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ミルのコレクション、もう少し公開!(オールド・ザッセンの世界①)

前回の記事

では、私のコレクションのうち

・Enterprise No,0(アメリカ製)
・Husqvarna No,0(スウェーデン製)
・Nestor Martin No,5?(ベルギー製)

の3つのミルについて紹介しました。

実は、まだまだあります(笑)

今回は、やはりコーヒーミルの王道とも言えるドイツ製ミルについて紹介していきたいと思います!

ドイツ製ミルの代表的なメーカーとして真っ先に名前が挙がるのが、
Zassenhaus(ザッセンハウス)です。

資本は変わったものの、現在でも製造・販売を続けていて、もし現行品のハンドミルを買うのであればこのメーカーが一番お勧めです。
(プジョーなども良いですが💦)

個人的なお勧めはラパス

ブラジリア

と呼ばれるモデル。
(なぜかリンクをカード化できないので、ひとまず普通にリンクをはります。後で修正しますね!)

・投入口や粉受けがそれなりに大きいこと
・投入口に蓋があること(埃の侵入を防ぐ)

というのがおすすめの理由です。
長く使うのであれば、やはり利便性は大切。
あとはデザインの好みの問題かな、と思います。


Zassenhausの歴史について

Zassenhaus社の創業は1867年に遡ります。
「挽く道具」専業で、創業以来、様々なミルを世に送り出してきました。

その製品はすべて熟練のドイツ職人の手によって生み出され、シンプルながらその堅牢さ、何より刃の性能の高さが評価されました。
そして時は流れ、第二次世界大戦後の1950年代頃。
当時の西ドイツでは、戦時中に培われた高度な金属加工技術を転用してコーヒーミルを製造する工場がしのぎを削るようになります。

創業は戦前の会社も含めますが、その数10社ほど。
有名なメーカーとしてはZassenhausの他に、「PeDe Dienes(ペーターディネス)」などがあります。

しかし、その後工場の乱立による供給過多、ミルの電動化、さらに「家で挽く」という文化の衰退など、時代の波に飲まれ、多くのメーカーはその姿を消していきました。

Zassenhaus社も幾度となく経営危機に見舞われ、ついに2008年に倒産してしまいます。
実は、倒産の数年前から明らかに製品の品質が(木材の質や組み方、軸の回転精度、刃の精度など)が明らかに落ちていたので、何となく危ないなー、とは思っていたのですが。

これでドイツの主要メーカーは消滅か…と思っていたのですが、急転直下、KUCHENPROFI社

がZassenhaus社を買収することで、ミルの生産が再スタートします。
どうやら工場や職人はそのまま維持したようで、しかも品質もある程度まで回復。
現行品はひとまず「お勧めできるレベル」まで戻ってきてくれました。
良かった。KUCHENPROFI社さんありがとう。


それでも違う「オールド・ザッセン」

Zassenhausの中でも、ミル戦国時代(1950~60年代)のものは「オールド・ザッセン」と呼ばれます。

・木材は目が詰まった最高のものが使われ、現行品より(持ってわかるくらい)重い。
・刃は軍事技術を応用し、特殊鋼を精密加工したもの。
・回転軸の精度も抜群に良い。

これで挽いて美味しくないわけがありません。
※ちなみに現在の刃には、どのメーカーも基本的に高コストの特殊鋼ではなく普通の鋳鉄やセラミックが使われているようです。

良質の材木や塗装により高級感があるだけではなく、

・重いので、挽く際に本体が安定する
・研ぎ上げられた特殊鋼の鋭利な刃で「切る」ので、余計な熱を加えず、味の大敵「微粉」が発生しづらい
・軸が全くぶれないので、粒度が安定する

など、見た目の違い以上に性能に圧倒的な差があります。

伝わりづらいかもしれませんが、普通のミル(現行のザッセンも)は、「ゴリゴリ」と擂り潰している感触があります。
しかし、オールドザッセンは「シャリシャリ」と、刃が豆を切断している様子が感じられます。ハンドルを回す抵抗が違いますし、感触も全く別。

「挽いた瞬間の感触で、オールドザッセンかどうかは一発でわかる」というくらい挽き味が違うのです。

オールドザッセンは、既に製造から50年以上経過しているため、状態が良いものを入手することは難しくなってきました。
(やはり「日用品」ではあるので、使用されて消耗している)
ただ、やはり世の中には私のようなコレクターもいるわけで…(笑)状態の良いものも、まだ存在しています。


で、結局何を持ってるのさ?

はい、すみません💦
では、私の「オールド・ザッセン」コレクションの一部をご紹介します。

Zassenhaus MOKKAです。
当時のラインナップの中でも高級モデルでした。
斑模様が入った良質の木材が使われていますし、機能的な作り込みも素晴らしいです。
粉受けの中

そして、ハンドルのZassenhausの刻印。

更にもう1台。

MOKKAの姉妹モデル。
形は似ていますが、上の部分が金属製だったり、細部は微妙に異なります。

作り込みは負けず劣らず。
ほとんど使った形跡はありません。


他にもありますが、私の持っているモデルの中では最も状態が良いものかな、と思います。

共に使用した形跡がほとんどなく、デッドストックに近いです。
私も、もったいなくて使えずにいます(笑)

実はまだコレクションは続きます。
次回は少々変わり種。
モバイル用途のミルについて少し触れようかな、なんて思っています。
勿論オールドザッセンにもそういうミルが存在します。
キャンプで颯爽と取り出して使ったらかっこいいだろうなぁ…なんて思うミルですね。
次回、そのようなミルのいくつかをご紹介します。


おまけ

ちなみに、実はオールド・ザッセン、よく探してみると手に入れることもできます。
ただ、実用するなら「きちんとメンテナンスされた」ものを買いましょう!
やはり機械ですので、適切なメンテナンスがされていないものは色々と不具合があります。

こちらでは、分解整備をしたミルを販売されているようですね。
アフターケアもあるとのこと。こういったお店は安心できるでしょう。

価格も2万円しないものもあります。
率直に言って、新品で現代ものに1万円出すなら、もう少し奮発してオールドザッセンに行く方が私は良いと思います。
(勿論、新品がいい!という方もいらっしゃいますが、usedに抵抗がなければ是非!)

ミルは、適切にメンテナンスすれば一生もの。
一生ものに1万を追加投資してずっと美味しいコーヒーが飲めると思えば、高い買い物ではない気もします。


というわけで、今回はこれくらいで。
ここまでお読みいただき、ありがとうございました!



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