今日はチャリで走っていると、
前を走っているチャリの人のエコバッグから


ストン


ネギが落下した。

あら。

私はチャリを降りてネギを拾う。

青ネギだった。

だいたいこういうの長ネギだけどな、と思いつつ、落としたチャリの人を追いかけることに。

私もチャリに乗っていてよかった。

前を見ると、チャリの人はちょうど信号で停車しているところだった。ラッキー。

すぐに追いついて、青ネギを渡す。

「落ちましたよ」

すると、チャリの人は振り返って青ネギをちらりと見る。

そして、

「人違いですよ」

と言う。

そんなはずはない。

さっきエコバッグから落ちる瞬間を見た。

「落ちてるとこ見ましたよ」

と言うと、

「ほんとですか」

と、さすがにエコバッグを確認し始めるチャリの人。

信号が青になった。

すると、

「あ、先行っといてください」

と、チャリの人。

気づかいはありがたいが、先行ったとて、と思ったので、

「大丈夫です」

と返す。

チャリの人は

「ですよね」

と苦笑いする。

私も苦笑いする。


引き続きエコバッグを探っていると、

「あっ」

と、チャリの人。

「ネギが無い」と言う。

やっぱり。

そこまで探さなくとも分かろう。

私は、

「やっぱりこれですよね？」

と青ネギを手渡す。

すると、

「それ以外ってありますか？」

とチャリの人。

これしか持っていないと伝えると、

「なるほど」

と返ってきた。

チャリの人は続ける。

「だって青ネギですよね？」

「青ネギです」

「…」

「…」

「…長ネギのはずなんですけどねえ」

「青ネギですね」


信号が青に変わる。

すると、チャリの人は

「そしたら人違いです」

と、ペダルに足をかける。

だから、人違いなはずはない。

落ちる瞬間を見たのだ。

チャリの人は、

「さようなら」

と、チャリで駆けていった。

行ってしまった。

しかしこうして私は青ネギをゲットした。

うれしい。

これでなんか薬味を作ろうと思う。

それでおうどんか何かを食べようと思う。

🎵