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常温・常圧かつ電気のみで水素生成が可能な二次元物質

◉2月9日のニュースですが、固体状の二次元物質であるホウ化水素シートに、常温・常圧状態で電気エネルギーのみをあたえることで、水素を放出することを見出した、とのこと。共同で発表したのが東京工業大学・大阪大学・筑波大学という、名だたる理系研究の名門大学ですから、かなり本格的な研究のようで。このホウ化水素シートは、一種の触媒なのでしょうけれど。水素利用 社会の未来を考えると、とても興味深い研究ですね。

【常温・常圧かつ電気のみで水素生成が可能な二次元物質、東工大などが確認】マイナビニュース

東京工業大学(東工大)、大阪大学(阪大)、筑波大学の3者は2月9日、固体状の二次元物質「ホウ化水素(HB)シート」から、常温・常圧において電気エネルギーのみで水素を放出できることを見出したと共同で発表した。

同成果は、東工大 物質理工学院 材料系の河村哲志大学院生、同・山口晃助教、同・宮内雅浩教授、阪大大学院 工学研究科の濱田幾太郎准教授、筑波大 数理物質系の近藤剛弘教授らの共同研究チームによるもの。詳細は、ナノ/マイクロスケールの科学に関する学際的な分野を扱う学術誌「Small」に掲載された。

https://news.mynavi.jp/techplus/article/20240213-2882469/

ヘッダーはnoteのフォトギャラリーより、雲のドット絵ですが、なんかイメージ的に良かったので。


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■水素エンジン車とEV車■

ヨーロッパはEV車推しですが、TOYOTAは水素エンジン推しです。EV車は、バッテリーが低温度で急速に減り使えなくなるという問題や、天然ガスや石油や石炭などの燃料の高騰などの供給の問題や、ドイツなどの脱原発の動きなど、問題点が多々あります。ただここら辺は 技術的な開発や、新発見でガラッと変わることはありますから。バッテリーも、新素材の研究で低温度に強いタイプが開発される可能性はありますし。

電力の供給体制に関しても、メルトダウンしづらい構造の第四世代原子炉が普及すれば、安全性はより高まりますし、核融合発電が一般化した未来においては、EV車は有効でしょう。ただ現時点で第四世代原子炉は、研究開発が進んでいるアメリカとイギリスでも、2029年の商業用原子炉稼働が目標であって、まだ5年以上先の話です。TOYOTAの水素エンジン推しは、充分に利があります。

■水素貯蔵の素材と技術■

TOYOTAはかなり社内で未来予想と検討をして、その上でこれからは水素燃料エンジンという、方向性を決めたわけですが。内燃エンジンの車は、ガソリン車に軽油を用いるディーゼル車、ブラジルなどで多いアルコール車などありますが、水素エンジンと水素燃料は、その延長線上にあります。技術的には問題はないですが、水をどう貯蔵するかが、最大の課題です。これ自体は昔から研究されていますが、エタノールを分解して水素を取り出すとか、合金に吸着させるとか、様々な方法がありますが。まだ、決定的な解決素材はないですね。

TOYOTAは、樹脂製高圧水素タンクを活用した貯蔵モジュールを開発するなど、独自技術で進んでいます。逆に言えば、TOYOTAが水素技術で進みすぎているので、もしEV車よりも水素エンジンだとなると、他の自動車メーカーは、さらに大きな差が付けられてしまうんですよね。そういう意味では、TOYOTA締め出しを狙ったEV車推しが、下手するとトドメになりかねない面も。欧州の自動車メーカーは、もう引くに引けない可能性が。

ただ、TOYOTAは水素エンジン普及のため、技術を公開までしているんですよね。

■水素生成技術は充実中■

TOYOTAは、子会社のグループの豊田中央研究所が人工光合成の研究で、太陽光エネルギーを有機物に変換できる割合が0.04%から7.2%まで向上させて、ギ酸を生成するのに成功。今回のホウ化水素シートは、水素供給の面では、日本の研究は着々と言う感じですね。ほんと、後は安全な水素の貯蔵と供給なんですよね。その意味では、技術的なハードルがまだいくつかあるEV車と比較すると、水素エンジン車のほうが、実現可能性は高そうです。

何度か書いているように、安全性が高い第四世代原子炉の高温ガス炉は、その高温を利用しての原子力製鉄や石炭液化に加え、水素の生成も視野に入っているんですよね。高温ガス炉の950度という高温を利用して水素生成する、熱化学法ISプロセスという方法があるそうで。ヨウ素と硫黄という、ありふれた物質の化学反応を利用し、水を熱分解してを得る方法 だとか。そういう意味では、水素の生産体制は盤石。NH3の化学式のアンモニアも、水素キャリアとして優秀で、しかもこちらの生産技術でも日本は、かなり頑張っています。

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