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未来に届けたい「地域に根ざした教育」

AIにできないことは人と人の交流に基づいた教育である

社会の在り方が劇的に変わる「Sosiety5.0」時代の到来に備え、文部科学省は「『令和の日本型学校教育』の構築を目指して」という答申の中で次のような資質・能力を育むべきだとしている。

一人一人の児童生徒が,自分のよさや可能性を認識すると ともに,あらゆる他者を価値のある存在として尊重し,多様な 人々と協働しながら様々な社会的変化を乗り越え,豊かな 人生を切り拓き,持続可能な社会の創り手となることができる ようにすることが必要

令和3年「令和の日本型学校教育」の構築を目指して 
文部科学省(答申)

 私が未来に届けたいのは「地域に根ざした教育」である。現在は「コミュニティ・スクール」という制度として全国的に進められている。私の勤務校では以前から地域連携を続けている。

 桟橋が敷地内にある湖に面した小学校で、総合的な学習の時間に和船やカヌーの実習を地域ボランティアさんの助けを借りて行っている。そのボランティアさんのチーフは83歳で、とてもお元気で頼りになる存在だ。
 地域の年配の方々との「七夕会」では、「ずっと楽しみにしていた」と歓迎された。子供たちは短冊に願いを書き、用意して頂いた竹にくくった。その後、交流会を終えてスクールバスで学校に戻って来た。すると、湖に白い波紋を描きながら一艇のボートが颯爽とやって来た。ボートから降りた83歳のチーフは、安全のために閉じている鉄柵を湖側からひょいと乗り越えた。先ほど短冊をくくった竹を学校に届けに来られたのだ。子供たちから歓声が上がった。しかも、昇降口にその竹をくくり付けて、何事もなかったかのように颯爽とボートで帰って行った。私はその時、月光仮面を思い出していた。
 その他にも、「駒回し」「山登り」「地域学習」「リース作り」等様々な活動で地域の皆さんにお世話になっている。小規模校のため、地域の方は子供たちがどこの家の誰なのかを知っている温かいコミュニティなのだ。
 子供たちは地域の皆さんの優しい目差しの中で成長していく。今年度から学校行事へ地域の方をまた御招待できるようになった。本校の児童は、たくさんの愛情を受けて育っている。お互いのよさを認め合い、協力しながら学校生活を送っている。将来、この地で協働して新しい社会の仕組みを作り次世代を育ててくれることを願いながら教師として日々を送っている。