ちょうどその頃がいちばん燻っていたように思う。同じ日に入社したはずの同期が、わたしより一年も二年も早く昇格していき、インスタを開けば誰かの結婚式の様子や海外出張のストーリーが流れる。それら一つひとつが人生のすべてではないと分かっていたけれど、一つひとつが重なるとそれがすべてであるように思えて、とにかくもやもやしていた。
ちょうどその頃に、わたしは「悔しいわ」のMVを観た。

図星。
アイドルって「陰キャラ」とか言ってもよかったっけ、と戸惑うくらいにストレートな歌詞が、わたしにまとわりついていた劣等感をこれでもかというくらい丸裸にしていく。

ああ、分かる。めちゃくちゃ分かる。
多様性の時代。複数の正解がある時代。わたしのどれもが正解じゃないように思えるのが、とにかく。
悔しい。
成功しているように見える誰かの揚げ足をとって貶す言葉でも、ただ腹立たしいというシンプルな感情の吐露でもなく、行き着く果てを「悔しい」と表してくれたことに妙に救われる思いだった。

そうか、わたしは悔しかったのか。

思えばはっきり「悔しい」と思っていたのは、制服を着ていた頃ばかりだった。
優秀なクラスメイトにテストの点数で負けて悔しいとか、試合に負けて悔しいとか、朝電車に乗り遅れても悔しいと思っていた気がする。
そして悔しいと思うたびに、次こそ、と、気持ちは明日を向いていたように思う。
わたしが今抱く無数の劣等感もまた、あの頃と同じ言葉で形容できるなら、もしかしたらわたしは前向きになれるのかもしれない。

とはいえ、この歌が「だから明日も負けずに頑張ろう」とか「未来は明るいから気持ちを切り替えよう」とかいう展開を見せたら、そこまではきっとついていけなかったと思う。

「悔しいわ」というタイトル通り、テンポよくただ悔しい、を繰り返して終わる。
天邪鬼だけれど、悔しい以上のことを言われなくて、すごく助かる。
わたしより輝いて見えるあの子がわたしより頑張っていることくらい分かっているから、今はただこの悔しさに寄り添っていてほしい。その距離感が心地よくて、背中を押されない代わりに自分で立ち上がる気になれる。
きっとずっとこの歌に励まされて生きていくんだと思うし、この歌に励まされる自分でいたい、と思う。

そして、わたしにとって大事なのは、この歌がわたしを救ったのか、アンジュルムが歌っていたから救われたのか、ということ。
たぶんどちらも、だと思っている。
名前が変わっても、メンバーの卒業と加入を繰り返しても、自分を愛し、互いを愛し、わたしたちであることを尊重してきたアンジュルムが、嘘のなさそうな歌声で「悔しい」と正々堂々歌ってくれるから救われたのだと思う。

そんなアンジュルムからまたひとり。
エースとも言うべき佐々木莉佳子さんがこの春卒業されます。
一度ステージに立てば老若男女を釘付けにするパフォーマンス。
一度MCで話せば老若男女を笑わせるユーモア。
佐々木莉佳子さんのどんな瞬間も、アンジュルムにあってうれしい。
またひとつの節目を迎えるアンジュルムの春ツアーが絶賛一般販売中ですので！ 何卒！！！！！！！！！！！！！！！

◆イープラス
▼今からでも応募できる公演(一般、抽選含)
4月21日(日) 仙台公演
4月27日(土) 広島公演
4月29日(月・祝) 高知公演
5月11日(土) 北海道公演
5月25日(土) 福岡公演
5月26日(日) 熊本公演
▼ここから申し込めます！

https://eplus.jp/sf/detail/0432800001

初日今日なのでこんなに語った「悔しいわ」がセトリに入ってるか分からないんですけどね！
「悔しいわ」があってもなくてもアンジュルムは素晴らしいので！
よろしくお願いします！！！