ムスコたちとの初めての飲み会

私は下戸である。ビールは一杯目ですぐに顔が赤くなり、二杯目となると気分が良くなると同時に睡魔が襲ってくる。飲み会終了後、地下鉄や電車で帰宅しようと何度乗り過ごしたり、違う方向に向かったか分からない。しかし、それでも飲んで騒ぐことは好きである。

 結婚前、同じ職場だった妻と職場の飲み会後、二人だけで二次会をしたらしいが、私にはその記憶が無い。ただ、それをきっかけに年上の妻と交際をはじめ、結婚することになった。

 時を経て、二人の娘を授かり、いつしか適齢期を迎えた二人は、それぞれ義理の息子となる男性たちを連れてきた。長女の婿は、「娘さんと結婚させてください。」と懇願し、次女の婿は「私たちは結婚します。」と宣言するなどそれぞれの相手から知恵をつけられたもの言いをしたが、私には娘たちが選んだ伴侶に文句をつけるつもりなどなく、ムスコたちにただただ、ビールの相手をしてもらえるだろうことが楽しみだった。

 もちろん、娘たちとビールを飲むのも楽しいのであるが、いかんせん、娘たちは妻の血を引いていて、アルコールには、めっぽう強い。彼女らは、私の5倍以上飲んでも、決して顔が赤くなることなど無く、正体不明になることもない。
 娘たちが結婚前、二日酔いの状態ではないものの酒の匂いをぷんぷんさせて朝帰りしたのは注意したが、飲酒後、「友人を自宅に送り届けてきただけ」というので、「まあ、普通の女の子じゃ彼女らの相手はできないだろうし」と解釈した。

 次女が結婚して、迎えた初めてのお盆に長女、次女夫婦が里帰りした。妻は、いそいそと手料理を作り、酒もビールをはじめ、大量に購入した。ビールで乾杯した後、とりとめもない話をしているうちに、ムスコ二人は、二杯目のビールを飲むとソファでうつらうつらしている。
『おや?彼らもこんなに弱かったか』と思い娘たちに聞くと「そうね。お父さんよりも飲めないかも」とのたまった。結婚式の時の話の想い出をしていて、私がろれつの回らない口調で「そう言えば、キミタチが結婚を決めた年、自宅に送り届けてきた友人って、結婚式にでてきてくれていたんだよね。」と聞くと、娘たちはニヤリと笑い、声を揃えて「もちろん」と言い、妻と顔を見合わせてクスクス笑い出した。
 二人のムスコはもう爆睡中で、私の最後の記憶は、そこまでだったが、二人のムスコと乾杯ができたあの夏の日は忘れられない。

#あの夏に乾杯 #下戸 #義理の息子 #結婚式 #娘たち 


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モカちゃん

コメント1件

これはきっといい時間でしたね〜。僕も義理の母と飲んだ日を思い出しました。
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