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防災士が選ぶ、防災グッズ④(インフラを維持する。熱源編)

先日、山形県沖を震源とする大きな地震がありました。
今回の震源域は、北アメリカプレートとユーラシアプレートの境界線にあたる部分です。
北海道南西沖地震(1993年)

新潟県中越地震(2004年)

新潟県中越沖地震(2007年)

も、今回の震源からは若干離れますが、同じ境界線で起きた地震。
南海トラフや北海道東方沖など、どちらかと言うと太平洋側が注目されている中で、やはり日本海側も地震の巣であることを示した形になりました。

今回、改めて意識が高まっている災害対策。

今回は、①身を守る、②電気、③水道

に続いて熱源の確保について考えていきたいと思います。
ライフラインとしてはガスなのですが、ガスの確保=熱源確保の一種です。
今回は、もう少し広げて熱源を確保する、というコンセプトで書いていきます。

熱源を確保する上での留意事項ですが…
「電源と併用するものは避ける」
これは気を付けましょう。

例えば石油ファンヒーターは、燃費も良く便利ですが、電源がなければ作動しません。
つまり、停電時には使えない、電源がない場所では使えないなど、災害時には不便な制約がかかってしまいます。
その点を考慮しながら、私なりに使って良かったものを挙げていきます。

熱源① 暖房

暖房器具では、
・電源がいらないもの
・煮炊きができるもの

を選んでおくと安心です。

私の一番のおすすめは

こちら。スペックは

暖房の目安:木造/13畳まで、コンクリート/18畳まで
暖房出力:5.14kW
燃焼継続時間:約12.0時間

欠点は「大きい、重い」という点だけです。
しかも、細かいメンテナンスがあまり必要ないという点も良いですね。
非常時には、サッと取り出してすぐに使えることはとても大切です。

さらに大きいものですと

こちらもあります(どうやら今、値下げ中のようです)。

暖房の目安:木造/17畳まで、コンクリート/23畳まで
暖房出力:6.59kW
燃焼継続時間:約10.9時間

やや燃費も悪いですしオーバースペック気味な気もしますが、もし普段もお使いになられるのならこちらでも良い気がします。

インテリア性や、もう少し小さいほうが良いのであればやはりアラジン。

お値段も張りますが、やはりおしゃれです。
アラジン独自の「ブルーフレーム」

も魅力。
スペックを見ると

暖房の目安:〔木造〕7畳まで、〔コンクリート〕10畳まで
タンク容量:4.1L
連続燃焼時間:約15時間

燃費は良いのですが、やや小ぶりなこともあり暖房能力ではコロナに一歩譲ります。
また、芯のメンテナンスはコロナ以上にきちんとする必要があります。
この辺りは欠点と言えば欠点です。

灯油は危ないから…という方は、プロパンガス用の暖房、という手もあります。
(都市ガス用は、大規模災害時におそらく使えないのであまりお勧めしません)
ガスストーブの良い点として、立ち上がりの速さがあります。
灯油に比べて温度上昇スピードが速いので、すぐに温まりたい方にもおすすめ。

個人的に一番使用感が良かったのが

こちら。

暖房の目安:木造/14畳まで、コンクリート/19畳まで
暖房出力:[強]5.44、[弱]3.08kW

かなり火力も高く、全方位に熱を放射してくれます。
使い勝手は良いですし、灯油交換の手間もかかりません。

もう少し燃費をや初期費用を抑えたいなら

こちらという手もあります。
正直なところ、普通に使う分には十分です。

これら2つにはない「携帯性」を求めるなら

こちら。
残念ながら煮炊きはできませんが、携帯性という他はない武器があります。
意外にパワーがあるので、大人数のキャンプなどでも喜ばれると思います。

もっと小さい

パワーという点ではどうしても劣りますが、さらに携帯性は良いです。
少人数のアウトドアでも使えます。

ガスボンベは純正指定

なので注意をした方が良いと思います。

また、このポータブルタイプのストーブの強みとして、次にあげるカセットコンロと共通の燃料を使えるという点もあります。
燃料の種類が少なければ、それだけで保管の手間を省いてくれますよね。

熱源② コンロ

お湯を沸かす、調理などのためにコンロがあると便利です。
冬場であれば、先述の暖房器具と併用する手がありますが、夏場にストーブを出すわけにはいきません。
そう考えると、コンロも備えておいた方が安心ですね。

コンロの燃料としては、3つ考えられます。
石油、ガス(プロパンガス、カセットボンベ)、そして薪炭です。

サイズ:高さ32.8×幅45.1×奥行45.1cm
本体重量:7.4Kg
電源:単2形乾電池×4本 ※乾電池は別売
出力:2.1kW

重さがかなりあります。
あと、点火・消火の際の匂いがなかなかのもの。普段使いはちょっときついかな…という印象でした。

プロパンガスを燃料とするものもあります。

サイズ:W26.9×D25×H6.8cm
本体重量:1.5kg
ガス消費量(13A/LP):強火力 3.50/2.95KW

本体価格も安いので良いのですが、プロパンガスの確保が必要、という点が難しいですね。

そして、ここからは防災用品としてのコンロの本命、ガスボンベ式のカセットコンロです。
個人的な一押しは

こちら。
風を防ぐシールドもついていますので、屋外でも安定した火力が期待できます。
また、カセットガスはやはり取り扱いが楽です。

スペースに余裕があれば

こちら。2口です。
2口をその気になれば使える、というのは安心感があります。
ただ、大きくて重い…。そこは難点です。
防災用に備えるならマーベラスⅡ、頻繁にアウトドアでも使うならフラットツイングリルという選択ですね。
私は結局、マーベラスⅡを手元に残しています。

そして、ダークホースの「薪炭」
アウトドアで使い慣れていたら、実は最強なのではないかと個人的には考えています。
火力も強く、燃費良好、燃料の入手も比較的簡単で汎用性が高い。
しかも適切に使えばガスや煙は少ないですし、燃料保管も比較的安全です(一部の炭は保管注意ですが)。

フィールドでも使える「ウッドバーニングストーブ」
未乾燥の小枝、質の悪い燃料でもガンガン燃やせる上にコンパクトいう優れもの。
使いこなせれば、おそらくアウトドアや非常時では最強のアイテムです。

その中でも定番はTOAKS。
チタン製で軽量。コンパクトで燃焼効率も良く、煙も少なく一押しです。
上はS、下はLサイズです。
私はLサイズを使用していますが、Sサイズでも十分使えると思います。

コンパクトさであれば、完全に折りたためるこちらは携帯性で最強です。
実は、燃料投入口が広いので長時間使うならこちらの方が良いです。
ただ、地面に直接置くと灰の落ち方が気になるので、下に金属板を敷いておいた方が安心です。

炭も使いたいのであれば、キャンプ用のバーベキューコンロ

でも良いと思いますが、意外に良いのが「七輪」

こちらは珪藻土でできた定番です。
化学物質フリーなのでお勧め。

こちらは「水冷式」という独特の機能を持っていて、底が厚くならないという良い点があります。
ただ、防災用品で水が必要…というのも微妙なので、防災用であればスタンダードな七輪の方が良いでしょう。

もちろん、火起こしのバーナーと、

火おこし器、火消し壺も用意しましょう(特に火消し壺)。

個人的には、非常時の最初は立ち上げが簡単なガスコンロ。
状況が落ち着き、中長期の避難生活であれば燃費の良い炭に煮炊きを切り替えていく、
というのがベストな対応かな…と思います。

ちなみに、炭は大量に備蓄するなら「オガ炭」がおすすめ。
着火しづらいため安全性が高いのです。しかも安い。
ただ、使うとなれば着火しづらいので、「豆炭」など、着火しやすい炭と併用すると良いと思います。
国産の上質な炭は、確かに火力も高く日持ちも良いのですが、保管が悪いと湿気を吸って爆ぜることがあること、高価であることから、災害備蓄としてはあまりお勧めしません。

というわけで、今回は「熱源」の確保について書いてみました。
個人的には、
・暖房はコロナのストーブ
・ガスコンロはイワタニのマーベラスⅡ
・長期避難対策で珪藻土七輪

という組み合わせがおすすめですが、家族構成や状況に合わせて、他のアイテムも役立つと思います。
特に、アウトドアになれている方は、ウッドバーニングストーブの便利さはよくお分かりかと…。

というわでで、今回の記事、災害対策・備蓄品の剪定のご参考になれば幸いです。

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