2023年冬アニメ感想

つってもそんなに見てないけど。
なお2期ものは好きで見てる部分があるので、評価は省略しています。
つっても見てたの吸血鬼すぐ死ぬ2しかないけど

評価:S

 なし。そうめったにポンポン出るもんでもない。

評価:A

お兄ちゃんはおしまい!

 本当に評価していいのか困るタイプの怪作。題材があまりにもニッチというか人を選ぶというか……アニメーションとしての完成度は物凄く高かったのでここ。

 制作は『無職転生』のスタジオバインド。なんかもうこの時点でアニメーションとしては大当たりという予感しかないが、実際訳の分からんところで持て余してる作画力を謎に開放してた。ジャガイモとか水道水とか。
 逆に言うと、そこの部分に関しては手放しで評価できるポイント。

 評価できないわけじゃないし個人的にはめちゃくちゃ評価してるんだけど、絶対に人にお勧めはできない。例えば去年で言えば『ぼっち・ざ・ろっく!』や『着せ恋』、『リコリス・リコイル』なんかは(万人受けするかは知らんが)アニメそのものに抵抗があるのでなければ受け入れられやすいと勝手に思っているわけだが、如何せんこの作品に関しては色んな性癖に刺さるパーツをこれでもかってくらいに詰め込んだ闇鍋。正直1話の出だしが既に振り切れてるので、自分も1話見た時の感想は面白い・面白くないよりも何よりもまず困惑が一番先に支配してた。多分この手の困惑をずっと抱えたまま最終話まで突っ切ったのは『ハッピーシュガーライフ』以来で、個人的にはそれくらい評価に困る感じ。

 以前Twitterで「加点方式で高点数になるアニメ」と「減点方式で高点数になるアニメ」それぞれの代表例として前者に『リコリコ』後者に『ぼざろ』が挙げられていたのを見たことがあるのだが、この作品は分かりやすく前者のタイプのアニメだと思う。
 演出に関しては流石の制作力で文句の付け所がなく、「エモさ」を感じる要素が各所に散りばめられている。そのため「ここすげえ!」とか「てぇてぇ」が無限に積み重なるタイプの評価をする人にとっては無限に点数が高くなると思う。
 自分は減点方式で評価をする傾向が強いので、最後までその困惑を拭い切れないまま終わってしまったが……

 とはいえ異常なほどよく動くしキャラクターも魅力的な子ばかりで、TSFというジャンル自体を忌避しているわけでないのなら1話24分かけて自分に合うかどうか考えてもいいくらいの価値はある作品。
 因みに筆者はTSF系のアニメを初めて完走しました。『君の名は。』見ないで人生を終えるタイプだから仕方ないね。

ツンデレ悪役令嬢リーゼロッテと実況の遠藤くんと解説の小林さん

 1クールで綺麗にまとめたタイプの良作。逆に言うと2期は期待できないが蛇足になる気がするのでそれはそれでいいだろう。
 なお作画は手塚プロダクションらしくかなりしんどい

 作画がしんどいとは言ったが『五等分の花嫁』1期ほど壊滅的ではなく、『安達としまむら』くらいのギリギリ見れる範囲。ただ中盤はかなり溶けてたので気にならないといえばウソになる。

 個人的にはシナリオ面がかなり良好で、出オチみたいな掴みすらある設定からここまで話を広げたものだという感じ。
 駆け足だったとは思うが、リーゼロッテ&ジークヴァルト、フィーネ&バルドゥール、遠藤君&小林さんの多方面ラブコメをまとめ切ったのも大変良い。

 どうしても作画が怪しかった分シリアスは気の抜けた感じになってしまっていたのが惜しかったが、ラブコメで為すべきことはしっかりできていた良作だった。

便利屋斎藤さん、異世界に行く

 各種コミックサイトで公開されていた数ページで完結する漫画を集めてアニメ化したような作品。最近で似たようなものだと『可愛いだけじゃない式守さん』『先輩がうざい後輩の話』なんかがあったと思うが、この作品は短編ごとのサブタイトルも表示されるスタイル。

 大枠としては概ね3部構成で、中盤にあたる部分だけ個人的には評価がやや落ちるが、序盤・終盤は文句なく面白い作品であったためA評価。

 序盤は短編の漫画をそのままアニメーションに落とし込んだような小話群。要は主人公パーティがどういう人たちなのかというのをギャグ込みの短編で3話分かけてじっくり描写し、ちょっとダレかけてきたところで大きく話を展開させて中盤に進む。この流れはほぼ完璧だった。

 個人的に評価を少し落としたのがこの中盤で、事情を抱えた強敵との戦闘がキモだったのだがテンポが悪く感じた。具体的に何でそう感じたかの理由は正直よくわからないが、とにかく全体的に間延びした感は受けた。

 その分かどうか何とも言い難いが、終盤の盛り上がりは凄まじかったと思っている。特に10話は今季で一番好きな回といっても過言ではない。
 登場人物一人ひとりの言動と最後の衝撃で感情ぐちゃぐちゃになった。

 制作はC2C。個人的には『はるかなレシーブ』『ひとりぼっちの○○生活』『魔女の旅々』『終末なにしてますか?忙しいですか?救ってもらっていいですか?(サテライトとの共同)』など好きな良作を提供してくれる率が高く、原作要因で微妙な作品になってもアニメーションとしてのクオリティはある程度担保してくれる、信頼のおける制作という認識。
 今作においても作画は最初からずっと安定しており、激しい戦闘シーンであってもよく動き続けていた。

 笑いあり涙ありで、異世界ものとしてはかなり見やすい部類なのではないかなと思う。筆者が最後まで楽しく完走できたくらいだし。年間トップみたいな傑作ではないが、間違いなく良作であった。

トモちゃんは女の子!

 web連載時は見たことなかった作品で、既に完結して時間も経った2023年になってアニメが放送された奇妙な経緯を持つ。
 そのせいか初見なのに作品全体の雰囲気に懐かしさすら覚え、今期多かった糖分マシマシドバドバ注入アニメとはまた違った感じのラブコメ。

 正直2話くらいまでは切ってもいいかなと思ってた。淳一郎の言動が序盤はあまり気に入らず、「うーん?」と思ってしまっていた。

 ただラブコメはキャラが出揃ってからエンジンがかかるというのは世の常で、この作品も例に漏れずキャロル・オールストンというキャラクターがあまりにもおもしれー女すぎて視聴を継続していたら、いつの間にか作品全体のクオリティがめちゃくちゃ上がっていた。

 中盤以降は当初不快だった淳一郎の言動の理由も明かされ、それぞれのキャラクターが不快感ない程度に魅力的で、また「これ本当にラブコメか?」と疑問に思うくらいスポーツシーンやバトルシーン(!?)で縦横無尽に動き回るので、本当に尻上がりに面白くなっていった。

 1クール13話の中で色々とエピソードを取捨したんだと思うが、かなり綺麗に構成されていてこれ以上何も求めないくらい完璧に終わったとまで言ってしまってよい。
 それゆえに2期はほぼ間違いなくないが、軽い気持ちで見直せる良作といって疑いないだろう。

評価:B+

とんでもスキルで異世界放浪メシ

 異世界版『ゆるキャン△』的な。基本的には良くも悪くも毎回やることは変わらなく、フェンリルが魔物を狩ってきて主人公が料理する。
 タイトルに嘘偽りはないが、とんでもスキルを持っているからといって主人公の戦闘力が高いわけではなく、無双しているのは専らフェンリルと途中で加入するスライム。

 制作はMAPPA。『呪術廻戦』『チェンソーマン』など話題作を数多く手掛けており、流石に場数を踏んでいるだけあって作画が非常に良い。良すぎて深夜や空腹時には見れないし、何なら飯食ってる時に見ても腹減ってくる。

 何を一番魅せたいのかを理解している作品で、タイトルに「メシ」なんてついているくらいだからこの作品の肝心要な部分は食事。そこが良ければ評価は青天井に高くなるし、逆にメシがうまそうに見えなければ作品の名が廃る。
 その点に関してはこの作品は全く文句がなく、料理シーンがある回では食材の描写にこだわりを感じ、結果毎回のように見てるだけで腹が減ってくる。大事なことなので2回でも3回でもいう。

 またスキルを介して現実世界の物品を購入できるという設定のため、スーパーで見たことあるもの。買ったことあるもの、食べたことあるものがちょくちょく出てくるのは面白いところ。
 肉こそ架空の存在のものだが、実在する肉だと○○に近いみたいなことを言ってくれるので、やろうと思えばマネできなくもない……のかな?筆者は料理とかそういう手先を要することてんでダメなのでさっぱりわからないが。

 ここまでべた褒めしておいてなんだが、A評価にしなかった理由はやはり回が進むにつれてのマンネリ化。
 スライムを出してみたり、女神を出してみたり、拠点を構えてみたりと色々マンネリにならない工夫は感じられるものの、最終的に行きつくところは狩りをして料理するというパターンなので、どうしても飽きが来てしまうところ。
 ただこれに関してはこの手のテーマを決めているタイプの作品全般の抱える課題なので、そういうのが気にならない人はとことん楽しめるとは思う。
 少なくとも全12話のアニメーションとして見た場合には文句の付け所はないので、微妙に好みが合わなかったというところ、料理だけに。

評価:B

転生王女と天才令嬢の魔法革命

 Twitterとかだと異世界版『リコリス・リコイル』とか言われてたやつ。ただかなりガッツリ百合よりなのでドラゴンとかと戦ってる『安達としまむら』とかそういう方向性のような気もしないでもない。

 今季は作画で苦しんでいたり、そもそも完成できずに落としたりする作品が相次ぐ中、この作品に関しては作画面で気になるところは全くなかった。全12話の中でこれは溜め回なんだろうなーってのはあるにはあるけど、要所は抑えてるしバトルシーンでカロリー過多になるくらいしっかり動いてるので全体として見ると全く気にならないレベル。
 まあ制作のディオメディアって基本的に作画では困る印象ないし。『艦これ』とか『しょびっち』はちょっとアレだったけど作画が溶けたりすることはなかったはず。

 シナリオ面は正直ちょっと無理したなって印象。そんなとこまでリコリコにならなくていいから。雰囲気で押し通してるとかそういう感じではないんだけど、何となく端折ってる感というか、終盤駆け足になったなーとは感じた。
 原作がある作品なので色々切り貼りしてるんだろうなとは思うし仕方ない部分はあるんだけどね。
 ただ、ここを強調して見せたいんだ!っていう制作の意気込みは感じるし強く伝わるので、それはとても良かったと思う。

 総合的に今季の作品の中では文句なしに上位で面白かった。転生ものとは言いつつ転生要素がほぼなく、所謂無双系とは遠く離れた感じなのが個人的にはすごくよかった。
 ただ喉の奥に魚の小骨が引っかかってるようなもやもや感も抜けないというか、やっぱり王位継承権がどうたらこうたらってところに入ってからのシナリオの進め方がちょっと合わなかった。なのでこの評価ではあるんだけど、限りなくAに近いB。

 王女様がかわいかったってのが一番最初の感想だけど、自分が一番この作品で好きになったのはアルくんです。あのくっっっっっっっっっっっっっっっそめんどくさい拗らせ方した感じがたまらん。

評価:C

お隣の天使様にいつの間にか駄目人間にされていた件

 物凄く勿体ない作品。制作ガチャで泣きを見た感じ。原作買えってことかな。

 一時期ラブコメ・恋愛系のアニメ作品は1vs多の傾向が強く、「最終的に結ばれるヒロインは誰だ?」的な側面も強い作品が多かった(と勝手に思っている)。『とらドラ!』『ニセコイ』『五等分の花嫁』あたりが分かりやすい、のかなぁ?
 ただ最近はとにかくメインの女の子を一人据えて、ひたすらその子とイチャイチャするみたいな作品が主流になってきている(とこれも勝手に思っている)。『からかい上手の高木さん』『一週間フレンズ。』『月刊少女野崎くん』みたいな感じ。当作品もこっちの系譜で、ラブコメからコメ成分をかなり取っ払った、イチャイチャ度マックスの作品。ノンストレスで楽しめる分こっちが主流になったのかな?どっちもそれぞれ違った良さがあるんだけどね。

 なので重要なのはシナリオの重厚さや演出の巧みさ等よりも、如何にヒロインが魅力的に描写できているかになるのだが、その点に関してはこの作品は文句ない。この作品でメインに据えられた女の子・椎名真昼は非常に魅力的で、アニメーションとしてもこの子をどれだけかわいく、魅力的に映すかを徹底している。

 ただそれ以外の全てを切り捨てている。より具体的に言えば、真昼が好きになる男の子のほうである藤宮周はもとより、引きの絵になると真昼ですら作画が溶ける
 制作はProject No.9。ここは中々厄介で、作品的に要所を迎える回でも普通に作画が溶けたりする。『弱キャラ友崎くん』8話でも作画溶けてたし、この作品でも普通に重要な転換期を迎える8話で作画ドロドロベトベトン。じゃあなんで『幼女幽霊』だけはあんな意味不明なほど張り切ってたんですか?制作はロリコンなんですか?『りゅうおうのおしごと!』もさほど溶けてなかった気がするし多分ロリコンですよね?

 とにかく、作画の面でかなり割を食っており、キャラクターの魅力に没入できない。この手の作品でこれはかなり致命的で、それだけでいくらでも
評価を落とそうと思えば落とせてしまう。
 『ツンデレ悪役令嬢~』でも作画は触れたのだが、それよりもこちらの評価が下になっているのは、この作品の作風的にシナリオで勝負するものではない(=キャラクターの魅力という部分での一点突破を試みる作品である)からというのが強い。周は場面が切り替わるたびに顔が別人に変わるし、アナログ時計は我々の世界では絶対に刻みようがない針の重なり方をする。キャラクターの魅力に浸っていたい作品で細かいところから細かくないところまで気になって仕方ないという状態に陥ってしまうのが本当に勿体ない。

 総合的には映像化失敗といった感じ。原作は未読だが非常に魅力的なんだと思うし、シナリオ的にも心躍らせるような展開こそなかったものの男女どちらも魅力的なのは間違いなかったのだが、何せそれをアニメーションとして落とし込む時にノイズが大量に乗っかってしまった作品。
 まあよくある原作販促アニメですね。おい販促だろ。
 
なお筆者はMONGOL800もGReeeeNもflumpoolもドンピシャな世代なのでEDが懐メロ枠に入っていることに涙を禁じえない。モンパチは青春時代全然聴かなかった気がするけど。

 因みに筆者はPCの画面左半分でこれかおにまいを流しながら右側でウマ娘やらマスターデュエルやらやったりしてた。おにまいは脳みそ溶けてても見れるくらいの雰囲気の作品だし、これは作業用BGMもといASMRとしての適正はSランクだったと思うし、作画に目を瞑れば好みの作品だったから……。
 他にも転天とか便利屋とか流してみましたが結構シリアスきつめな作風だったのでここら辺に落ち着いた。

評価:切った

老後に備えて異世界で8万枚の金貨を貯めます

 確か3話くらいで切った。絶望的に主人公が不快だったのが理由。
 コレットちゃんはかわいかった。でも主人公が不快だった。あとイマジナリー兄貴もなんか不愉快だった。
 ちょくちょく挟まるギャグも肌に合わなかった。こればっかりは仕方ない。パロディネタはうまく調理しないと唐突に突っ込まれた感が強くなりすぎて浮く。

 いやまあ不愉快さを覚えた理由は分かり切ってて、個人的に無双系が合わないってのは一つある。SAOも殆ど見てないしオバロも途中で切った(トカゲがわいわいやってるのが長すぎたのが理由だけど)。
 ただキリトもアインズ様も魅力的なキャラクターなのは今更言うまでもないところだと思うが、この作品の主人公に限っては外面以外何も魅力がない。

 最終的に全部の経歴を嘘で塗り固めて貴族に取り入ってるところで不快さが頂点に達して見るの止めた。クソアニメとしても楽しめない類のやつだったし。
 去年放送の『群青のファンファーレ』とかいう全ての競馬好きとウマ娘好きを嘲笑ったクソアニメ、あれはぎりぎりクソアニメとしての不愉快さをクソアニメとしての面白さが上回ってたから最終回までなんやかんや見れた部分はあるけど、こっちは割とすぐに不愉快さが上回ってしまった。
 好きな方いたらごめんね。

評価:来期に期待

久保さんは僕を許さない

 今期見ていた作品の中で唯一延期になってしまった作品。まあ今期は糖分マシマシアニメが多かった(天使様・ツンリゼ等)ので、一個くらい消えたところでその成分には困らない。
 見てないやつはたくさん延期になってる。あやトラとか防振りとかニーアとか一週遅れたりしたよね。

 6話までの評価で言えば文句なしにA。だからこそ完走してほしかったが、納品を優先するあまり作画がグダってしまっても悲しいので、仕切り直して良いものができるのであれば一視聴者としては喜ばしい限り。
 ただ制作サイドとしては本当は原作完結と一緒にアニメ1クール走り抜けたかったんだろうなぁと思ったり思わなかったり。

 制作はPINE JAM。元請では年間1~2本しか制作しないところで、その分作りは割と丁寧な印象で比較的打率は高い。
 落とした理由は新型コロナウイルスの影響も小さくないと思うが、個人的には『ゲーマーズ!』→『Just Because!』の流れと同じで、連続して2クール分制作するだけの下地がないからというのもあると思っている。今回の場合22年秋アニメで『Do It Yourself!! -どぅー・いっと・ゆあせるふ-』を制作した直後のクールでこの作品だったので、手が回らなかったのだろう。因みにJBは作画がかなりぎりぎりだった。

 雰囲気はすごく好きだったので、来期改めて期待したい。



総評

 なんか不作って言われてた気がするけど、ふたを開けてみたら結構面白いのあったやんって感じ。前情報はアテにならん。

 ちょっと競馬の方で立て込んでてまだ春アニメ1話何も見れてないけど、来期も面白いの多いといいですね。


 ところで『天国大魔境』は何でディズニープラスが配信独占してるんですか?サマータイムレンダと同じで良作なのに見返しづらい感じになっちゃうし私1話見逃したのでもう絶望的なんですが?流石に1作品のために月1000円課金は高いよ?

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