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雨が降った

雨が降った。
たくさん。

だからどうしたの?
と思うかもしれないけど、

私を含め、周りの世界が変わった。

もう何ヶ月、
雨が降らなかっただろう。

その上、毎日気温が36度もあり、
朝の11時に、夜の9時に、
気温が30度もあるなんて
なんていう場所?

この数日は湿気もすごく、
朝会うバールの女性と、
雨乞いしようか、って話してた。

冗談?
でもない。

この数日、イライラしていた。

暑くて、空気が重くて、
身体からエネルギーが
ジワジワ抜かれていくみたいで。

家族にあたったり、
ムッとしてたり。

もう冷房もない
こんな場所には住めない、
そんなふうにまで思った。

今日、風がピッタリ止まり、
むしむしと湿気が増え、
遠くに雲が見えた。

今度こそ降るかも。
そう思った。

遠くで雷が聞こえ始めた。

モコの散歩に出ると、
どんどん雲が黒くなって、
さくらんぼくらい大きな雨が、
石畳にあたって
バチンバチンと音をたて始めた。

そして、あっという間に
見事な雨が降り始めた。

雷付きの、正当なる大雨。

20分くらい雨宿りして、
ちょっとだけ雨脚が弱まった時、
歩いていくことにした。

クマさんと私とモコ
2人と一匹で歩き始めた途端、
また嵐みたいな雨が降ってきた。

子供の時を思い出した。
雨に濡れて歩くと楽しかった。

歌をうたって踊りたくなった。
クマさんも微笑みながら歩いてた。

すれ違う人たち、
大人も子供もみな微笑んでいた。

いたずらした後の子供みたいに

途中でびしょ濡れで歩いている男の人が私を見て、
共犯者みたいにニヤリと笑った。

私ももちろん笑い返した。
ニヤリと。

ここは空が大きい。
だから雨が降ると必ず虹が出る。

この数日私の体を侵食していた
濁ったジメジメしたものが
雨と一緒に流れ出て
心がさっぱりした。

周り全てが
木や植物や土や空気、
無数の虫や鳥や動物
壁や石まで
全てが深呼吸して
この瞬間を楽しんでいる。

空気がポジティブな気に溢れ
あそこから
そこから
虹が生まれていた。

やっぱりここが好きだ。

昔のお百姓さんみたいに
自然の偉大さに抱かれて生きてる。

なんて美しい色だろう。

私もここと仲直りした。

まさにバケツをひっくり返したような雨の横には陽の光
モコ。あっ雨が降ってきた。


虹のたもとが光ってる
一筆虹
雨上がりの風景


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