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意外と知らない!?新潮文庫のヒミツ4選

こんにちは、卯月です。

皆さんは、新潮文庫を読んだことはありますか?
私はあります。たぶん、蔵書の中で角川文庫の次に多いのが新潮文庫です。

そんな新潮文庫には、実は色々なヒミツがあります。
ということで今回は、新潮文庫のヒミツを4つ紹介します。


ヒミツ1:紐のしおり

上橋菜穂子「精霊の守り人」

新潮文庫には、紐状のしおりがついています(新潮文庫nexは除く)。
このしおりは「スピン」といって、国内の文庫では新潮文庫にしかついていません。

新潮文庫だけにある理由は、「先代社長の遺言」だそうです。
先代の「何があっても、スピンをなくすな」という遺言がなければ、新潮文庫はスピンを廃止していたかもしれませんね。

ヒミツ2:ぶどうのマーク

上橋菜穂子「精霊の守り人」

新潮文庫には、表紙と裏表紙にぶどうのマークが入っています。
実はこのマーク、表紙と裏表紙で少し違っています。

表紙側のぶどうは、つるの部分が筆記体の「S」と「L」になっています。
ちなみに「S」と「L」をかたどっているのは、「Shincho Library」(新潮文庫)の頭文字だからです。

ヒミツ3:上のでこぼこ

上橋菜穂子「精霊の守り人」

新潮文庫は、本の上の部分がデコボコしていることが多いです。
これは「天アンカット」といって、スピンをつける都合上、必ずできるものです。

本はたいてい、背表紙以外の3箇所で紙が揃っていない部分を切り落として見た目を整えます(三方裁ち)。
しかし、新潮文庫は製本する時にまずスピンを貼りつけるため、上の部分が裁断できません。
そのため、新潮文庫は上がデコボコしているのです。

ちなみに、天アンカットをしても、コストダウンにはなりません。
三方裁ちは紙がズレていても裁断してしまえば分かりませんが、天アンカットは製本する時点で紙をデコボコするように整えます。
そのため、天アンカットはむしろコストがかかる製本方法です。

ヒミツ4:カバーの質感

左:知念実希人「天久鷹央の推理カルテ」
右:上橋菜穂子「精霊の守り人」

新潮社には、新潮文庫のほかに「新潮文庫nex」というレーベルがあります。
こちらはテカテカとしたカバーで、三方裁ちとなっています。スピンもついていません。

画像には、表紙の上の方に光が反射している部分があります。
新潮文庫nexと新潮文庫では、光の当たり方が違っています。
新潮文庫nexは光が強く反射していますが、新潮文庫は比較的弱めの反射となっています。

これは、新潮文庫がカバーにプラスチックフィルムを貼っていないからです。
新潮文庫は、プラスチックフィルムの代わりに、水性コーターというニスで処理しています。
そのため、新潮文庫のカバーはテカテカしていないのです。

ちなみに、プラスチックフィルムを貼らない理由は「捨てる時、産業廃棄物にしなくていいように」です。水性コーターを使うことで、焼却が可能になります。

まとめ

いかがでしたか?
新潮文庫を読んでいる方でも、知らないことが多かったのではないでしょうか。

個人的に天アンカットは好きなので、ずっと続けてほしいです。
スピンが廃止されると天アンカットも廃止されそうなので、スピンが廃止されないよう願ってます。

ではでは。

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