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“目に見える世界なんて嘘だらけさ”

ストレイテナーの
“ CLARITY (クラリティ) ”という曲が好きです。

この曲は
私がはじめて聴いた
ストレイテナーの曲であり

今も、テナーの曲のなかで
いちばん好きな曲です。

ライブでよくやるタイプの
曲ではないので、
もう10年以上ほぼ毎年行っていても、
私がライブで聴くことができたのは
まだ2回くらいです。

それだけに、やってくれたときって
ほんとうにうれしいんですよね。
もううれし泣きです。


セルフカバーアルバムで
カバーされたこともあり、
そちらも好きですが、

私はやはり
4枚目のアルバム「リニア」の1曲目の、
ギターの音で静かにはじまる
この曲が好きです。

徐々に重なってくる
打ち込みのビートが
心臓の鼓動のようで

自分の心臓の鼓動しか聞こえない
暗闇のなかを
小さな光を目指して
ひとり歩くように
静かに進行してゆく

そして、
徐々に暗闇の出口へと近づくにつれ
あたりに光が満ちはじめ
高揚感と疾走感が
どんどん加速していき…

小さな川が、
大きな海へと流れ出るように
そこにたどり着く

長い長い旅を終え、
目指した場所に辿り着いたような
それとも還ってきたような

自分の身体が
透明な澄んだ空気に溶けて
どこまでもどこまでも
ひろがってゆくような


うまく言えないけれど、
この曲を聴くと
私はいつもそんな感じがします。


それから特に、
このころのテナーが
強く持っていた感じが好きです。

それは、
古い魔法のオルゴールを
そっと開けてみるような

夜ふけに
おもちゃ箱のおもちゃ達が
ひそかに、でも楽しそうに
くりひろげる小さなマーチングバンドを
そっと覗き見ているような

少しでも落としたり、
大きな物音を立ててしまったら、
たちまち魔法がとけて
もう2度と動かなくなってしまう

ささやかな、でも大きな
キラキラ輝く宝物のような魔法。

そんな感じがずっとあって、

CLARITY は、なかでもこの感じが
特に色濃く出ているように感じます。


トンネルの先にある世界は
どこなんでしょうか。

それはときに

現実に辿り着きたい外側の世界
かもしれないし、

内側に深く深く潜った先にある
心の中にある世界かもしれない。

トンネルは
内と外
どちらにも繋がっているから。


そんなことを考えていたらふと、
ミヒャエル・エンデの言葉を思い出しました。

長野県にある黒姫童話館という
ところに寄せたメッセージなのですが…

おまえは自分の知らないものにかんして
存在を認めません。
そしてファンタジーなど
現実ではないと思うのです。
でも未来の世界は
ファンタジーからしか育ちません。
私たちは
みずから創造するもののなかでこそ、
自由な人間になるのです。              サーカス物語より


 
外の世界を豊かにする物質が氾濫し、
目に見える尺度としての
自然科学思考が支配する現代、
私は「サーカス物語」で語られるこの言葉を、あらためてはっきりもちだしたく思います。
外側の進歩は
そのつど内側の進歩と手をたずさえ、
外なる価値にいつも内なる価値が
ふさわしく合致しているのでなければ、
このさきの物質文明は
人間をほろぼしていくでしょう。
つまり外部空間を征服すればするほど、
私たちは内部空間を
もっと強力に豊かにしなければなりません。


なんだか飛躍しているようで、

けれども私のなかでは
すべてがしっくり繋がるような
気がするのです。


あなたはまだ
知らなかったり
気づいていないかも
しれないけれど、

あなたが思っているよりもずっと、

あなたの持っている
あなただけが持っている世界は、

はてしなく深くひろく大きい。

どうかそれを
忘れないでいてほしい。

何度忘れても
何度でも思い出して、
そこへ還ってきてほしい。

そして大切にしてほしい。

あなたの世界をまもれるのは、
あなただけなのだから。


世界は
目にみえているものだけで
できているのではないよ。



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