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ECMを聴く Steve Reich/Music for a Large Ensenble

学生時代にルチアーノ・ベリオの元で学びながら、コルトレーンのライブに足繁く通い、卒業作品ではクラシックの技法を使ったジャズの作品を発表していた。
ライヒにとってジャズからの影響は大きい。即興とはちがうライヒの表現の中にジャズの影を見ることは多い。

波打つような音を表現した代表作「18人の音楽家のための音楽」の後にリリースされた「大きなアンサンブルのための音楽」は、フレーズを繰り返し緩やかに表情を変化させながら展開していく。
「大きなアンサンブルのための音楽」を聴いていると、ずっと同じ場所にいるようで、ふと気づくといつの間にか全く違う場所にいるようなそんな感覚を味わう。

この頃のライヒは編成が徐々に大きくなるものの指揮者はたてず、アンサンブルの中で演奏者同士が目配せをしながら演奏する。即興性はないものの、ジャズバンドのような演奏者同士の距離感がユニークである。

ライヒがもたらしたミニマルミュージックは、後のニック・ベルチュのようなミニマルジャズとも繋がる、ECMのレーベルカラーを特徴付けるものだったのではないだろうか。

後にノンサッチレーベルからリリースされた「エレクトリック・カウンターポイント」ではパット・メセニーを起用していたが、ジャズミュージシャンがもつ即興とは違ったプレイアビリティの高さを求めていたからかもしれない。

ジャズ側からのミニマルへのアプローチとして、昨年2017年にリリースされた東京塩麹の「ファクトリー」も注目したい。ジャズアンサンブルの形をとりながらも、ミニマルに展開される音楽はECMの遺伝子を少なからず持っているとも言えるのではないだろうか。

Composed By, Liner Notes – Steve Reich
Design [Cover] – Barbara Wojirsch
Engineer – Martin Wieland
Performer – Steve Reich And Musicians
Photography By – Deborah Feingold
Producer – Manfred Eicher
ECM1168
https://www.discogs.com/ja/Steve-Reich-Octet-Music-For-A-Large-Ensemble-Violin-Phase/release/285074

https://itunes.apple.com/jp/album/steve-reich-octet-music-for-a-large-ensemble-violin-phase/840593565

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