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防災士が選ぶ、防災グッズ①(身を守る)

ここしばらくは改元のニュースで影を潜めていましたが、年が明けてから頻繁に目にするのが災害関連のニュース。
特に、「南海トラフ地震」に関する内容は、科学的なものから予言やオカルトじみたものまで色々と目にします。

実は、そのことに関する全国版の予測図が、およそ年に1度発表されています。それは
『全国地震動予測地図』
「地震調査研究推進本部」というちょっと怪しげな名前の(?)組織が毎年出しているのですが、実はれっきとした公的な組織。
阪神淡路大震災を機に設立された、政府の特別機関です。

そこで注目されるのが、今後30年以内に震度6弱以上の揺れに襲われる確率を示したもの。
色が濃いほど確率が高いことを意味します。

結構色が濃いですね…(特に太平洋側)。

ちなみに、確率が
3%=1000年に1回程度
6%=500年に1回程度
26%=100年に1回程度

地震が発生するという想定です。

地震の発生確率では、
3%以上=「高い」
0.1%以上3%未満=「やや高い」
としていますから、
「26%以上」というのは「尋常ではない」確率なのです。

ちなみに、多くの方が気にされている南海トラフの発生確率は、

30年以内に発生する確率=70%~80%
10年以内=30%、50年以内=90%以上

やはり尋常ではない数字が出てきます。

こうなると、やはり、いつ起きてもおかしくない、という認識は間違ってはいないことになります。
となれば、一日も早く適切な備えをすることは、防災の基本である「自助(自分でできることをやる)」「共助(互いに助け合う)」を機能させるためにも必要になります。
以前から何度か触れていますが、「自分が備えていれば、周りも助けることができる」のです。

さて、今回からは何回かに分けて、私がおすすめする防災に役立つグッズを取り上げていきます。

私は無類の凝り性(コーヒーの記事をご覧になった方はおわかりかと思いますが(笑))で、自分で一度は買い、試してみないと気が済まないタイプでもあります。

そんな経験から、これは役立ちそうだと感じたものを、ジャンルごとにいくつかの記事に分けて紹介していきたいと思います。

というわけで今回は…「身を守るためのグッズ」です。

災害発生時、自分の身はまず自分で守らねばなりません。
そして、災害はいつ、どこで発生するかわかりません。
その辺りを踏まえていくつかのアイテムを紹介します。

1、頭を守るグッズ

人間の身体の中で、最もダメージを受けてはいけない場所が「頭」です。
頭を守るための代表的なアイテムが「ヘルメット」なのですが、ヘルメットにはひとつ、大きな弱点があります。
それは、「球形なのでかさばる」こと。
かといって、かさばらない「防災頭巾」はどうしても防御力の面で不安があります。

実は、「場所を取らないヘルメット」ということで、画期的なアイテムが販売されています。

収納時にたためる、その名も「タタメット」
首周りに防炎の布が装備したモデルが追加され、「タタメットズキン」という名前になりました。

防炎布のない「タタメット」

は安価なのですが、私は「タタメットズキン」を強くお勧めします。

この布の有無で、首周りの安全性が格段に異なります。
(つけてみた感じも、安心感がまるで違います)
1000円で命が守れると思えば安い…と思うのですが。

単品では収納袋がないのですが、別売で入手できます。

なお、組み立てには少々慣れが必要

なので、事前に練習はしておいた方がいいですね。
コンパクトに収納できるので、車の中や出先などに備えておくと良いと思います。

ちなみに、家でストックしておくのであれば

こちらもお勧め。
こちらは、「スタッキング」できる

というこれまた画期的なアイテム。

組み立てる必要がないというのは、特にお子様がいらっしゃる場合には良いでしょうし、とりあえず家族分をまとめて備えておくならこちらが良いかもしれません。
スタッキングできる分、かなりの省スペースになります。
しかも、カラーバリエーションが割と豊富なのもポイント。

白も良いのですが、個人的にはオレンジ

はかなり目立つのでお勧めです。
実際、夜間における視認実験でも黄色系(理想は蛍光イエロー)が最も目立つ、という結果が出ています。
黄色系のヘルメットは、夜間に災害が発生した場合にも役立ちそうですね。


2、足を守るグッズ

頭は、命に係わる部位ということで最重要ですが、災害時に損なってはいけないのが歩行能力です。
歩くことができなくなれば、行動にかなりの制約を受けてしまいます。

歩行機能を損なうきっかけになりやすいのが「踏み抜き」です。

特に地震の際には、外で散乱する瓦礫の中には鋭利なガラス片や飛び出した釘などの金具類などが散乱しています。
もし、それらを謝って踏んでしまったら靴底を貫通し、足にケガを負う可能性が高いですね。

家の中であれば「安全スリッパ」

という手もあると思います(上はLサイズ、下はMサイズ)。
スリッパは脱げやすいため、「無いよりは良い」という感覚です。

確実に安全に備えたいのであれば、室内であっても安全靴を用意したほうが確実ではあります(履けばそのまま外にも出られる)。

安全靴には、「鋼芯」と「プラ芯」の2種類があります。
名前の通り素材が違いますが、鋼芯は強度が高い分、重いです。
長距離を歩くことを想定すれば、プラ芯の方が防災グッズとしては適しています。

個人的には

これは(デザインはゴツいですが)お勧め。
重さや着脱性の良さなどをトータルすると、かなり良い製品です。
サイズ展開が22.5~30.0cmまでと幅広い点も評価できます。

ブーツタイプは安全性は高いのですが、やはり「動く」ことを考えると「スニーカータイプ」と「プラ芯」の2点は外せない条件になると思います。

ちなみに、重さなんて関係ない!という方には

こちら。
私も履いてみましたが、これはなかなか良いです。
ただ、サイズが25.0cmから28.0cmですので、男性向けを意識した商品ですね。

また、普段の靴に細工をして安全性を高めたい!という方は、踏み抜き防止用のインソール

という選択肢もあります。
靴底が固くなるので慣れないうちは何となく歩きづらいのですが、しばらく履いていると慣れてきます。
このインソールは、金属板ではないので履き心地は悪くないです。

こちらはステンレス板。
実際の性能にはそれほど大きな差はないのですが、金属板というのは何となく安心感があります。
どちらを使うかは、正直なところ好みの問題です。

ただ、普通の靴+インソールの場合、履いているのはあくまで普段の靴なので「動きやすい」というメリットと、「つま先や側面が全く守られていない」というデメリットがあります。

3、手を守るグッズ

そして、「手を守る」これも大切です。
自分でできることを減らさないためには、手の機能が保たれていることは必須ですね。

手を守るとすれば、最もお手軽なのは軍手です。
ただ、せっかくですのでただの軍手ではなく「防刃手袋」を用意すると一層安心です。

防刃性能を表すレベルが5であれば、切断に対する耐性はかなり高いものです。
残念ながら「刺す」場合には貫通してしまうことが多いのですが、普通の軍手よりははるかに安全です。

こちらの防刃軍手は、性能と価格を考えると良いです。

私はこの軍手と、万一に備えてさらに頑丈な金属メッシュを備えた

こちらも用意してあります。
金属メッシュの手袋なので、その丈夫さは言うまでもありません。

ただ、こちらは「片手で」この価格。
左右揃えると6000円近いので、コストパフォーマンスが悪いこと、両手に着けた場合、細かい作業はちょっと難しい点はデメリットです。
万一、危険な瓦礫を撤去するような「いざという時」に備えるグッズですので、単なる防災用としてはややオーバースペックとも言えます。

4、目と肺を守るグッズ

体の表面ではありませんが、災害時には意外に「埃」が問題になります。
東日本大震災の時のように原子力発電所の事故が発生すれば、放射性物質の懸念もありますね。
そうなると、「目」「肺」を守るグッズをそろえておくことも必要ですね。

目に関して言えば、ゴーグルが定番です。

この辺りが定番で、性能面を見ても間違いないところです。
こんなゴツくなくていい!という方は、草刈りなどの作業用や自転車用のゴーグルとしても普段使いできそうな

もお勧め。私も自転車に乗る時や作業時にお世話になっています。
収納に場所を取らない点も良いですね。

そして肺を守ると言えばマスク
これは、もうピンキリです(普通に売られているマスクでも、無いよりはよほどいいです)が、本格的に「防塵」を意識するなら

使い捨てタイプの防塵マスクがやはり良いですね(配ることもできます)。

性能面の完璧を追い求めれば

これは無敵ですね。意外に息苦しくない(激しい運動はちょっと辛いですが)のですが、さすがにこれはやり過ぎ感がすごい品物でした(笑)
余裕がある方は是非お試しを…とは思いますが、積極的にはお勧めしません💦


というわけで、頭、足、手、そして目と肺。
この5か所を守るアイテムを今回は紹介してみました。

皆さんの災害への備えのお役に立てば幸いです。
次回は、「インフラ」関係の備えについてまとめていきたいと思います。
ここまでお読みいただき、ありがとうございました!

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