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なぜ俺たちのシャドウバースはビヨンドするのか。その3~カウントデッキの功罪前編~

シャドバはエロメンコ笑
しかし、そんな呼び名はもはや遠い昔。今のプレーヤーは知っている。シャドバは紛れもない実力ゲーだと……!

というわけで、シャドバのゲーム性について考えていこう。なお今回のほとんどは筆者の主観であることを先にご了承いただきたい。
本記事では主にシャドバのゲーム性の転換点としてカウントデッキをテーマに述べる。


まずカウントデッキとは、以下のテキストを特長とするデッキである。

自分がこのバトル中に○○した合計が××以上なら、△△を持つ。

○○は、特定のカードを使用や、フォロワーが場を離れた回数など、デッキを特徴づける行動である。そして△△は「疾走をもつ」「リーダー付与効果を与える」「スタッツをあげる」など、いずれもゲームを有利に進める効果である。本稿ではこの効果を以後「カウント効果」と呼ぶ。
代表的なカウントデッキは、「出航の咎人・バルバロス」をキーカードとした財宝ロイヤルや、ラストワードの破壊枚数を参照するラストワードネクロなどである。

みんな大好き船長
KMRの女

カウントデッキのメリット

カウントデッキがゲーム体験にもたらすメリットは、序盤・中盤・終盤とメリハリがつきやすいことである。カウントデッキのゲーム展開は基本的に以下の流れである。

序盤:カウント稼ぎ
中盤:カウント効果発動・リーサル準備
終盤:リーサル

ゲームプランが明確になると、相手のカウント稼ぎ、リーサルをどうやって妨害し、いかに自分のやりたい事を押し付けるか?といった読み合いが発生する。
そこで、相手の盤面をあえてフォロワーで埋めてしまい、動きを阻害する盤面ロックなどのシャドバ独特の戦術が生まれたのである。
こうしてカウントデッキはシャドウバースのゲーム性を大きく向上し、競技シーンの手に汗を握る駆け引きを生み出した立役者といえる。

カウントデッキのデメリット

しかし、カウントデッキの台頭で弊害があったとすれば、それはロールプレイの没入感の毀損ではないだろうか。
分かりにくい表現となったため少し解説をしたい。
シャドウバースはそもそもエルフ・ネクロマンサー・ウィッチなどのクラスの特色に応じて戦うゲームであり、例えばウィッチは「序盤は弱い魔法を駆使し、終盤は育てた力を開放して(スペルブースト)、強力な魔法を使う」といったカード効果とロールプレイ要素が密接に関連している。ようはプレーヤーが魔法使いになりきる遊びができるのである。

みんなのトラウマ製造機

しかし、カウントデッキはこうしたロールプレイ性を薄め、カウントを稼ぐという記号的な行為へと単純化してしまった側面がある。
例えば、「森羅咆哮」に登場した「自然」カードは、「ナテラの大樹」の破壊枚数をトリガーにしている。

幾千万回切り倒された大木

しかし、プレーヤーはナテラの大樹の発動・破壊を繰り返していくなかで、どのようなストーリーを見いだせるだろうか?筆者はただ環境破壊をしている印象しかなく、自然フォロワーのカウント効果発動には違和感があった。
ただし、こうしたカウントデッキは概して没入感に欠けるとは言えず、完成度にバラつきがある。例えば「財宝ロイヤル」は、バルバロス達が7つの財宝を揃えて力を発揮するという、一連のストーリーが想像できるためにコンセプト的にも優れたデッキといえる。
また、耽溺の咎人・セフィーを主役とした「八獄ウィッチ」も、セフィーが人体実験に手を染める行為をフォロワー同士の融合で再現し、回数を重ねることで力を増していくという、キャラクターのバックグラウンドをうまく効果に落とし込んでいる。

かわいい顔して酷いことするのね

これらのデッキはゲームへの没入感を担保しつつ、かつ環境で戦える十分なパワーがあったという意味では、カウントデッキの理想形といえる(勿論好き嫌いはあるが)。
前回記事でシャドバユーザーの大部分は競技勢ではなく、キャラクターへの愛着が定着のカギとの持論を踏まえると、キャラのらしさが発揮されるゲーム性こそシャドバの発展において重要であり、先述した自然デッキのようにただ記号的にカウントを稼ぐデッキは、たとえ優れたゲーム性を有しているといえど、ライトユーザーの定着にはつながらないと考える。

「デッキを育てる」

さて、本稿では財宝ロイヤルや八獄ウィッチを良質なカウントデッキと定義しているが、実際こうしたデッキはキャラのコンセプト・ビジュアル、そして各カードの効果設定までを綿密に練り上げる必要がある。つまり運営の肝いりであり、毎パック安定供給することは難しいはずだ。
となると、私が運営に求めたいことは、「きちんとデッキを育てる」ことである。例えば「天下の大泥棒・ジエモン」をキーカードとした宴楽ロイヤルは、ジエモンをはじめとした義賊たちが金貨を集めて能力を開放するというストーリーがあり個人的には好きなデッキだったが、カードパワーが十分でないために脚光を浴びることはなかった。

アッパーされたけどね

たとえ魅力的なキャラクター・コンセプトを作り上げても短い期間で結果を残さなければすぐに埋もれ、忘れ去られてしまう。これは非常に勿体ない。別のカードゲームの話となるが、「遊戯王OCG」はデッキをうまく育てていくことで長年の人気を保った一例だろう。たとえば「ブラック・マジシャン」などの人気カードはデッキを定期的に(時には過剰だが)テコ入れし、現代の環境でも通用するように性能をアップデートしている。

俺の相棒、ブラック・マジシャン

巧みなのが、カード強化の中に原作漫画やアニメの再現を取り入れていることだ。これによってロールプレイの没入感も同時に増しており、遊戯王は所謂「ファンデッキ」が一つの楽しみ方として定着している。

こうした中で私がシャドバWBに期待したいのが、人気キャラを主役としたデッキを長期間使えるようにローテーション期間を拡張することである。現シャドウバースのローテーションルールでカードは一年弱で使用不可(ローテーション落ち)となるが、この短期間ではデッキのアップデートを行う間もない。
ローテーション期間の拡張はカードプールの増加を引き起こし、新規参入が難化する懸念もある。しかし、そもそも魅力的なキャラに乏しいカードゲームを人は遊びたいだろうか?
魅力的なキャラこそが新規参入の最大のモチベーションであり、それがあって初めてゲームを覚える努力が発生するのである。

シャドウバースの人気の源泉はそのゲーム性だけでなく、これまで作り上げられてきた多種多様なキャラクターにあるはずだ。キャラクターの選択肢を狭めることは、強力な武器を自ら細らせることに他ならない。

ふええ…またリーシェナたそを使いたいよお…

キャラクターのバックグラウンドをカウントデッキのゲーム性に組みこみ、ロールプレイの没入感を楽しめること
②環境変化に応じてカードを随時追加して、長く遊べるようにデッキのチューニングを続けること。

これが私がシャドバWBに求めるゲーム性である。
長くなったので次回へ続く…

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