょうがないですが。もし珠洲原子力発電所が、実際に建設されていたら。建設資材などを搬入するために道路も整備され、また原子力発電所を関係者が珠洲市に住むため、複数の道路ができた可能性があるでしょう。今回の能登半島地震で、旧来の道路が寸断されても、別ルートが生き残る可能性は、高まったでしょうね。

女川原子力発電所のように、いざという時に住人の避難所になった可能性もあります。でもその可能性は、東京新聞は無視するでしょうけれどね。地形的にも、また東日本大震災の教訓を生かして津波による対策はなされていたでしょう。実際、志賀原子力発電所は防潮堤が作られて、今回の地震に伴う津波でも、何の問題もありませんでしたから。

■いったい何の専門家?■

で、東京新聞が以下のコメントをもらっている、環境経済研究所の上岡直見代表という方。寡聞にしてお名前を存じ上げなかったので検索してみたところ、早稲田大学の大学院理工学研究科修士課程終了とのこと。修了じゃないんだ? これでは、大学院を修了して修士論文が通って修士号を取得したのか、「単位取得退学」または「満期退学」なのか、不明です。工学修士号を持っていたら、普通は書きますけどね。

 原発の避難計画に詳しい環境経済研究所の上岡直見代表は「今回の地震で珠洲原発予定地は地盤が数メートル隆起した。原発があったら、配管などが壊れて冷却が全くできず大事故となり、逃げられない住民は福島原発事故以上に被ばくした可能性は否定はできない」との見方を示す。

確実に言えるのはこの方、博士号は取得していないということです。また、法政大学法学部非常勤講師・立教大学非常勤講師・國學院大學非常勤講師……って、専任講師や特任講師ですらなく、全部非常勤講師ということは、テニュアを得た研究者ではないと。自分だって非常勤講師ですからね。大学の仕組みは多少 知っています。環境経済研究所も公的機関ではなく私説研究所ですか? しかも一人でやってる?

公式サイトの学会のリンクも、交通権学会という、原発関係ではないですね。避難計画に詳しいというのは、原子力発電所の設計や運用などとは関係のない、避難時のルートや効率などを研究する学会のようですね。地面の隆起でどの配管がどんなダメージを受けて、それが福島第一原子力発電所事故の時と同じようなプロセスをどうやってたどるか、まったく説明がなされていません。

■原子力発電所の基礎知識■

第3世代の原子力発電所は、古くて硬い岩盤の上に建築されます。理想としては、第三紀以前の地層。以前のnoteでも書いたように、珠洲市は珪藻土と七輪の名産地なんですが。珪藻土は、珪藻の化石で、主にジュラ紀以前の地層から産出します。福井県や福島県など、原発が集中する地域が、恐竜化石の産地なのは偶然ではありません。泊や島根、伊方、玄海、川内も、恐竜化石や貝化石の産地です。

そういう古くて硬い岩盤の上に、直接建築されるため、原子力発電所は地震の揺れ自体には、前述の通りかなり強い構造なのです。珠洲原発予定地は地盤が数メートル隆起云々も、実際の能登半島の隆起した場所の写真って、ほぼ海岸線でしょ? 海岸線に沿って陸地が階段状になっている地形を、海岸段丘と呼びます。海食台地や三角州の間欠的隆起、海面の間欠的沈降によって生ずるとされます。

岩盤が硬いと、そういう 地形になりがちですし。日本地理学会の調査チームが、半島北側の海岸線が約90キロの範囲にわたり沖方向に前進したとの、調査結果を公表しています。広島大学のレポートも、似た見解。隆起というと、部分的に盛り上がったようなイメージですが、岩盤ごと広範囲に隆起してるので。配管などが壊れて冷却が全くできず大事故云々の、論拠がわかりませんね。原発の設計の専門家に話を聞くべきでは?

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