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【読書感想】「ファシリテーション入門」 堀公俊

読了日:2018/11/30

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この本の概要

ファシリテーションとは、集団による問題解決、アイデア創造、合意形成、教育・学習、変革、自己表現・成長など、あらゆる知識創造活動を支援し促進していく働きです。
著者は経営企画、組織開発、コミュニティ活動など幅広い分野でファシリテーション活動を展開する、ファシリテーションの第一人者です。私たちが直面する諸問題は日々、高度化・複雑化しています。また、多くの組織で、個人が持つ力が十分に発揮できていません。本書は、すべての活動の基本となる「話し合い」(会議)に焦点を当て、組織のパワーを最大限に発揮させるファシリテーションの理論と実践スキルを紹介します。最新の知見を盛り込み、第一版を全面的にアップデートしました。会議運営、プロジェクト推進、組織の活性化、社会教育など、幅広い領域で活用できる一冊です。
「BOOK」データベースより

なんでこれを読んだのか

私が今、働いている会社には、スクラムマスターという役割の人がいます。
ソフトウェア開発の手法のひとつに「スクラム開発」というのがあるんですが、そのスクラム開発がうまくまわるようにチームを支える役割をもつ人がスクラムマスター。
私が入社した2015年から、社内でじょじょにスクラムの風がふきはじめまして、今も絶賛大流行中。
最近は、事業支援本部など、開発と関係ない部署でもスクラムの技法を取り入れた取り組みがなされるようになってるそうです。

そのブームの火付け役が、スクラムマスター天野さん。

私の所属するチームも、勉強会や、チームの振り返りなどでお世話になったのですが、そこでの天野さんのファシリテーション能力が本当に素晴らしくて。

交通整理してくれる人がいるなかで議論できるって気持ちいい。
安心感がすごい!
スクラムよりも私は、彼のファシリテーション能力に感動しちゃいました。

で、実際に、ファシリテーターがいるなかで議論して、私は思ったんです。
こういう人がすべての会議の場にいたら、会議は変わるな、と。

個別にしゃべってるぶんにはいい人たちなのに、その人達が集まった議論の場になるとなんとなくビミョーな雰囲気になってしまう…。世の中の会議、そんなんばっかり。
結果、時間も無駄に使うし、ほとんどの人がhappyにならない結論になってしまったりする。
議論が変な感じで終わっちゃうと、その後の人間関係までビミョーになってしまったり…。(あぁ怖い…)

そこに、ファシリテーターがいて、いい感じの雰囲気で場をコントロールすることができれば、会議は変わる。議論も噛み合う。みんなhappyになる。

ファシリテーション能力は、仕事の場面だけではなく、子どものケンカの仲裁、PTA系、地域団体、スポ少など生活の色々な場面で活用できるし、実はすごく重要で、かつ旬なスキルだと思うんです。
なのに、できる人がめちゃくちゃ少ない。
「ファシリテーション」っていう概念自体が昔はなかったから、これができる人、日本にほとんどいないんじゃないかと思う。

別に私はスクラムマスターになりたいワケでもないんですが、ファシリテーターの「ファシ」くらいまでおさえておければ、自分の生活で役に立ちそうな場面がたくさんあるな、と思って、この本を手にとってみた次第です。

ファシリテーションの4つのスキル

ファシリテーターに求められるスキルは色々あるんですが、この本によると大きく4つのスキルが必要になるそうです。

①場のデザインのスキル -場をつくり、つなげる-
何を目的にするのか、誰を集めるのか、どういうやり方で議論するのか、などをデザインするスキルです。

②対人関係のスキル -受け止め、引き出す-
できるだけたくさんの意見や考えをだし、理解と共感を深めながらアイデアを広げていくスキルです。具体的には、傾聴、応答、観察、質問のスキルが求められます。

③構造化のスキル -かみ合わせ、整理する-
出たアイデアを整理し、議論の全体像の整理や論点の絞り込みをするスキルです。ロジカルシンキングやフレームワークを臨機応変に使いこなします。

④合意形成のスキル -まとめて、わかちあう-
何を基準に最適な選択肢を選ぶのか、異なる意見をどう融合させるのか、決め方を決めるスキルです。ファシリテーターのスキルがもっとも問われるところ。

いやもう、なんていうか、これできる人、めっちゃすごい人じゃん…。

身につけたいけど…

読んでる時点で、「ひー、こんなんできひんやん」となってはいたんですが、本当に学びの多い、実用性の高いテクニックがたくさん書かれています。
ムダなページがひとつもない!
これはぜひ、使いこなせるようになりたい!

どうしたらこの学びを忘れず、完全に自分になかに落としこめるのか。
やり方って色々あると思うんですが、私の場合は、以下の流れがいいかなーと考えました。

1)本を読む
2)要点をまとめる
3)人に説明して自分の理解度を高めつつ実践

「とにかく実践!」っていうのがベストかもしれないけど、知識がある程度入ってないのに、ファシリテーションしようとすると、議論がぐちゃぐちゃになっちゃってただの迷惑な人になっちゃうし、そもそも今は育休中でファシリテートする場も少ない。
そこで、まずは誰に見せるでもないけどスライドショー作って要点をまとめてみようと思い立ち、ちょっと作ってみはじめたんですわ。

ところがどっこい(←表現が昭和)
家事育児の合間だとやっぱり無理だわ。
全っ然進まない(笑)

とりあえず、まぁ仕事ではないんで、気がむいたときに細々とでも作っていこうかと。
出来上がるころには、とりあえず理論部分の理解度は向上してるような気がする。

実践に必要なモノ

ある程度のノウハウをインプットしたとしても、こういうのは最終的に実践しないと身に付きません。
作者もおっしゃっておりました。

ファシリテーションは知識ではなく知恵です。本を読めば知識は得られますが、知恵は体験から学ぶしかありません。自分でやるか、他者がやっているのを見るか、場数を増やすことが唯一の上達の道です。


なので、これ、議論の場を見つけたら
「私、ファシリテートします」
と手を挙げなければいけないんですよね。

それ、けっこうハードル高いわぁ…。

実践に必要となるのは、自ら手を挙げる勇気
そう、勇気

でもまぁ、ここの読書記録でさらけ出しちゃったし、うまくいかなくてもそれはそれでアリな気がする。
復帰したら少しずつでもファシリ感(←どんな感じゃ)を出してみよう…。

ファシリテーションが機能する環境

ファシリテーションが効果的に機能するためにはいくつか条件があるなーと思いました。

自分がファシリテーションすることを想像したときに、以下の環境では合意形成はそうとう難易度高いんじゃないか、と。

・メンバーがファシリテーターを信頼していない or 好きじゃない
・理屈が通用しない人が強い権限を持っている

そもそも、ファシリテーターとして手を挙げたときに、
「なんであんたが出てくんの?」
って思われて、その時点でメンバーに拒否反応示されてたら、議論を整えようとがんばってもかなり難しくなりそう。
それを覆すほどのファシリテーションスキルが育っていればいいんだろうけど、そうじゃないときに、拒否反応がエグいと心を折られそうだな、と。

あと、議論の風通しを良くして、みんなの意見を聞いても、たとえばそこに理屈の通用しない人がいて、その人が強い権限を持っていたら、どんなに議論が整っても、結局、議論の結果を無視しそうだな、と…。
てか、それ以前に、そういうタイプの人って自分の意見を通したい欲が強いから、ファシリテーターが必要となるようなオープンな議論をそもそもさせないだろうな、と。

理屈が通用しない人ってのは、なんていうか表面上は最強なんだよね(笑)…。

そういう人にはどう対応するんだろう?
そこの打開策とかあるのかな?

ファシリテーション、奥が深いし、本当に難しい。
これについては、今後もほそぼそと勉強していこう。

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