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ECMを聴く Eberhard Weber/The Colours of Chloë

重厚なストリングスの音色。まるで映画のサントラのような雰囲気がある。
クレジットを見ると複数のチェロで演奏されている様で、通常のヴァイオリン、ヴィオラなどを入れた編成ではない。エバーハルト・ウェーバー自身がもともとチェロを演奏していたからこういった形になったのだと考えられる。
これは一体ジャズなのだろうかと思っていると、バンドの演奏が入りECMらしいジャズの表情を見せる。

エバーハルト・ウェーバーは5弦ソリッドエレクトリックアップライトベースという、当時でも異色の楽器を使い、独特の音色を奏でている。アップライトベースながら、プレイスタイルはどこかフェンダーなどに代表されるエレクトリックベースで演奏されるようなスタイルも散見され、時折アップライトらしくない演奏が混ざる。

このアルバムはチック・コリアのリターン・トゥ・フォーエヴァーが切り開いたエレクトリックかつ、非ジャズからの影響が少なからずありその延長にあるとも言える。チック・コリアのようなブラジル音楽の要素はないものの、ジャズとは違うものを引き出し取り入れる様は形は違えど、レーベルカラーのバリエーションとして上手く収まっている印象を受ける。

サントラっぽいという感想を跳ね除けるようなタイトルのノー・モーション・ピクチャーでは、イギリスのカンタベリーミュージックのような雰囲気もあり、そういったファンにも受け入れやすい作品なのではと思う。

シカゴのポストロックを聴いていた耳を持つ人なら、このアルバムは自然と耳馴染むのではないか。小難しいと捉えられがちなECMの書作の中でもとっつきやすい作品なので、広く聴かれるべきECM初期の名盤の一枚だと僕は思っている。

Bass, Cello, Ocarina, Composed By – Eberhard Weber
Cello [Cellos] – Südfunk Symphony Orchestra Stuttgart*
Choir – Eberhard Weber, Gisela Schäuble
Design [Cover Design] – Maja Weber
Drums – Ralf Hübner (tracks: A2)
Drums, Percussion – Peter Giger
Engineer – K. Rapp*, M. Wieland*
Flugelhorn – Ack Van Rooyen
Layout – B & B Wojirsch
Photography By – Kira Tolkmitt
Piano, Synthesizer – Rainer Brüninghaus
Producer – Manfred Eicher
ECM1042
1974年
https://www.discogs.com/ja/Eberhard-Weber-The-Colours-Of-Chloë/release/4599052

https://itunes.apple.com/jp/album/the-colours-of-chloe/215537917

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