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負けず嫌いな6歳のキミへ

おもひでぽろぽろ

ついに明日から保育園生活ではなく、新一年生としての生活がスタートする娘へ。
7年間の思い出を振り返りながら、備忘録的な意味でお手紙を書いてみようと思う。

キミが生まれたのは、6月の晴れた日だった。
痛みに弱いママは、前駆陣痛でビビりまくり、ばあばから
「まだまだ本陣痛じゃないから大丈夫」
と軽くあしらわれながら過ごしていたよ。
だけど予定日になっても全くでてきてくれなかったから
結局陣痛誘発剤を飲み、入院から始まった出産だったんだ。

それでもまったく出てきてくれなかった君の心臓が、
おなかの中で一度止まってしまったんだ。
あの時の心電図の電子音は一生忘れないと思う。
その時はすでに24時間くらい、泣きながら、吐きながら
陣痛に耐えた挙句だったから、思考回路も停止して、
とにかく早く、キミを助けてほしかった。

そんな状態だったから、よくドラマで見るような、
おなかから出てきてくれた時の産声はなくて、産まれたのかどうか分からず
意識がもうろうとするなか「私の赤ちゃんは?」って助産師さんに聞いたことを覚えてる。

その場ですぐに蘇生され、しばらくして、キミの声を聞いた時、
何とも言えない安堵感を味わった。少し体重も小さめで、1日だけ保育器に入っていたキミを抱っこできたのは、出産して丸1日経ってからだった。

そんな君は、げっぷをするのも、おっぱいを飲むのもとっても上手で
夜泣きもほとんどなく、とってもとっても手がかからない赤ちゃんだった。

それでもママはね、なんでも難しく考えてしまったり、小さなことをとても重く受け止めてしまう多感な性格なもので、ママはママなにりたくさん悩んでたくさん泣いていた。
だけど離婚すると決まったときは、キミを守らなきゃという一心で、辛さよりもこれから先を考えることに一生懸命だったから、あんまりくよくよ悩みはしなかった。

それからはずっと、今も、ばあばとボスとねえねに助けてもらってキミを育ててきた。100日も、ハーフバースデーも、お食い初めも初節句も、1歳のお誕生日も、全部全部ママ一人じゃ存分に祝ってあげられなかったかもしれないけれど、ばあば達のおかげで、たくさんたくさんお祝いしてもらっていた。本当にありがとうって、ばあば達に言わなきゃいけないね。

シングルマザーになってからのママは、本当に心に余裕がなかったと思う。
赤ちゃんのキミにイライラしてしまうときもあって、そんな自分が自分で理解できず、自己嫌悪に陥り泣いて、そんな日々を繰り返していた時期もあった。
それでもいつも、とびっきりの笑顔でママを元気づけてくれていたキミは、いつも今でも、ママに無償の愛を与えてくれているね。

ママが帯状疱疹になったときのこと覚えてる?覚えてるわけないか。まだ2歳くらいだったもんな。水疱瘡になってない子供は移ってしまうから、絶対に触らせないように、って病院から言われ、まだ小さいキミにそれを分かるように話し、耳に出来た帯状疱疹を触らせないために、満足に抱っこしてあげられなかったあの1週間は、本当につらかった。
弱いママで本当にごめんね。

3歳の時、キミが熱性けいれんで意識を失ったこともあったんだよ。
目の前でガタガタ震えだし、目線が定まらず、ガクっと全身の力が抜け意識を失った時は、生きた心地がしなかった。今でもママは、キミが発熱と聞くとドキっとして不安になる。ママがいつも「おなかだけでもいいからお布団かけて!」「あと10秒お湯に浸からないとお風呂あがっちゃダメ!」「寒くなるって天気予報で言ってたから上着もっていって!」「おやさい食べないと元気な体にならないよ!」とかうるさく言うのはね、キミのことが心配だからだよ。

だけど6年間の保育園生活で、2回の転園を経験したキミは、ママが思っている以上に強く、たくましく育っているなと、最近はすごく思うようになった。
家ではわがまま言い放題の一人っ子お嬢様なキミだけど、内弁慶でなんでも真面目に一生懸命取り組む性格で、外ではとっても「いい子」だと評判です(笑)でも最後の保育園に移ってから、ちょっとキミに変化が現れた。
今までは、人前は苦手、負け戦はしたくない(それは今もそうだけどw)からなんでも挑戦してみない、自分の意見は言わない子だった。
それが、人前でも堂々と、なんでも挑戦してみれるようになって、自分の意見をハッキリ言えて、負けないために影でちゃんと努力できるようになった。ひとつひとつ成功体験を自分で積み重ね、頑張ればできるようになるかもしれない、と自分で気づけたのかな?とママは思っているけど買いかぶりすぎかな(笑)
自由に子供らしく育ててくれる保育園で、たくさんの気の合う友達もできたおかげで、少しづつキミは成長していったなと思う。

そうそう!初めて人の顔が書けるようになった時、ちょうど誕生日の時期で。
4歳の誕生日だったかな?初めてママの顔を書いてくれたの。ママすっごく嬉しかった!ママが喜んだからか、キミはそれから本当に絵が大好きになり、気が付くといつもたくさんのお絵描きをする子になっていった。
スケッチブックは、いつも買ってすぐに書く場所がなくなって、書き終わったスケッチブックがいったい何冊あるだろう。ただの裏紙に書いてくれた絵も、いっぱいファイリングしてあって、家じゅうキミが書いた絵がいたる所に貼ってあって。最近は、色んなアイディアで、ペンやクレヨン以外のものを使って絵を作ったりしていて、とにかく何か創作しているときは、まったくママの声が耳に入らなくなるくらい没頭してるよね。
これからも、描きたい時に描きたいものをたくさん書いてね。ファイルとスケッチブックがもっともっと増えるのを楽しみにしてるよ。

文字が書けるようになってからは、毎日毎日お手紙を書いてくれていた時期もあったね。「ままだいすきだよ」「ままあいしてるよ」「ままのごはんおいしいよ」「ままおしごとがんばってね」どの言葉も、ママは嬉しくてうれしくて、ママが毎日がんばれる活力になってるよ。ママのお誕生日に書いてくれたお手紙も、嬉しくてママ泣いちゃったよね。

お手紙以外でも、キミが紡ぐ言葉たちは、いつもいつも温かくて、正しくて、愛にあふれている。キミのおかげで反省させられたり、気づかされたりすることもたくさんあって、本当に尊敬している。あまりにも大人のようなことをいうときがあって、「もしかして本当にももちゃん(キミのひいおばあちゃん)の生まれ変わりじゃないよな?」と思うときがあるくらい。
だけどたまに思い通りにならなくて、人に強くて悪い言葉をはなってしまうときがあるから、キミに叱りながら「ああ、ちゃんと子供だった」と思ったりもする(笑)
最近は本当にいろんなお話ができるようになったから、キミとの会話はとても楽しくて、ご飯を食べるとき、車の中、温泉に入っているときのキミとのお話時間はすっごく楽しみなんだ。

最近たくさん話をしていてすごく思うことがある。
それは、ママと似ているようで全然違うって事。
もちろん、似ているところもたくさんあるんだけれど、違う所のほうがたくさんあるなって思う。
「へぇ~そんな風に思うんだ」って感じることがよくあって、キミはもう立派な一人の人間で、ちゃんと自分の意志があるなって思うのだ。

ママはね、基本的にはキミの意志を尊重したいと思っている。
キミがどうしたいか?それが一番大切だと思ってる。
この前スイミング続けたら?って言うママに
「私のことをママが決めないで」って言われて、はっとした。
つい、大人は子供に「口出し」してしまうけど、それはよくないなって思った。誰だって、勝手に決められたらいやだよね。ごめんね。
ただね、「助言」はこれからもずっとずっとさせてほしいんだ。
だってキミのことが心配で大切でたまらないから。
負けず嫌いで、頑張り屋さんで、頑張りすぎてしまうキミだから、
頑張りすぎていることに気が付かずに、ママみたいに帯状疱疹になったり、事故を起こしたりして、危険な目に合ってほしくないから。
だから「少し休んだら?って声をかけたり」とか「手の抜き方」とか
そういう「助言」は許してね。
本当はそんなことも言わずに放任する方が、キミにとっては「力」になるのかもしれないから、ぎりぎりまでは我慢するね(笑)

だけど、本当に覚えておいてほしいことがある。
これから小学生になって、いろんな新しいことと出会っていくの。
知らない事、知らない人、初めてのことがたくさん待ち受けてるの。
そんな時まずは自分でなんでもやってみる、挑戦する気持ちはとっても大切。それと同じくらい「人の話を聞くこと」がとっても大切になるの。
最後に決めるのは自分でいい。むしろ自分が決断しなくちゃならない事が人生にはたくさんある。そんなときにキミに「口出し」してくれる人がきっとたくさんいると思うの。その他人の「口出し」をないがしろにするとね、本当にアドバイスが欲しい時、だれも何も「口出し」してくれなくなるんだよ。大人の世界には「人から何も言われなくなったら終わり」って言葉があるの。周りからワーワー言われて、「うざい!!」って思うことが山ほどあると思う。でもね、それはキミのことが大好きで心配だからいうんだよ。どうでもいい人、嫌いな人とはお話したくないから、「口出し」すらしないんだよ。だんだん大人になると人から怒ってもらったり、指摘してもらったりすることがなくなっていってね、ダメな自分に気づけずに、後になって自力で向き合い苦しむことになっていくの。

だからね、どうか覚えておいてほしい。「人の話を聞く」聞く耳を持つことが、とっても大切だから。負けず嫌いなキミは、きっとそれがとっても苦手だと思うから。これはママからの「口出し」。

でもね、結局はキミがきみらしく生きていくことが一番大切だとママは思っている。
たくさんの人に愛されてほしい、キラキラ輝いていてほしい、キミに「こうあってほしい」と望むことはたくさんあるけれど、でも結局はキミが幸せなのが一番なのさ。たくさんの人に愛されなくても、キラキラ輝く人生ではなくても、キミが幸せならそれで充分なのだ。

いったいどんな大人になっていくんだろう。想像するとワクワクする。
今でも楽しい会話が、大人になったらどれだけ楽しさが増すのだろう。
はやく一緒にお酒を飲めるようになってほしいな。キミと飲むお酒は、今までのどんな飲み会よりも、どんな高級なお酒よりも、各段にうまいと思うんだ。
20歳の誕生日には、温泉入って灯台の下で、乾杯でもしようね。

ママはね、これからはお仕事する時間を増やしていこうと思ってるんだ。キミのためでもあるけど、自分のため。キミのためっていうとプレッシャーに感じてほしくないし、本当にママがやりたいことがあるから。
だから、これからはキミと過ごす時間を”量より質”を今まで以上に大切にして過ごしていきたいと思う。
でも寂しい時はちゃんと教えてね!その時は、仕事を置いてキミと過ごせるように時間をちゃんと作るから。当たり前だけど、ちゃんと作るから。気を遣わないでちゃんと教えてね。

ママにとって、キミが初めてのことはママも全部初めてだから、これから一緒にいろんなことを乗り越えて、楽しい人生を作っていこうね。
いつか来る、キミがママの元を離れるその時まで、ママはなんでも全力でサポートするから、それまでは、たくさんの思い出を作りながら、毎日楽しく過ごしていこうね。

最後に、

愛してる。ママをママにしてくれて、ママの元へ産まれてきてくれて本当にありがとう。


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