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若者の有意性検定離れ

っていうニュースがいつか出るのかな。

本日,Natureに以下のような意見が出ました。
Scientists rise up against statistical significance

これについてのエディトリアルも。
It’s time to talk about ditching statistical significance

52カ国,854人の賛同者が署名しており,私もしました

簡単に言うと,有意性検定やめようぜということです("Retire Statistical Significance")。そもそもこの問題については以前より脈々と議論が続いてきており,2016年のアメリカ統計学会 (ASA) の声明を皮切りに,有意水準を0.005にしようぜいやいやそれ本質的な解決にならんて (私はこちら側),などのやり取りが起こり,今回の意見に至りました。まあ言ってることはASA声明の繰り返しに近いのですが,一番はっきりした形での詳細な主張がなされたのではないでしょうか。

今回の意見ではp値を使うなと言っているわけではないことに注意しなければなりません。ある閾値を設けて二分法でその上下だから結論がこれキマリ!だとする考え方自体をやめようぜということです。0.005 vs. 0.05の勝負はどちらも二分法の時点でいかんということです。ベイズファクターも同様です。3以上(1/3以下)だからどうとかの閾値を設けて議論する点ではp値のときと一緒です(他にもサンプルサイズ依存の問題とかも)。データをより詳細に吟味して,仮説をその背景からつぶさに理解して,総合的に主張を評価するのが重要になるでしょう。

有意性検定が無くなった場合に面白くなりそうだなあと個人的に思うのが,事前登録(プレレジ)も不要になるんじゃないかという点です。あれはあくまで有意性検定で偽陽性が出まくるのを抑制するためのツールに過ぎないからです。論文で議論が十分に行われ,方法,素材,データ,分析が全て完全に開示されさえすればプレレジなくてもいいのかもしれません。その点ではeLifeの新しい解析再現フォーマットは助かるなあと思います。これは他雑誌でも流行って欲しい。ま,プレレジにもまだいろいろ問題あるしね(これとかこれとかでゆってます)。

というわけで今後が楽しみです。

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