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シカゴポストロック再訪 Jim O'rourke/Insignificance

「ユリイカ」でのバーバンクサウンドはジム・オルークの知名度を広げ、多くの人がアコースティックな彼の側面を求め、幾多のフォロワーを生んだ。
そういった人たちが「インシグニフィカンス」でのギターロックな音を聴いて、目に見えるように潮が引いていく様を肌で感じることがあった。

初っ端からドライブしたギターが全開で、アコースティックなものをイメージして求めていた人たちが離れていくのも当然なのかもしれない。

とはいえ、彼のもつひねくれポップな面が一番現れていて、個人的には一番好きなアルバムである。

ジム・オルークの作る歌詞はユニークで、前作「ユリイカ」では美しいメロディに下世話な内容の歌詞を盛り込んでいた。
一方こちらでは「ゼアフォア・アイ・アム」のようにある種のミニマルなロックに乗せて、繊細な歌詞を書いていた。とってもひねくれていて不思議な人だ。気になる人は歌詞カードを見ながら聴いて欲しい。

ジム・オルークはインタビューで、この十年実は「ユリイカ」よりもこのアルバムの方が売れていたという。
「ユリイカ」はエポックメイキングなアルバムだったかもしれないが、結果作品としてはこちらの方が好まれたというのも面白い。

「バッドタイミング」「ユリイカ」「インシグニフィカンス」とニコラス・ローグの映画のタイトルからとった三部作の中でも、「インシグニフィカンス」は実はアコースティックギターの録音が一番良いアルバム。常にパブリックイメージを裏切るジム・オルークという人の傑作。

https://youtu.be/C8sEMag7LsY

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