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【組織のWEB制作を効率化したい方へ】Adobe XD を用いた制作フローの本格導入のために(個人的な覚書程度に)

この記事をおすすめしたい方
・WEB制作会社のマネジメント層の方
・WEB制作にAdobeのIllustratorやPhotoshopを用いているデザイナーの方
・WEB制作にPower PointやExcelでワイヤー作成しているディレクターの方

話を始める前に、僕が参画している組織・置かれている環境について少し触れさせていただきたい。
うちでは営業と制作で部門が分かれており縦割りの組織体制となっている。提供サービスの一つであるWEBサイト制作は、一定のレギュレーションを保ったCMS・サーバー構築、ホスティングまで請け負うパッケージ商材として販売している。
そして今、弊社のWEBサービスは問題を抱えている。平たく言うと、サービスの改修がなされていなかったこと(色々ありまして。。)や、部門間のコミュニケーションロス、教育体制が十分に行き届いていないことに起因した、WEB制作のサービス・クオリティーの市場競争力の低下が著しいという点だ。
僕は制作組織の一員で、デザイナー兼アートディレクター兼ディレクターとして複数の案件制作に携わりつつ、制作部門の全体クオリティーの向上や制作効率化を担う立場にある。
で、色々問題あるけど、まずは制作スピードの向上から手をつけようとして、Adobe XDの存在を知り、自分でも制作を行う案件にテストケースとして早速XDを導入。思いの外、というか(うちの制作組織にとって)ものすごく良いので組織に負荷かけてでも導入させるための覚書として作成した次第。その点を踏まえて読んでいただけるとありがたし。。
※うちではアプリ制作は行なっているものの、もっぱらWEBサイト制作のため、アプリ制作に関しては細やかに記述できない(ごめんなさい)が、悪しからず。。


Adobe XD とは

Adobe社が提供している、Adobe Experience Design(通称XD)はWEBサイト・アプリのワイヤー作成・デザイン作成・プロトタイプ作成まで一気に担えるツール。エクスペリエンスの名の通り、ユーザー体験の設計するうえでの助けになるかと(めっちゃ助かってます)。

Adobe XD オフィシャルサイト
アドビの新しいUXデザインツール、Adobe XD (Preview 1) 登場!使い方をクイックに解説

Web制作にXDがいい!と感じる点(2018年7月時点)
●とにかく軽いのがいい!!
→アートボードをいくら作っても大丈夫(高画質画像を多く配置していると重くなる。。)

●アセット機能がいい!!
→文字スタイル・カラー・シンボルでより早くデザインを

●プロトタイプ機能がいい!!
→顧客・メンバーに対して、すぐにWEBブラウザでのページビューの確認が可能に。

●デザインスペック機能がいい!!
→フロント実装の指定が楽に。デザインとのブレを低減。

●他ツールとの連動がいい!!
→CCライブラリでの連動・インポートが可能。
→Illustrator、Photoshop、SketchファイルをXDに変換することも可能。

●導入コストがいい!!
→Creative Cloudコンプリートプラン 4,980円/月、単体プランで1,180円/月

細かなことを言うと、制作における制約があるな、やっぱりPhotoshopやIllusratorの方が作り込みができるな、と感じるられる点も多い。それでも一定以上のデザイン品質も担保できる。


何のためにやるか

なぜXD導入をうちで推し進めようとしているのかについて。経営的な視点からも(経営的なのかどうかは不明)。。ちょっと長くなります。。。。

1.当然だけど、制作スピードが向上するから(ツールの集約化)
2.(会社都合だけど)短・中期的には組織人員にゼネラリストが必要だから
3.市場競争力の高いサービスの提供・人員育成を行うため

とりあえず上記3点。

1.制作スピードが向上するから
具体的にどう効率化するのかについては後述するが、メリットとして大きいのはWEBサイト制作におけるディレクション、デザイン、顧客確認・フィードバック収集、フロントエンド・開発面の仕様確認・策定がXDによって(全てではないが)、ツールを集約化できる点。これによって、控えめに言ってもWEBサイト制作全体における工数が1/3程度になるのではないだろうか(個人の感想です)。
ツールの集約化によって、ツールによる教育・管理コストも低減。
ことアウトプットすることに関しては、デザインツールのスキルがあるデザイナーしか対応できないと判断されることが多いため、デザイナーの負担面が大きい、が、XDを取り入れることでディレクターとデザイナー、フロントにとっても共通ソフトとして活用できるため、共通言語が「あ、ちょっとここ作成したい」のアウトプットをデザイナーだけに頼ることが減少する。

2.(会社都合だけど)短・中期的には組織人員にゼネラリスト・越境する人が必要だから
うちの制作組織の人員構成(ざっくり)
● デザイナー、動画制作を行うクリエイター(5割)
● フロントエンド、マークアップ、エンジニア(1割)
● 業務、雑務フォロー(1割)
● 営業、管理、ディレクター、PMなど兼務(3割)※僕はここ

これまで、WEBサイトのテンプレート商材を制作してきた制作部門。WEBサイトのディレクションに関しては、営業部門が担っていた。
そのため
● オペレーション業務の効率化(決められた業務をいかに早く遂行するか)に慣れた人員が多い。
● 部門内で業務分担しており、当然普段業務で触るツールの習熟度やスキルセットに偏りがある。

制作部門における現在の問題として、WEBサイト制作におけるパッケージ商材の市場競争力低下を背景に、営業が注力する販売商材が別商材に傾倒している状況にあり、流れてくるWEBサイト制作ボリュームが減少している。
当然だが、会社に発注のあった業務に対し、利益を最大化するため、効率的に行えるスキルセットを持った人員を配置するべきである。
うちでは制作ボリュームの減少によって、業務を分担していたことが裏目に出ている。分業は他業務への意識が希薄化につながるが、その分、業務効率へ特化できる。がそれは一定以上の制作ボリュームがなければ数値的なパフォーマンスが低くなってしまう。。ボリュームが減ると、余剰時間が発生し、パフォーマンスが低下、経営側は少しでも人員のパフォーマンスをあげようと、マルチな仕事を求める。
場合によっては人員のスキルセットに合わない業務を行わせることになってしまう(人員の成長を見込まず、目先の売り上げばかり追うと、スキルセットにそぐわない非効率的な業務を行わせることに。→モチベーションの低下、人材定着率の低下)。

ただ、スタートアップなどサービスのマネタイズが成長・成熟していない場合は、そのマニュアル化まで手が回らず、イレギュラーな業務は必ず発生する。安定的な売り上げも確実に見込める訳ではなく、関与する全員がゼネラリストにならなければ到底乗り切ることができない。

サービス・企業の黎明期:
問題解決の方法を策定する。全員がゼネラリストになる意識で(人員には負担かけてしまうが)、都度発生するイレギュラーに対応し、解決策を捻り出す。
サービス・企業の成長期・成熟期
制作ボリュームが確保できたら業務の効率化を図るため、業務分担化するなど(当然一概には言えないでしょうが。。)


黎明期の負担を乗り切るために重要なのは、成長期までの筋道・目標を全員で共有できていることだと考えている。

うちで現状の打開のために必要なこと・今行なっていること(共有)
①とにもかくにも!WEB制作会社としての総合的な制作能力の向上(特にディレクション)。
②新規WEBパッケージ商材の企画開発(営業部門への教育も)
③ ②に並行して、人員の業務内容を再定義(業務・パフォーマンス管理の効率化)
②次に強みを伸ばし(僕らは数多くのWEBサイトを制作してきた。さらに良いWEBサイトをより早く作れる!(はず!!))、顧客チャネルの拡大を。デザイン・動画制作のインバウンド受注に向けた施策
③目指すべきは、新規商材・自社商材の企画、開発、販売

→上記を達成するためには、まず何よりも組織に属する全ての人員が「業務改善」「企画能力の向上」の意識を持ち、自身以外の業務を把握・理解し、自身の業務を超えて、越境して動ける方(ゼネラリスト)になることが必要(意識醸成を促進するための施策が重要ですが、その試作すら一緒に考えてもらえる社員になっていただくことが大切)。

マネジメント側から考えると
「専門の業務に特化することはもちろん、業務の流れを包括的に捉え、自分の業務改善に加え、業務範囲外にも口出して然るべき人員に改善を促す人員をメチャクチャ評価する。」とか「手を動かす人をメチャクチャ評価する。(いいウェーブには乗って手を動かすし、乗らないにしても対案を出して・手を動かす)」
まずはこれさえ徹底すればいいのかなとも思っていたり(浅はか)。。

もちろんスペシャリストとして特化すること。また、そのスペシャリストを評価する(できる)機能は企業にとって必要だが、全体の底上げをするためにも「全員ゼネラリスト」の意識は持っていて間違いではないと思う。

サービス・企業としての市場競争力の向上に繋がります(3.市場競争力の高いサービスの提供・人員育成を行うため)


まとめ

●XDはWebサイト・アプリ制作において、デザインだけではなく制作フロー面においてメリットが大きい。導入コストも低い。
●ツールの集約化によって、全員が制作に対して参画している・できるという意識醸成に役立つ。
●制作工数を圧縮し、質の高い「企画」を生み出す時間を確保する。高品質なものを、いかに早く制作できるかを追求する。


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