見出し画像

私が欲しい「時間効率以外」のもの

オットとはそうそう意見の対立はみないし、むしろ大事にしているところは似ている。お互いに特に避けているものは時間を無駄にするもの、か。
ただ、なにを無駄とするかどうか、ちょっと細かい所には差違がある。ほんとうはそここそ、充分話すべきことなのだろうけど、会話少ないんだよね、うちw


子供達とアルバイトの話をしたことがある。
うちの子たちは通っていた公文教室で、バイトが出来るようになる16歳(まぁ、15歳くらいから雇って貰ってたけど)からずっとお手伝いをしている。これこそ「時間の無駄」的なバイトなんだけど(丸付けと、問題の解き方のヒントをあげたり、公文塾内のデータ入力とか、まぁ雑用)、その年令で面接もなくそのまま雇ってくれること、雇い主も長年の知り合いだし、大体働いている場所に「監督」してくれる雇い主がいて安全というだけでかなりハードルが下がる。あちらとしても本人の学力も親の考え方なんかも知ってるというのでお互い気楽だったのだ。

ただ、娘はこの秋から大学生。しかもアメリカでも一番宿題が多くて厳しいと知られる(工学系)建築学部なので(それに比べたら経済学部とか工学部とか、まだカワイイものらしい)、実質バイトはほぼ出来ない。公文バイトは夏に終わりにした。

それでも少し前に「休みの期間とか、バイトしたいな」とぽろっと彼女が言ったことがある。少しくらいは自分で学業にかかる部分、せめて材料費なんかをナントカしたいと。

「近所にターゲット*が出来たから、そこで週2くらい働こうかな」

(*ターゲット:ウォルマートの対抗馬みたいな巨大スーパー)

娘が何の気なしに言った言葉だったけれど、オットに一刀両断。

「そんな時間の無駄になること、やめろ」

その話はそのままになった。


もちろんオットの言うこともわかる。自分の時間を削って稼ぐというのは簡単に見えて、実は一番もったいない。自分の時間を豊かに使い創造的に時間(生産)単価をあげることは出来るのだから。
そんな時間の切り売りするくらいなら、自分の課題をひとつひとつ大事にやれ、その分のお金くらいはお父さんが出してやる。
多分そう言いたかったんだろう。

だけど、私は「人間はやってみて無駄なことを体感しないと前に進めないこともある」と思っているし「無駄な時間にもいくらでも自分が吸収できるものを探すことが出来る」とも思っている。そしてスーパーのバイトなんて、多分娘が社会に出たらやるチャンスはないだろう。


働くなら時間にレバレッジ(てこ)を効かせる。

これは稼ぐということを考えた時に絶対知らなければいけないことだ。けれど、文字の上で知っているのと「実際それは 創意工夫をこらすか、相当勉強しなければいけないことで 簡単ではない」と分かるのは、天と地ほどの差がある。

残念な事に、これだけAIが社会のあちこちで使われ始めた今でも、人間の社会活動の多くは「時間提供による労働」で支えられている。時間と引き換えに稼ぐということは、賃金というのがどこから出ているか、を考えることでもある。社会構造の土台部分に何があり、どういう問題があって、「相手の靴の中に足を入れてみないと分からない」問題点が見えなかったらそれらの改善点なんて出てくることもない。


効率だけ見ていくと人間までロボットに見えてくる。
だけど、実際の私達の社会はたくさんの非効率的で美しいモノで溢れている。効率を追わないところに愛おしさがある。 

時々オットに聞いてみたくなる。無駄の中の美ってのについて、どう思う?って。そういうのは「用の美」だからそれは無駄じゃないんだ、って言われそうだから、多分聞くことはないけど。

・・・ということを、うたたネさんのこれを読んで思い出した。

私もホテルで働きたかったんだよなぁ!サービス業のいきつくところ、って感じじゃない?もちろん、働いてみたいところはなかなか求人なんてなくて、大学時代に空き時間バイトなんて出来る職種でもなくてやれなかった。

うたたネさんも書いていらっしゃるが、コスパで考えるんじゃない魅力、そういうものが実は世界を美しく、心が癒える場所たらしめるんじゃないかと思うんだよね。

このシリーズはまだ続きそうなので、ぜひ読んでほしい。面白いので。

サポート戴けるのはすっごくうれしいです。自分の「書くこと」を磨く励みにします。また、私からも他の素敵な作品へのサポートとして還元させてまいります。