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Sweet Berry Story 全曲感想

私は『山田玲司のヤングサンデー』(通称ヤンサン)というネット番組が好きで、オンサインサロンにも加入してます。2016年あたりからずっと見続けていて、2019年からはイベントに参加するなどしてファン交流も積極的に行っているところです。

そんな中、ヤンサン視聴者なら誰もが知ってる番組主題歌「Sweet Berry」を歌う野口純史さんが、2021年2月に待望のアルバム『Sweet Berry Story』を発売されました。
発売から約1ヶ月、通勤時間に本当によく聞きました。
何も考えずBGMにしたり、ふいに刺さってきた歌詞について考えを巡らしたり。そんな1ヶ月でした。ここ最近はご本人ともお話する機会があったので、ここで曲についての個人的感想を書いてみようかな、と思いました。

『Sweet Berry Story』とは

この作品はシンガーソングライター野口純史さん自らの恋愛にまつわる体験を元に作られているコンセプトアルバムです。アルバムを通して、ひとつの恋が始まり、そして終わるまでが、実に赤裸々に描かれています。
サブスクでも聞けるようになったので是非聞いてください。

なお本人によるセルフライナーノーツが公開されているので、こちらもぜひ読んで欲しいです。

ジャケットや歌詞カードのアートワークはヤンサンファミリーの方々が描かれていて、まさにヤンサンファン必見必聴の1枚となっています。
ここ数年、音楽はデータで聞くことが私の中でも主流となっており、正直最初はデータでの販売が始まってから購入しようかと考えていました。が、このイラストを見て、これは是非手にしたいと思い、CDを購入しました。
CDが届いて、開けた瞬間から、とても愛情込めて丁寧に作られているなあ、と感じました。プレイヤーにCDを入れて、歌詞カードを見ながら曲を聴くなんて数年振りで、ワクワクして、ああ、こういう気持ちって忘れてたなあ、と思いました。
野口さんと、ジャケットのイラスト等を描かれたハイテクメロンさんの対談動画も裏話満載でとても面白かったです。

1.はじまり

これから物語がはじまる、というアルバムのオープニング曲。
12曲目の『バイバイサンシャイン』のメロディーがピアノで流れます。はじまりの1曲なんだけど、ループして聞いてると、まるで13曲目かのように思える1曲。

2.Sweet Berry

ヤンサン主題歌コンペ テーマ「ラブソング」で野口さんが応募した1曲。
「好きな子のことを思って作りました。」という応募文章ですでにやられる視聴者たち、と、私(笑)そして流れる曲。なんて素敵な声なんだろう、と思ったのが最初だった気がします。それから繰り返し番組のOPで聞いた曲。
好きな子に、好きと伝えたい。
君も僕と同じ想いだったらいいのに。
そんな甘酸っぱい青春時代の片思いを思い出すかのような爽やかな曲。
私はこの曲を晴れた日の朝に聞くのが大好きです。

3.恋人繋ぎ

中盤のギターソロ前で「イェイ!!」って言うところで、通勤途中に笑みがこぼれたこの曲。
ディズニーランドにデートに行ったときの様子を描いた楽しい1曲です。
一緒にディズニーに行って、1日遊んで、陽も暮れてきたのに、彼女には全然そんな素振りが無くて。パレードの光に見惚れている隙に手を繋いだ。すると彼女は手を握りかえしてくれた。
想いが伝わった。彼女も同じ想いを返してくれた。
そりゃもう、「イェイ!!」って言うよね!!って。最高に浮かれてるのが最高に最高です。
友達でも、家族でもない異性に、自分が受け入れてもらえるってすごく嬉しいですよね。自分の好きな人が、自分のことを好きでいてくれるって、それはもう奇跡にも近い。
勇気を出して告白して良かった、そして、これからの楽しい未来が待ってる。
「ねえ ぼくらまだこれからさ」
という終わり方も好きです。
この曲を聴いていると、若い頃の、まだ恋に恋をしてたときを思い出します。30歳を過ぎて、恋愛って、ゴールは結婚か別れしか無いんじゃないか、と思うこともあって。勿論それ以外の形が沢山あることは分かっているんですけど、やはり30代女性に結婚という圧力があるのは事実で。この歳になると目も肥えて、自分の中での拘りとかも強くなってきて、人のマイナスな部分がすぐ目に付いてしまったりして、素直に恋をすることが難しくなってきているんですよね。そんな中この曲を聴くと、純粋に恋してドキドキしていたあの頃を思い出して、眩しくて、くすぐったくて。打算とか条件とか今後の将来とか、そんなことを何も考えず、「好き」と想える人がいるって、良いなあ。素敵だなあ、そんな恋がしたいなあ、と思わせてくれます。
1周目はすごく楽しい気持ちで聞いて、2周目はその後の展開が分かっているので、楽しさと同時に切なさも感じる、という風に初見と2周目以降で聞く側の気持ちに変化が生じるのが、このアルバムの面白さのひとつだと思います。

4.きかせて

ねえ、君の話を聞かせて。
ねえ、もっと君のことを教えて。
恋愛をしていると、相手のことを何でも知りたくなりますよね。
知らなかったことをひとつひとつ知っていけることの喜び。
そしてそれは反面、自分のことも知ってほしい、自分のことを受け入れて欲しいということでもあるのかな、なんて思います。
時系列的に付き合って1ヶ月くらいの曲なのかな、と思っていたら、告白する前に作った曲だと聞いて驚きました。
「君のことを愛してる」という最後のフレーズが、後々のフックになってるなあ、と思って、この曲を聴くたびにラストに反応してしまいます。

5.行方不明

女性目線で描かれた曲。電車に乗って、恋人をひととき忘れるために旅に出る。
これ、女性としてすごく分かるな~と思う曲でした。
私は恋愛体質では無いんですけど、付き合いたてのときに依存傾向が出る時期があって。寝ても覚めても、仕事してても、つい彼のことを考えてしまう瞬間があるんですよね。LINEの返事が無いだけで不安になったり、彼が今何しているのか把握したくなったり。(女性ホルモンによる情緒の乱れが不安感の原因だったりするんですけどね。)
これって依存傾向じゃないの!?と思って、考えないようにしよう、しよう、と思っても自然と考えてしまう。誰しもあることじゃないかな、と思います。
「あなたを忘れたい。あなたを忘れたいのに、どうして。」
電車に乗って、旅に出て、綺麗な景色を見て。
写真を撮って、見せたくなるのは、結局彼だったり、するんですよね。
ひとりで居るときは孤独なんかじゃなかったのに、あなたと出会ってから、ひとりでいるときが寂しく感じるようになってしまった。そんな女心も描かれています。

6.イケメンになりたい

彼女に「顔はやっぱりタイプじゃない」と言われた彼の心の悲しい模様をコミカルに描いた1曲。
切ないんだけど明るくて、クスっと笑えて、すごく好きな1曲です。
彼女はとくに何も考えず、自然と出た一言だったんでしょうけど、傷つきますよね・・・。分かります。
好きなアニメのキャラも、好きな俳優も芸能人もいますが、それと彼氏とは全く別。
そんなことは彼も分かってる。百も承知だと思います。
が!それでも傷ついてしまいますよね。
逆の立場で、もし私が彼に「顔はタイプじゃない」と言われたら、間違いなく傷つくと思います。彼が好きな女優の話してたら、「私と全然違うけど・・・」って思ってしまいそうです。
「ああ、一度でいいからイケメンになりたい」という歌詞が何とも切ない。
女性には、顔さえタイプなら何でも許せるという方がいるのは事実です。では私はというと、答えは否です。イケメンとお付き合いしたこともありますが、やはり言葉とか、考え方とか、感性・価値観・フィーリングが合う相手じゃないと関係性を続けることは難しいと私は感じます。この辺は人によりけり、ですね。男性側も意見が分かれるのではないかと思います。
私は美しいものが好きですが、美しいひとと付き合いたいか、と言われると、それとこれとはやはり別の問題なんですよね。
思えば好きなキャラとか、好きな俳優とか、見た目が好きだから好き、という人っていないような気がします。中身に惚れて、外見も好きになる。私はそういうタイプですかね。
あと、タイプ云々ではなく、単純に「君の顔が好き」って言われるのは嬉しいですよね。丸い顔が好きとか、笑った顔が好きとか。自分が自分の顔をあまり好きではないからこそ嬉しいし、顔って人それぞれ違って、自分オンリーなものなので、そこを好きだと言ってもらえるのは嬉しいです。
「タイプ」と「顔が好き」もまた違うものだなあ、と思ったり。この曲は色々考えさせらました。

7.ミッドナイト

「君がわからなくなる」
野口さんが彼女と喧嘩したあとに悶々としてできた曲、だそうです。このあたりから不穏な空気が流れ始めます。
同じ景色を見ていたと思っていたのに、君とぼくとはどうやら違うみたい。
生まれも育ちも全然違う他人と他人が、一緒にいると合わない部分は必ず出てきます。その衝突を解決するには、コミュニケーション、話すこと しか無いんですよね。
でも彼女は話を先伸ばしたり、口にしなかったり、はぐらかしたり。
彼女側の気持ちもとてもよく分かるんです。私もそういうところがあるので。
言いたいことを言えない。言わずに察してほしい。なんで分からないの?
そんなことを思っていたときが私にもありました。察しろなんて、言わずに分かって欲しいなんて、無理なんですよ。だって一緒に暮らしてる家族でさえ察することなんてできないのに!ということに気付くまですごく時間がかかりました。
自分の思いを正直に言ってしまったら、嫌われてしまうんじゃないか、という気持ちが強くあるんですよね。なぜなら、自分の性格悪い部分とか、汚い部分、弱い部分を一番知っているのって自分だから。それを全てさらけ出す必要は無いけれど、相手を信用して、言いたいことがあれば素直にぶつけても良いんじゃないかな。人は、好きな人をそんな簡単に嫌いにはならないよ、と、最近はそう思います。
歌詞には彼側も「弱いぼくのせいかな」と自身を責めるような描写もあって、私はこれを聞きながら毎度「もっと会話して、ちゃんと話さなきゃだめよーー!」と思ってしまいます。人にはアドバイスできるんだけど、なかなか自分のことになると難しかったりするんですよね。

8.ひとりごと

最初これを聞いたときは、あまりにしんどくて・・・。
名前が直接入っている歌詞に衝撃を受けました。
それまでは、とあるカップルの恋物語~という感じで、割とドラマっぽくフィクション、ファンタジーという聴き方をしていたけど、ここは一気に生々しくリアルになった瞬間でした。
まさしく赤裸々に、彼の日記をのぞき見しているかのような気分になる1曲です。手書きで書かれた歌詞が、より一層日記感を感じさせます。

9.それは悪い夢のように

とうとう訪れてしまった別れの日を描いた1曲。
別れを告げたのは彼女側ですが、なんとなく、そうなりそう、って彼は分かってたんですよね。そういうときって分かりますよね。
それでも、会話を引き延ばしたり、思い出話を楽しく話そうとする彼の姿がとても痛くて辛い。
恋の始まりや、楽しいデート、愛の言葉溢れる曲を聴いたあとに、まさかこんな未来が待っていたなんて。
でもね、きちんと会って、きちんと別れていて、すごく誠実なお付き合いをされていたんだなあ、というのが私の印象でした。
LINEのチャットで別れるとか、それさえもなく音信不通、なんて終わり方も恥ずかしながら私の経験上あるので・・・。
この曲だけ、歌というより朗読テイストで、他の曲と全く違って、新たな野口さん発見!と思いました。が、とにかくつらい1曲です。

10.loveless

彼女と別れたあとにすぐ発表された曲だそうです。
君がいなくなった部屋に残ったコーヒーの染み。ゆずの「悲しみの傘」を思い出した1曲でした。
私はひとつの恋愛が終わると、切り替えが早いタイプで、すぐ次に行こう!という感じで、引き摺ったりはあまりしないのですが、他の女性はどうなんでしょうか。こういう女性は多いような気がします。「女性は上書き保存」って言いますしね。
それでも、いくつかの別れを経験してきて、恋愛って難しいなあ、私には向いてないのかもしれない、もう傷つきたくないからひとりでいた方がラクかもしれない、と考えることがよくあります。
「また恋をして、言葉で繋ぎ止めて
何度確かめ合えたら ひとりが怖くなくなるのかな」
この物語の主人公も、傷つくことを恐れず、また恋をしてほしいな、と願うばかりです。

11.愛してるなんて言わないで

別れた彼女の目線に立って書かれた曲。
私の中では、4曲目きかせて。の「君のことを愛してる」がここに繋がるんですよね。
「愛してる」って、愛を語る最上位の言葉だから、それを言ってしまったらもう終わってしまうような気がして。だから言わないで。そっとしまっておいて。ゆっくり育てていこうよ。
この気持ち、少し分かるような気がします。
愛は言葉にせずとも、伝わるものだから。
でも結局言われたら嬉しかったりするもんで、本当に女心というのは面倒なものです(笑)

12.バイバイサンシャイン

このアルバムの最後に、この曲があって本当に良かった、と思います。
これはひとつの物語でした、と俯瞰した目線で書かれた曲です。
「経験だけが何かを教え
時間だけが全てを許す」
つらく苦しい時間もあったけれど、楽しくて幸せな時間があったのも事実。
あのときのことも、これからのことも、結局分からないままだけど、時間は進むし、季節は過ぎる。
そうやって君のいない日々が日常になり、またそれも移ろい変わっていく。自分自身も変わっていく。
人はそうして1歩ずつ前に、前に、進んでいく。
不器用でも、格好悪くても、進むしかないんですよね。
夕陽のようにも、朝日のようにも見えるアートワークのイラストがとても美しくて、切なく明るい曲にマッチしててすごく素敵です。

最後に

シンガーソングライター野口さんの私小説とも言えるこのアルバム。
1枚で1本の恋愛映画を見たかのような気持ちにさせられます。
私は普段終わった恋愛についてはあまり考えないようにしてますが、否が応でも引き寄せられるかのように思い出させられました(笑)
男性にも女性にも、きっと突き刺さる1曲があること間違いなしだと思うので、是非聞いてみてください。
曲を通して沢山思い出したり、考えたり。
アルバムを聴きながら本当に豊かな時間を過ごさせてもらいました。
聞いたあとは人と恋愛について語りたくなると思います。
オススメです!

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