#033 職人への憧れ
小さな頃から、いろいろな夢を抱いてきた。
覚えてる限りでも、ケーキ(屋さんではなくケーキ)、名探偵、家を建てる人、仮面ライダーの妻、作家、先生、よくこんなに彷徨ってきたなあと思う。ちなみに長かったのは仮面ライダー妻と先生。
そういう「なりたいもの」みたいなものと並行して、憧れているものがそれとは別にある。
「職人」だ。
なりたいものは転々としている一方で、職人への憧れは幼い頃からずっと変わっていない。
もともと手仕事や生業のようなものが好きだというのもあったけど、中学生の頃、なぜか陶芸家に憧れて、そこに携わる人たちの本やコラムを漁ったり、動画を眺めたりしていた。
小学校で、地域の方々がわらじ編みや木工を教えてくれる時間があったけど、おじちゃんのその手つきにいつも見惚れた。
高校生の頃も、わたしは何らかの職人として人生を終えたいと本気で思っていた。
大学生になった今も、うまくいえない漠然とした憧れは消えていない。
けれど、○○職人という職業そのものに就きたいわけではない。
どうしてそこまで惹かれるのかを考えてみて一つ浮かび上がったのは、職人という肩書きがつく人たちに、気質みたいなものに、不思議な魅力を感じていたのだということ。
なんとなく生活していたらきっと知ることのない世界で生きていて、こだわりを持ち、理屈や言葉というより手先や感覚を信じてモノを生み出す。そしてそれが全く遠くにいる誰かの暮らしをやさしくてあたたかなものにしてくれる。
わたしが幼い頃からそこまで考えていたかどうかは微妙だけど、でもきっとそこに惹かれ続けている。
何かの職人でありたい。
わたしは何の職人になれるかな。
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