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ジョアン・ジルベルトガイド⑤/黒いオルフェep Cantando As Músicas Do Film Orfeu Do Carnaval 1959年

・黒いオルフェ

ここで、時計の針を少しばかり戻したい。
1959年、アントニオ・カルロス・ジョビンとヴィニシウス・ヂ・モラエスによるオルフェのブラジル版「Orfeu da Conceição」をベースにした映画「黒いオルフェ」が公開される。サウンドトラックを製作する際にジョビンとルイス・ボンファが招集され、主演の歌部分の吹き替えをする歌手が必要となった。ここでジョアンは候補として名乗り上げたものの、声が黒人らしくないという理由で却下される。
ジョアンはこの雪辱を晴らすべく、劇中歌であるA Felicidade、O nosso amor、Manha de carnavalの三曲を録音し、epとしてリリースする。(このレアなepの実物をご覧になりたい方は是非渋谷のバールボッサへ行ってみて下さい)。

・収録曲について

ジョビン作のA FelicidadeとO nosso amorの二曲はジョアンの全キャリアの中で、唯一サンバのアレンジが施された曲となる。後にこの二曲が無残な編集を施された事が引き金となり、裁判沙汰になるがその経緯を含め「声とギター」で取り上げたい。

もう一曲がボンファによるManha de carnaval。サンバカンサォンなマイナー調の曲。この映画がきっかけとなり、この曲はボンファの代表作となる。

A Felicidadeは80年代にモントルーでの素晴らしいライブが残されている。来日時のライブでもこの曲は演奏され、ジョアンは観客に合唱するように促したものの、ポルトガル語がわからない我々恥ずかしがり屋の日本人は残念ながら合唱できずに終わってしまった。モントルーのライブと同じく、ジョアンはサビの部分で何度もハミングしていた。

Cantando As Músicas Do Film Orfeu Do Carnaval

A1 A Felicidade(Antonio Carlos Jobim, Vinicius De Morais)
A2 Manhã De Carnaval(Antonio Maria, Luiz Bonfá)
B1 O Nosso Amor(Antonio Carlos Jobim, Vinicius De Morais)
B2 Frevo(Antonio Carlos Jobim)








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