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大丈夫な気がするけどそうでもなかった。

うわぁ、身体が軽い。

「ああ、今まで本当は不調だったんだな」と実感するほどに、身体の細胞の5〜6割が跳ねている、朝だ朝だって。

家庭内「新型コロナ濃厚接触」者だったのでまぁ感染するのは仕方ないなぁって思っていた。ちょうど冬時間に切り替わるころ、症状が出てきた。

でもさぁ、ワクチンはフル接種、しかも3回目4回目の副反応はひどかった。アレを超えてるんだから大丈夫なはず!と無根拠に思っていた。(あ、副反応の有無/酷さは免疫の強さと関係ないって言われております)

そして少しずつ、熱はさほど出ないけれど徐々に喉の痛みや咳、ハナの症状、だるさが酷くなってきた。調子悪いんですって誰かに言うほどじゃないけど、今思うと調子悪くなっていた。どんなだるさか、というと、掃除機をかけるとぐったりする。家の階段を2往復するとゼイゼイする。食欲も落ちた。実はしばらく文章も書ききれなかった。アタマがギブアップするのだ(飽きっぽいからというのも否めないが)。

だるさが抜けないので血中酸素飽和度測定器(パルスオキシメーターという)を時々つけてみた。大きな洗濯ばさみの痛くないやつ、という感じなので手軽だけれど情報は多い。喘息なんかを持ってる人はいつも病院で最初に付けられるアレね、ってなるだろう。うちは子供達が喘息持ちだったので1つ常備している。

平地なら健康な人は血中酸素飽和度の数字は100%近い。軽い喘息発作で95〜97%とかの数字(それでも苦しい)、酷い発作だと93%前後、それと同等〜90%前半になると入院管理レベル。パルスオキシメーターで測れる血中酸素飽和度の数字を見ると、結構振れ幅小さいところで人間って生きてるものだと思う。

で、だるいと思って測った私の数字は95〜97%。とはいえ、ここは海抜1500m、このくらいの数字はそんなに驚かないけれど(飛行機で日本から来たばかりの人は大抵97%以下になる)時々数字は落ちて93%から動かないときがある。念のため指を変えて何度か測ると、もっと落ちたりしばらくして97〜98%に戻ったりする。むむむむ、苦しいという自覚がないだけに不気味な数字。

その晩はオットが当直、つまり私は家に一人だった(猫はいるが、レスキューには役に立たん)。さすがに不安になる。

夜中に咳き込んだりちょっと苦しくて起きたりする(いや、寝てて苦しい、って既におかしいけど)とパルスオキシをしばらく着けてみる。起きるだけあって?数字は低め。怖いなぁ。指を変えたり体勢を変えたりして何度もやり直す。やり直しても同じだったり、ときに88とかいう数字になったりする。
これか、これがコロナの怖さのひとつだったのか。

真綿で首を絞める、という言葉があるけれど、首を絞められている実感があるほうが対処ができる。その時の私にはほとんどそれがなかった。
眠れなくなって指先の洗濯ばさみ上で光る数字の推移を追う。前触れなくゆっくり97→91みたいに変化していき低い数字で動かなくなる表示を見ながら、眠っていたらそのまま永遠の眠りに、ってなるのもあり得るかもなぁと思った。実際そんな感じの急変は、この2年沢山報告されている。

こんな風邪程度の症状だから私は平気、と思っていたが 医療者にとってこの数字は全然平気ではない数字だ。
こちらのミスによるエラー(「洗濯ばさみ」の汚れとか、爪が汚れてないかとか、しっかり当たっていないとか、指が冷えてて血流悪いとか)を考えていろいろやってもそんな数字。

結局一晩中、緊張していてウトウトするくらいだった。
オットが帰宅したところでその話と、簡単な動きでの息切れもあることを伝えると彼もさすがにうーん、と考え込んだ。そのまま朝一番で受診して、「COVID-19, インフルエンザ、RSウイルス」という3つの流行病はやりやまいの感染有無を調べることのできる検査をし、診察してもらい、そのまま帰宅。一時間後に「他は陰性だったけどCOVID-19は陽性」との電話連絡があったので、希望して薬を処方してもらった。(「薬、処方できますが欲しいですか?」って聞かれる。咳止めとかは断ったけれど、これは欲しい、と伝えた)


薬を受け取り一日分(朝の分と夜の分)飲んで、そんなに速く効くことはないだろうと思っていたけれど、気のせいだろうか、食欲が少し戻り寝る前は大分アタマがすっきりしていた。昨夜は咳き込んで起きたのも3度くらい。オットは昨日も出張でいなかったのだが、「前の日みたいに勝手に酸素が足りない状態にはならないだろう」となんとなく思えたのは寝る前の自分の状態が明らかに前日より良かったからだ。

そしていつもどおりの時間に目覚める。目覚ましの鳴る前に。
その時思ったのだ、「うわ、身体が軽い!」って。


まだ回復というには程遠いかもしれない。洗濯物を干してるだけで目眩がするし、食器を片付けていたら疲れてしまったので掃除機を使うのは免除!にした。
でも調子の悪いところとイイ所の差がわかる。これは大きな差だ。

日本は第8波とからしい。もう感染者数とかいいよ、予防はしてるしさ、って人も多いと思う。分かっていないままに「インフルエンザと同じ、五類っていう分類に下げたらもっとみんな自由度あがるでしょ」って言ってる人たちも多い。医療者もそう言ってる。

でも今回強く実感したことが2つある。

1.やっぱりなめちゃいけない
2.今感染症としての規定を変えてない一番の理由は医療費負担かも

1について、もうアメリカではマスクは回復期の人以外は義務じゃない。でも感染力はものすごくて(多分我が家はしつこいくらいにマスクと手洗いなんかを続けてる珍しい家庭だと思うのだが)今回は本当にびっくりした。

そして自覚症状のなさ。つまり「軽症」「風邪程度」と言われる所以だろうが、罹患してみて正直不気味だった。パクスロビドという抗ウイルス剤を自分が求めるとは思っていなかったが、一晩指先のモニターの数字をじっと見ていた恐怖を味わったあとはやれることはやっておこう、になった。

どのくらいの症状か、は個人差が大きい。だから一概に言えないけれど、治療する側のことも知っているから私は怖いなと思った。ワクチン、そしてこの薬はじめ抗ウイルス剤としての薬が開発されるまで何もできなかった、という現実。別に科学が全てとは思ってないけれど、それでも何か対策できるという有り難さよ。

風邪でしょ、はパンデミック当初も聞かれた言葉だ。その人達が今も意見を変えず元気にいられるならいいなと思う。なんだったら、みんながあの頃の恐怖を忘れられたらいいなと思う。
でも「弱毒化」したと言われる今の時点で得た私の経験からは、やっぱりなめちゃダメだと思うのだ。どんなひとだって、いきなりこの世からいなくなったら泣くひとはいるんだ。

そして2のこと。どうして感染症五類という分類に下げられないか、は、ワクチンや治療薬に対し公費が出なくなるからです。どれだけ高価なものか知ってますか?私の使ってる効果が高いと有名な飲み薬、正式な値段は分からない(窓口での支払いはゼロだった)けれど、新薬で安価なんてありえない。これ、自費だったら大変だと思う。

お、探したらYoutubeにもあるじゃん。これわかりやすいですね。



少しずつこれまでの世界に戻したいけど、ちょっとだけ、警戒心はもっておこうね、って周りの人には伝えたいのだ。
(私もよくなってきてもまだ、だるいしね・・・)
長文、失礼しました。みなさんご自愛くださいね。

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