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ブロックチェーンゲーム「エクウィズ」でバグ技を使って2位になったらBANされた話


こんにちは、モケです。


みなさん、ブロックチェーンゲームはご存知ですか?

Axie Infinity、STEPNなど色々流行りましたね。

要は稼げるゲームというやつです。


まぁ実際稼げるかどうかは置いておいてつい先日新たなブロックチェーンゲーム

Eternal Crypt Wizardry (通称エクウィズ)というゲームの先行リリースが開始されました。

ウィザードリィといえばRPGの元祖とも言われるほどの超老舗ゲームシリーズですからそれなりに期待度も高まっていたことでしょう。

他にもお笑い芸人の粗品さんがアンバサダーとして就任するなど話題性に関しては他のゲームより秀でていたのではないでしょうか。

このゲームについて

ゲームとしては冒険者NFTをパーティーに編成しスキルなどを組み合わせてひたすらダンジョンを掘り進んでいく
"戦略性重視"の
"基本放置ゲーム"
のようで、毎日少しの作業で済むとのことでした。

ゲームプレイに必要なスタミナという概念はありませんがダンジョンの進捗による報酬や強化アイテムを得るためには1度帰還を挟まなくてはならず、その都度ある程度浅い層からのやり直しとなります。

そしてその帰還回数が8時間ごとに回復するため、ある程度進めたら帰って強化を施しまた先に進むといった流れになっています。


リリース開始と次々湧き出る問題点

さて、このゲームが実際にスタートした時最初に問題となったのは「放置による自動進行機能」が実質死んでいたことです。

敵を倒したら手に入ったゴールドを使い常に冒険者レベルを強化し続けなくてはすぐ敵に勝てなくなるというゲームバランスでありながらレベルアップの自動化という機能はありませんでした。

そのためプレイヤーは地味な監視作業を長時間強いられることとなり、一部界隈では「刑務作業」と呼ばれるまでになっていました。


この先行期間中には常に賞金付きのランキングが開催されていたため、サボれば差をつけられるだけという地獄のような消耗戦だったと記憶しています。


そしてこの第1回ランキングの途中ある事件が起きます。


それが「MP回復バグ」です。

このゲームはログアウトして5分が経過すると自動進行処理が開始するのですが、この際MPがほぼ上限値まで即座に回復してしまうという現象が発生していたため気付いた人はパーティーを強化するアクティブスキルをほぼ打ち放題な状況になっていました。


しばらくしてから公式からのアナウンスがありました。

内容としてはMP回復バグの概要、近日中に修正する旨、そして今回のバグはほとんどのプレイヤーが意図せず発現してしまうことで故意であるかどうかの判別が難しいことからバグ利用者に対する処罰はしないとのことでした。


つまり公式のお墨付きが得られたわけです。

僕はこの発表でバグを知りましたが自分のライバル達も当然このバグを利用しまくっていたので対抗するために修正されるまで使い倒しました。

バグ技ですのでこれを知りながら自粛していた方もいるようですが残念ながらその方達へ補填などはなく、ただランクが落ちただけという「正直ものが馬鹿を見る」状況となっていました。


当時のAMAで運営は「バグ発見も労力がかかるしゲームの内だ」と受け取れるような発言をしていたらしいのと僕個人もこういう抜け道を探すのが好きなので純粋に楽しめていました。


その後も上位勢を含む一部プレイヤーの進行不能バグが起きて緊急メンテを挟んだり、スキルリセット機能のバグによってある特定のスキル効果を残したままスキルを振り直せたりと色々問題は起きつつも第1回ランキングは無事(?)終了しました。


第2回ランキングは第1回が終了した直後からの開始でしたのでプレイヤー達はろくに休憩も出来ず再スタートとなった訳ですがこの時僕から見ててとても不公平に感じたことがあります。

それは先述のスキルリセットによるバグを修正するため第1回ランキングの終了前日にスキルリセット機能だけを一時停止していたことです。

これによってユーザーは自分のビルドを変更出来ないまま固定されてしまい、特にダンジョンの進捗をリセットすることもなく第2回ランキングがスタートしたことによって弱いビルドの人はこの時点でほぼ負けが決まってしまっていました。

僕も第1回ランキングの追い込みのために火力スキルに全振りしダンジョン攻略をスムーズにするようなスキルは一切取っていなかったため、1度帰還してから自分の最高到達点に戻ってくるまでに14時間程度必要になるというとんでもないブラック環境にされていました。

ダンジョンの階層が深くなるにつれ冒険者のレベルや強化アイテム(レガシーアイテム)による伸び代にも天井が見えてきて、ここから先はいかに強いキャラをたくさん持っているかで決まるいわゆるガチャゲーゾーンに入ってきました。

ちなみに僕はAGC(先行プレイ用のNFT)3体、ガチャはレア29体、エピック5体、レジェンド0体とかいう超絶引き弱でしたので普通にやっても10~20位後半くらいが限界でした。


そしてこの第2回ランキングの途中、ある事件(n回目)が起きます。


未知のバグとの遭遇

最初はなにも分かりませんでした。
ただ「なにか分からないがすごく強くなった」という現象だけに気づき、ここからこの現象の究明に尽力する日々が始まりました。


最初は本当に手探りで

テレポートしたら強くなった
レガシーアイテムにすごく強いものが隠れていた
ミミックに火力系のジャックポット的なものがあった

そういう正規の可能性から考察していき、その後バグではないかと考え

キャッシュやブラウザ起因のバグではないか
アクティブスキルの2重作用が起きてるのではないか

など様々な角度から検証していき、第2回ランキングとその後のブレイクタイムを終え第3回ランキングが開催された時ついにこの現象の正体と再現法にたどり着きました。


表題のバグについて

今回のバグの正体は

「冒険者レベル上限突破バグ」
でした。


バグの再現法は案外シンプルなもので、2人の冒険者のレベルアップボタンを素早く押すことで2人目の冒険者のレベルアップ処理が内部的には発生しているのに表面上は変化していないという状況が引き起こせます。

この状態は画面を切り替えるか他の冒険者のレベルを上げることで正常に反映させることができます。

しかしこの状態のまま再度2人目のレベルを上げると先程保留されていたレベルアップ処理と重複して上がるため、本来の上限レベルである6k(6000)を超えることができます。

昨日行われたAMAで公式の方から発表があった内容ですね。
ですが一部説明に不足しているところがあるので補足させていただきます。

レベルアップ値を"最大"にして行うと起きるバグではなくレベルアップ値に関わらずバグは起こせます。仮に冒険者AとB両方がレベル1だった時、レベルアップ値を1に設定してこのバグを起こすとAは1→2に、Bは1→3になります。(レベル1UPが2回起きる)

あとこれは未検証ですので確証はないのですが「本来Aに振るはずのレベルがBに加算されてしまっている」のではなく単純にBに対するレベルアップ処理が保留されていてBへ2回目のレベルアップタップ時に任意の値を加算できるようになっていると考えています。


このバグを最大限活用すると36枠目に配置したキャラをレベル1から6kまで強化できる状態にし、+5999の処理を2回かけることでレベル11.99kにまであげることが出来ます。

これは表記バグではなくしっかり強さにも反映されるため今まででは考えられないほどの強化を得ることができ、一気にフロアを押し進めることができます。


バグ技活用の課題

このバグ技の再現法を確立した時事実上ランキングもほぼ掌握出来ていました。
そしてその次に考えることは

いかにバレずにこの技を使い続けるか
でした。

当初は上位勢も気づいているものと思っていましたが発言を追っていくとどうやらまだ気づいていない様子でしたし、ひょっとしたら今後も利用できるかもしれない技だったのであまりに不自然な勝ち方をしてはいけない。出来るだけ僅差で勝たなければならないと考えていました。

そうして徐々に階層を更新しながら過ごしていたところ
状況が変わったのはランキング終了前日

その前日まで200階層ちょっとくらいだった方が突然1位を追い抜き230階まで駆け上がっていたのです。

他にもバグ発見者がいることは予期していましたが僕は内心


「ちょおおっwwwやりすぎやろぉwww 」

と思っていました。

こうなってはもう疑われるのは必然。1人がバレればどうせ僕もやられるので結局やるしかないという決断に至りました。


バグ利用者同士の戦い

問題点はこのゲームの仕様上
"強さが足りていれば進む速度は同じ"ということです。

向こうがまだ余力を残していた場合全速力で逃げられればどんなに僅差でも抜かすことはできない。であれば僕の勝ち筋は1つ

バグを知らないふりをして最終日に奇襲をしかけること

でした。

まさかこのゲームで対人の心理戦をすることになるとは思いませんでしたがこれもゲームの醍醐味ですね。

迎えた当日の朝、タイミングを伺っていたところ何故か1時間ごとに更新されるはずのランキングが更新されないという現象が起きていたこともありそのタイミングで全力ダッシュを始めました。

当初はこのバグを利用すればどこまでも行ける気がしてましたが実際にはある程度進むと結局は火力詰まりを起こすので最後は総力戦になりました。
 

終盤戦

僕は本来の実力で言えば20位代くらいの戦力ですので小技を駆使しなければ勝てません。

そこでちょうどその時界隈で露見し始めたスキルリセットバグを使用することにしました。

いわゆる(元)活性化バグというやつで、スキルリセットをかけたあとでも一部効果が継続することを利用した火力水増し法ですね。

僕はてっきりこのバグは活性化スキルに起因するものと思っていましたがどうやらスキルリセット機能が不完全なために起こるものらしく、活性化バグ修正後の今でも一部のスキルではこの方法が使えました。


実際に僕がやった事としては
一度スキルボードにて「雄叫び」に全振り後「部隊結集」を発動
すぐさまスキルリセットをかけ活性化等のビルドに振り直し致命とミラブレを発動

こうすることで部隊結集の効果を効果時間いっぱいまでは強い状態で維持出来るというわけですね。


この方法は1回ごとに300BCを消費するのでやりたがらない人が多かった印象ですが、実際にやってみると思ったより強力であることが分かりました。

と言うのも、部隊結集の効果時間は通常は(レガシーを含め)2分間なのですが雄叫びの効果の中に部隊結集の効果時間を伸ばすものがあるためある程度スキルポイントがある人がこの技を使うと効果時間が6分を超えます。

さらにミラブレのレベルアップボタンを活用したスキル中断技と併用することで最大で8分弱の間最高火力のミラブレを振り回せることに気付いたので僕は迷いなく最後までこの技を使い続けました。

善戦の甲斐あってかランキングは2位で終了。惜しくも1位とは行きませんでしたが僕の中では満足のいく結果でした。

そしてやはり息をつく間もなく予期していたことが起きました。

そして騒動へ

当たり前ですが第1回、第2回と上位で戦ってきた人達をぽっと出の新人が大幅に抜き去って大逆転。というのは控えめに見ても異常でした。

当然ユーザー達はざわつき、程なくしてバグ技の有無についての議論がされることとなります。

ユーザー間のざわつきを察してか公式からの発信もしばらく経ってからのことでした。
内容は
「ランキング結果の精査について」

時間がかかるとだけ説明されユーザーはしばらく放置されることになります。


ランキング確定

数日後、AMAをやるということが通知されその開催直前にPDFでランキングの最終順位が発表されました。

終了直後との比較がこちら


ランキング終了直後



最終順位


上位1~4位の4名が除名処分
他全員繰り上げ

となりました。





ま、そーなるよね〜






除名処分の理由としては 

悪意あるバグ利用による利益を享受しようとしたため、規約違反ということで該当プレイヤーをランキング除名とした

とのことです。


AMAは最後まで聞いておりましたが、運営側としては規約に書いてあるようにバグを利用して優位にゲームを進める行為が問題であるということを強く主張しておりました。

また、MP回復バグはログアウトするだけで発現する性質上通常利用者が回避不可能なため容認した。

スキルリセットバグはバグではなく仕様なので問題ない

活性化のリセットバグについても当時それを利用した人がランキングの報酬を多く得るという事態になっていなかったためお咎めなし

とのことでした。





いや、、








スキルリセットが仕様なのに冒険者のレベルが6000超えてもしっかり強くなるのは仕様じゃないんかーい

そもそもスキルリセットしても効果が残ってしまうことのどこが「仕様」なんじゃーい

報酬を多く得てなかったからいいってそれ結果論やないかーい

悪意ある利用がアウトってMP回復バグの公式容認前の利用者は悪意あるんちゃうんかーい


無限にツッコミたい気持ちを我慢して聞き続けました。


こんな顔しながら聞いてた


個人としてのこの対応へ思うこと

とにかく他のバグの時との対応の差は
「悪意」にあると強調してましたが
そんなのは建前です。

こんなもんの差なんかひとつしかありません。



脅威度です。


今までのランキングでは小手先程度の小技はたくさん見つかったものの最後には実力者が上位ランキングを占めていたので問題はなかったが、今回特大のバグが見つかって上位陣が独占されてしまったから対処を変えたということ以外にありません。


サービス開始から公式や非公式のdiscordを見ていましたが今までだってバグ利用者とそうでない人達が使ったもの勝ちの環境で叩きのめされているのを目の当たりにしてきました。
それが下位のプレイヤーであっても現にランキングに影響が出ているのは事実です。

ここまでに見つかった全てのバグに対して被害者がいます。というかプレイヤー全員が被害者です。

影響が軽微だからといってルールの線引きも警告もせずナアナアでやってきた運営の怠慢のツケを今回ユーザーが払うことになりました。

バグもゲームの内だよねみたいなことを言いながら苦しくなったら規約に書いてありますし…はずるいんですよ。


それを言われたら確かにその通りだけど、
"それを言っちゃおしまい"なセリフなんです。

詐欺師や悪徳業者の
「でも同意書に書いてありますからねぇ」と一緒です。


バグ技に対して明確に言及することもせず発見もユーザー主導でテキトーにやってきた結果ランキングが荒らされ、全員を納得させる答えが見つからず苦しくなって最後は見せしめという強行手段に出たという感じです。

ちなみにAMAで運営からあった発言からすると今回のバグに対する正しい対応は
「運営に報告した上で自力でバグった状況を治す努力をすること」
でした。

今回のバグは画面切り替えでも再ログインでも治らず唯一"帰還"でのみ解除することができるものでした。


つまり例えどんなにゲームがいいところだったとしてもランキング締め切り間際だったとしても、「バグったかも?」と思った瞬間帰還しなければ不正利用者と判断されても文句は言えないということです。

さらにこれは聞いた話なので証拠はありませんが運営にバグを正直に報告した場合、運営からバグ発見の報奨金の話など出ないばかりかその時の状況を根掘り葉掘り聞かれた上他にもバグはないかと聞かれる人もいたそうです。

そんな思いをするくらいならいっそ思いっきりバグ技を使ってBANされた僕の方がいくらなマシな心境かも知れませんねw


運営に伝えたいこと

ゲームを改竄したとかならともかく、僕らは与えられた製品のUIを操作したまでです。
それでもダメだと言うことは分かりますがそれまでの対応が曖昧過ぎました。

今回のバグだけがダメならなぜランキングの途中でバグを公表しメンテナンスを行う、もしくは利用をやめるよう警告するなどしなかったのでしょうか?


僕らは与えられた環境で自分に出来ることを精一杯やっただけです。今までそれが許されていたのに今回だけダメ。そしてその警告も個別の説明もなくただ一方的に除名処分をされただけ。

今後ゲームがプレイできるのかどうかすらも何も伝えられていません。

勝つための努力はしてきました。当然BCもたくさん消費しました。
バグ技を利用する以上ダメと判断されたらそれら全てが無駄になるリスクも承知していますのでその補填などを要求するつもりはないですが、せめてAGCを返品させて欲しいです。

正しく遊べば損をする。ずる賢く遊んでも損をする。
こんなゲームからはもう抜け出したいです。

今回は4名の犠牲者で解決したように見えますが実際には明らかに本来のゲーム性とはかけ離れた攻略要素によって順位を上げている(落としている)人も多く潜んでいます。これからのこのゲームの未来のためにガイドラインの明確化と一貫した対応、そしてなによりバグバウンティの導入などバグ利用を抑制する施策を作っていって欲しいなと思います。

最後に

以上が今回の事の顛末を僕の目線で時系列順にまとめたものです。長々と失礼しました。

また、ランキングの件ではお騒がせしてすみませんでした。

また何かあったらツイートかなにかしようかと思います。


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