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ぶくめも #1 遠藤周作『海と毒薬』

遠藤周作『海と毒薬』 

Facebookにて、
たまぁに書いてた読書備忘録
noteにて再開
ボクが記すのは「読書メモ」なので
「ぶくめも」とします

毎年、この月
戦争のことを考え
小説を手に取る

今年は自宅の書棚より
20年以上ぶりに1冊を取り出す

戦時中の米兵捕虜生体解剖事件を題材とした小説

あらすじなどは検索すれば出てくるので
そちらにおまかせするとして
衝撃の解剖実験シーンは
文庫本でわずか10ページあまり
主題は事件そのものではない

印象的なのはこの小説の導入
新宿から電車で一時間ほどの住宅地
どこにでもありそうな日常に
かつて戦地で人を殺めた市井の人びとがいること
しかも、悪びれる様子もなく話す者までいる
事件の当事者である勝呂医師は呟く
「仕方がないからねえ。これからもおなじような境遇におかれたら僕はやはり、アレをやってしまうかもしれない」

小説が発表されたのは1957(昭和32)年
戦争の記憶は生々しく残っている
ボクが小学生やった昭和50年代でも
片腕のない男性が自宅近くを歩いているのを見かけることがあった

しかし、今はどうやろう
平成生まれの子どもたちには
戦争がどれだけ「生のもの」として伝わっているのか

知っている人が、家族が、
自分が、誰かを殺すかもしれない
現代ならサイバー、バイオ
もしかしたら、見えないところで
殺しているかもしれない

それは、誰にでも起きること
そこに良心の呵責はあるのか

勝呂医師は「悪魔」なのか?

ボクらはアイヒマンになってはならない

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