ヴァサラ幕間記 〜フェスタ編

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第7世界モブと謎人物

 ここはウチの近所だ。公園のようなところで、たまに通りがかることもある。
人がいないわけでもないが、たくさんいるわけでもない。
 そして私は今、ここをこのまま通りすぎるかどうか迷っている。


 人少ないな。

思いながらぼんやり歩いていると、靴の違和感に気づいた。
 足元に目をやると右の靴紐が解けている。何故だかわからないが、今日はやたらとこっちの靴紐が解ける。家からここまでの間でもう3回解けていて、

 靴紐が切れるのは縁起が悪いっていうけど、靴紐解けるのは何なんだろう。

思いながら、思いっきりキツく結び直した。

 こんだけ結んどけば大丈夫じゃない?

 顔を上げた瞬間、木の根元が目に入る。
 が、私は、一回目を逸らしてもう一回そこを見た。

 …いるよね…

 今まで誰もいなかった木の根元に、真っ赤な髪の男性が突然現れていた。


 そして冒頭の部分に戻る。

 え、木から落ちてきたの?倒れてるんだけど死んでる?

 できれば死体などに関わりたくないのだが、もしかして死にかけくらいだったら、私の行動によっては生死を分けるかもしれない。
 しかし男性は異様に機敏に起き上がると周りを見回して、謎の言葉を呟いている。
やがて歩き出したので、何となく目で追ってしまった。

 なんか結構特殊な話し方なんだよな。そんなに歳でもないのに自称が「私」なのも珍しいんだよな。
「ここが黄泉の国か」
とか言っているが、それは違いますと、そこは全力で否定したい。
 だが男性はしばらくすると木の根元に戻って来た。やけにさっぱりした表情で、なんと昼寝をしようとしている。

 …寝るんならまあいいか。

 いい加減自分の用事に戻ろうと思った時、男性の頭上からファンシーな封筒が降って来て、私は思わずその木の樹冠を見上げた。

 …いや、誰もいませんけど?
 え?この木何なの?

 封筒には手紙が入っていたらしい。
その、どう考えても怪しい手紙を、男性は声を出して読み出した。
「親愛なるビャクエン様へ」
普通に読み進めているので、赤髪の男性の名前はビャクエンで正しいようだ。

「ようこそ〝第7世界〟へ」

 …ええー?ここってそんな名前だったっけ?

「第7世界?」とちょっと周りを見る男性につられるように、私も見回した。

「無数にある〝並行世界〟から様々な客人たちを招き、来る7月29日…」

 並行世界⁉︎7月29日⁉︎

 聞き捨てならない言葉を聞いてしまった。続きが気になりすぎる。
ドキドキしながら待っていたが、その後が一向に聞こえて来ない。

…そこで!黙読に切り替えますか…!?

「ディ・クリエイターより」
と、締めの所だけ聞こえた。


 男性が爽やかに笑いながら
「何のことかわからないが ━ 人命が懸かっているなら私は市民の為に立ち上がる‼︎」
などと言っているのが聞こえる。

 ちょっと待って欲しい。
この、どこから来たかもわからない誰かに、何で私たち市民が守られる感じに…?

思っている内に

「お主もここに迷い込んだのか」
「エイザン和尚!!!!!」

と、男性がどうやら昔からの知り合いに出会っている。

 …わあ、増えた…。
どこからともなく唐突に現れた人が増えた…。


「…って事がさっきあったんだよ」

 せっかく一生懸命話したのに、目の前の友人はどうでも良さそうにシェイクを啜っている。

「ごめん、ちょっと良くわかんないわ」
「だよね。私も良くわかんなくなったよ」

 返答が余りにも元気がなかったせいか、友人は慰めるように言った。

「まあほら、7月29日?とクリエイター?とかいう人はわかってるわけだし、その赤い髪の人も和尚さんも結構目立つと思うし。29日までにはまだ日があるしさ。その場所行ってみたらまた会えるかもね」

 また会いたいとか、そういう事でもないんだけど…。
うーんと私は考える。

 でも、ディ・クリエイターという人に並行世界の人が7月29日に呼ばれて、それがなぜか私たちの危機に繋がるなら、聞いてしまった身としてはこう…何かした方が良いのかもしれない。

 しかし、あの人たちどこに呼ばれるんだ…

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