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【ラーメン紀行神奈川版③】めめ編

さて、当サイトでは数少ない「企画モノ」である神奈川のラーメン屋紹介を始めようと思う。これまで「神奈川ラーメン紀行」と銘打って大和の高座渋谷、横浜の和田町で食べたチャーシュー麺を取り上げてきたが、今回は横浜西端の瀬谷区三ツ境、つまりおいらの地元で食べられる極上の一品について書いていこうと思う次第だ。

一応、過去にも我が街の麺事情は記事にしているので、そのリンクを貼らせていただきたい。


我が街三ツ境のラーメン屋事情を語ってみる。
https://note.com/momo19992000/n/n479a3905deb0?magazine_key=m63a788cf1723


また、神奈川も含めた総括的なラーメン屋事情については、こういう記事も書いているのでこちらもご紹介だw


横浜、神奈川のラーメン事情を軽く毒を混ぜてご紹介
https://note.com/momo19992000/n/nfdbd00316ae2?magazine_key=m63a788cf1723


●思わず食べたくなった「おふくろの味」●
慌ただしい12月が始まり、何かとざわついた日々になっているわけだが、今年はそれに医療事情が重なり、えらいことになっている。
というのも、先月入院して腹膜透析用「サイボーグパーツ」の使用を開始したところ、病院では何も問題なく運用ができていたものが、月が変わって最初の通院を終えたその日からなぜか不調に襲われている。具体的に言えば、透析液の出し入れが困難な事態が続き、遂に排水ができなくなってしまったのだ。こんな事態は当然初めてで、病院でも対処の仕方を指導されていなかったこともあり、パニックに陥った。しかも、発生したのが夜から夜中というタイミングで、病院へ指導を仰ごうと電話をしても、救急隊につながってしまい話が大きくなるばかりとなった。
仕方なく、翌土曜日の朝イチに病院へ出向き、サイボーグパーツの修理?調整か?を懇願したところ、結局は飛んだり跳ねたり押し込んだり、という力技でしか水を出す術がないということで、看護師や医者に散々腹を押されまくって帰宅することになった。

その道すがら、落ち着いたら今度は腹が減ったなぁ、と時計を見れば驚いたことに昼を過ぎていて、こりゃ何かうまい飯でも食って「うさ」を晴らすべきだと思った。慌てて部屋に戻っても、特に食い物を準備していたわけでもないし、ということで。
ただ、まぁ穏やかに週末を過ごそうとしていたはずが病院絡みの騒動になったし、気分は少々荒ぶっていたこともあり、上品に天ぷらそばでも・・・、という普通の選択へは進もうとは思わなかった。ここはやはり肉、しかもチャーシューで舌鼓をうちたい、ということで候補を探すことになった。

そして思いついたのが、知らない間にこの街の代名詞になりつつある台湾料理の店だった、というわけだ。
「めめ」というその店は、台湾の中年姉妹が切り盛りをしていて、町中華=おじさんが厨房に陣取るというイメージとは違う、なぜかおふくろの味が食える感が漂っている。いや、おいらは別に台湾人ではないのだけれどね、そういう気分になる店なのだ。

●ちょっと複雑な思い出のある店舗●
実は「めめ」のある物件は、昭和の昔も中華料理屋が入っていて、そこの子供がおいらのクラスにいた、という思い出がある。
とはいえ、友達で昭和の子供らしくライダースナックを一緒に買いに行ったり、ライダーカードを交換したり、なんてことをした間柄ではなかった。逆に、距離を置いてできるだけ接することがないよう腐心する関係だったのだが、その理由はラーメン屋の子供が暴れん坊だったからだ。
後に、どうしてそんな嫌われ者になっていたのかの理由もわかるのだが、当時は他人のものを貸せと言って了解を得ないまま持ち去ったり、自分がクラスで一番偉いと机の上に乗って叫んだり、という理解に苦しむ蛮行を繰り返すので、そばにいればその被害を避けられず、たいていは喧嘩になって担任の先生が仲裁に入る、という展開になる困り者という印象だった。
なので、おいらもよく絡まれたし、相手にしないでいるとバカにするなと殴り掛かられて、で担任の先生に迷惑をかけたことがあり、他の友達と同様にそいつにできるだけ近づかないように過ごしていた。

しかし、体育の授業で同じ組になってしまい、仲間外れにするわけにもいかないから、と面倒をみているうちに、友達になったと勘違いされたのか、今度はつきまとわれることになってしまった。
そして、自分の家はラーメン屋で、来れば何か食わせてやるよ的な話から、半ば強引に学校帰りに引っ張っていかれた。それが、令和の今は「めめ」が入っている店舗だったのだ。

まぁ、外観から汚い店で、とてもじゃないが繁盛などしていないことは昭和の小学生にもすぐにわかった。店の中は暗く、そいつが親父と一緒に厨房へ入って出されたラーメンもひどく不味かった。何せスープが真っ黒で、自分が知っているサッポロ一番な感じとは全然違い、食えと言われても箸を進めることができなかったほどで・・・。
それでも、そのしょっぱいんだか酸っぱいんだかわからないラーメンの麺だけを口に入れて、お礼を言って店を出たのだが、あのなんとも言えない殺伐とした気持ちが、暴れん坊であるそいつのイメージに重なり、かわいそうな奴・・・、という哀れみになっていたのが不思議だった。

種明かしをすると、そいつは在日3世で、それを知っている家庭では近づくなと親が子に指令を出していたらしい。それに加え、本人が傍若無人な俺様っぷりを発揮するので、差別だ蔑視だに関係なく、うまくいくなんて最初からありえない状況だったのだ。
3年になってクラスが変わり、それ以降は卒業まで一度も被害を受けなかった、というより顔も合わせなかったのだが、6年になるとそいつを巡る事件が起きたと学年で騒ぎになった。
今では教育問題になる事案なのだが、そいつの暴れん坊ぶりに手をやいた担任が、いくら注意をしても改善しようとしないそいつに業を煮やし、学級会でクラス全員による「無視攻撃」をしろ、と指示を出したというのだ。
そいつも頭を下げればいいものを突っ張ってしまい、本当にクラス全員での無視が始まったという。別のクラスだったおいらは、ベイ・シティ・ローラーズの話を隣の席の女の子としているような温い状況だったから、全員無視が余計に異様なものと映っていた。だからと言って、やめなよと無視当事者の友達に言うわけでもなかったのだが・・・。

結局、何日かしてそいつが職員室まで行って担任に謝り、無視攻撃は終了を迎えることになったらしいのだが、その担任も朝礼でそいつを前に立たせ、クラス全員に頭を下げさせたというから、どっちもどっちというか、よっぽど腹に据えかねていたということなのか・・・、まぁ、教育者以前の大人げなさだったよな、と伝え聞いた時には思ったわけで。

そいつは別の中学へ行った、ということを風の噂で聞いたのだが、気が付くとあの店がラーメン屋では無くなっていて、それを見てどっかに引っ越したんだな、と思い今に至っている。

●「めめ」はうまい●
さて、昔話が長くなってしまったので、令和の台湾料理へ話を戻そう。
店の中は清潔で、厨房前にカウンター席もあるのだが、基本はテーブル席を勧められる
(詳細に状況を書くと、4人席テーブル4、2人席テーブル2、カウンター3の計23席で稼働)。
当然ながら台湾ラーメンがこの店のメインメニューになるが、ここはその王道という感じで、まさに中国人の中華というべき細麺のストレートを繰り出してくるwこれが昭和ラーメンの郷愁へ誘うのだ。すぐ火が通り、簡単に伸びてしまうので、出来たら即「かっこむ」スタイルから、台湾の屋台で食べるイメージに重なるしね。
スープは澄んだ豚ベースの醤油味で、このところ家系のこってり豚骨醤油ばかり食べていたおいらとしては、懐かしさと言うよりも新鮮だと感じてしまうほどだ。
あまりにあっさりしているので、様子を見にきたママに「まさか鶏ですか?」と思わず聞いてみたところ、豚の塊肉を煮出しているということで驚いた。チャーシューを作った時の汁を転用?と更に聞いてみると、ラーメンとチャーシューは完全に別モノとして作っているそうで、特にラーメン用は煮出した後に一晩寝かせたものをベースにしているとのことだった。なるほど、その工程に時間をかける点がうまさの秘訣なんだと理解した。

おいらはチャーシュー麺を注文したが、スープも豚ということも相まって、画像のように3枚でも十分に豚を食ったなぁという気分に浸れる。
で、ママが言うには、チャーシューも日本のラーメン店のように寸胴でグラグラ煮ていくだけのものは単なる煮豚であって、チャーシューとは呼べないとお気持ち表明までされてしまったw

●食べログでの評価は3.47、ラーメン以外も食いたい店●
看板に台湾家庭料理としている通り、ラーメン以外のメニューも充実している。ウーバーイーツのCMでお馴染みになった魯肉飯(ルーローハン)も、この店らしい細かく挽いた肉がベースで、改めて角切り肉は野郎シェフによる野郎の為の飯なのだな、と感じさせられる。もちろん味は抜群で、人によっては新しい魯肉飯の魅力だと映るかもしれない。おいらも、次回は点心をおかずに魯肉飯をまたガツガツ食いたいと考えている。羽根つき餃子も、これが本物だ!アピールがあり、台湾の味を知るきっかけになるだろう。
食べログの評価も3.47と高く、もしかしたら三ツ境で一番の好評店かもしれない。接待で使える類ではないが、一家で食事をというのなら安易にファミレスへ行くよりここを選んで欲しい。また、彼女を連れてくれば、こういう店を知っているということで、アナタの株も上がるはずだ。
三ツ境もコロナの影響が上乗せされてシャッター街になりつつある側面があり、食いにいくならここ!という店がいくつも姿を消している。そんな中で「めめ」の奮闘は地元民の光だとも言える。一度足を運んでみていただきたい。

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