バンコクマダム連載コラム『タイ生活』より  第12話・・・「美白」

次女が、年中の時の出来事だ。
娘は、我が家のようなタイ・日ハーフの子供にはとても有難い幼稚園に通っていた。日中は日本語の保育で放課後はタイ語を教えて下さる。
その幼稚園でいつも仲良くしていたちーちゃんは、ご両親がとてもタイ好きの日本人でタイ滞在期間にタイに親しみ、タイ生活をとても充実したものにされていた。

ある日、次女が気落ちした様子でその日の幼稚園での出来事を話した。
「今日、ちーちゃんに『(次女は)黒くて汚いから一緒に遊びたくない。』って言われた。」らしい。
うちの夫は、タイ人の中でもとても色の黒い肌をしている。私は、ちよっと黒い大阪人。そして、娘たちはその中間色の三色家族なのだ。
次女は、今まで自分で意識したことがなかった肌の色についてズバッと仲良しの友達に切り付けられた言い方をされ、かなりショックを受けたらしい。
ちーちゃんは、虫の居所が悪くて何となくそんな台詞を言ってみたんだろう・・・と思ったけど、一応こんなことがありましたと連絡帳に記し、先生にその出来事をお伝えした。
すると先生はすぐに対応してくださって、子供たちに「みんなもって生まれた肌の色は違う」ときちんとお話ししてくださった。

次女に、「先生もみんな肌の色はそれぞれ違うって言うてはったやろ。みんな生まれ持った肌の色が一番きれいやねんで。」と話した。
すると、すかさず
「お母さんっ!それは違うっ!!みんな、白い肌が綺麗で黒い肌は汚いって思ってる!」
と、すごい勢いで断言されてしまった。
あまりの勢いにたじろぐ私に次女が言った。
「テレビの化粧品のコマーシャルって『これを使ったら白くなります』ってばかり言うもん。黒くなるもののコマーシャルないもん。
みんな白い方がいいって思ってるからやん。」

ガーン・・・・・
私は、この次女の発言にかなりの衝撃を受けた。
そう言うたらホンマや。その通りや。
化粧品のコマーシャルは「白くなる」「白くなる」っていうものばかりだ。特に、肌の白さが美男・美女の最大のポイントになっているタイでは尚更だ。
そして突如、そんなコマーシャルを作る化粧品会社に猛烈に腹が立ち始めた。

「白くなる。白くなる。」って漂白剤かいっ!?
大体、カメレオンでもないのに生まれ持った肌の色が変わるわけないやん。まるで、それを使ったら全ての人が、マイケル・ジャクソンかおおかみと7匹の子ヤギのおおかみみたいにアッと言う間に肌が白くなるようないい加減なこと言うて。
そのコマーシャルで心が傷ついている人もいる事に気付いてほしいわ。
どの化粧品屋も、白くなる、白くなる、って呪文みたいに・・・・・
『あなたの生まれ持った素肌の色を最高に美しく引き立てる』とか気の利いた良心的なコマーシャルにしてほしいわっ!・・・と心の中で文句を言う。


そういえば、夫が言っていた。
タイの田舎の噂好きのお年寄りたちは、近所の若い人の結婚が決まると、その相手の人のことを聞くのに「お金持ち?」「色は白い?」が最重要チェックポイントらしい。
夫は、とても貧しい家庭で黒光りする黒い肌。
・・・タイの結婚条件ランク最低ですがな。笑



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これは、タイのフリーペーパー『バンコクマダム』に2013年から連載させてもらっているコラムをちょこっと編集し、まとめておきたくて書き留めています。

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