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【無料掛合台本】パセリ(♂3)

2400文字程度。少しギャグっぽい台本です。
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https://note.mu/momoka_ueno/n/n938a7e38eee6

全員中学3年、普段から仲の良い3人組。
・佐々木 常識人。はっきりものを言う。どちらかというとツッコミ。
・吉田 さっぱり。少し毒舌。空気が読めない。
・工藤 ちょっと熱い。めんどくさい性格。いろいろ鈍感。


場面:校庭の掃除をしている吉田と工藤

工藤「はぁ、校庭掃除っていったいどこからやればいいんだよ。」

吉田「……」

工藤「吉田? なんだよ上の空で。」

吉田「あ、ごめん。さっき給食ででたフォーが美味かったなーと思い出してた。」

工藤「うえ。吉田よく食えるよな。俺あの匂い苦手。」

吉田「あの匂いがいいのに。皆損してるよ。」

工藤「お前とは一生分かり合えないな。」

吉田「ま、掃除しようぜ。佐々木は少し遅れてくるって言ってたし。先に始めよう。」

工藤「あいつ何やってるんだよー。しゃーねーな。俺こっちの落ち葉掃くわ。」

吉田「おー、頼んだ。」

工藤「目立つとこだけやっときゃいいだろ。って、わ!」

吉田「どうした?」

工藤「猫だ!」

吉田「あ、ほんとだ。あーあ。校舎裏の方行っちゃった。」

工藤「吉田、見たか? あの猫、なんか食ってた!」

吉田「あー、なんか咥えてたな。」

工藤「あれ、パセリだった!」

吉田「は?」

工藤「あの猫パセリ食ってた!」

吉田「いや、猫がパセリなんか食べるわけないじゃん。」

工藤「俺見たもん。」

吉田「工藤の見間違いだろ。」

工藤「いや、あの緑のトゲトゲした葉っぱは絶対パセリだって。」

吉田「トゲトゲだからってパセリとは限らないだろ。」

佐々木が遅れてやってくる。

佐々木「ごめん、遅れた。って、掃除当番が何立ち話してるんだよ。」

工藤「おお! 佐々木、いいところに来た。おい吉田、この際だから白黒つけようぜ。佐々木はな、専門家なんだ。」

吉田「専門家? いいぜ、聞いてみろよ。」

佐々木「は、何? 勝手に話を進めないでくれる?」

工藤「佐々木、正直に答えてくれよ。」

佐々木「だから何のことだよ。」

工藤「さっきここを通りかかった猫がパセリを咥えてたんだ。俺は見た。でも吉田は猫はパセリを食わないとか言うんだぜ!」

佐々木「猫がパセリ……」

工藤「お前んちの猫、パセリ食うだろ?」

吉田「猫がパセリなんか食う訳ないよ。な?」

佐々木「……。」

工藤「おい、黙ってないで答えろよ。実際どうなんだよ?」

佐々木「いや、わかんねーよ。」

工藤「お前猫の専門家じゃないのかよ、なんでわかんねーんだ。」

佐々木「猫は飼ってるだけだよ。専門家じゃない。工藤が勝手に言ったんだろ。」

吉田「なんだよー。専門家じゃないのかよ。」

佐々木「いや、吉田も信じるなよ。つーかそもそも猫にパセリなんか食わせた事ないし。」

工藤「ちぇ、つまんねーの。」

佐々木「なんだよ勝手に巻き込んでおいて。」

吉田「でも早く終わらせないと本当に詰まんないことになるよ。」

工藤「え? どういうことだよ。」

吉田「校庭掃除、やること沢山あるから。終わらなかったら昼休み中ずっと掃除。」

工藤「まじかよ! あと5分しかないじゃん。手分けしてとっとと終わらせようぜ!」

佐々木「ああ。」

吉田「あ……。」

工藤「どうしたんだよ吉田。早く終わらせようぜ!」

吉田「……なぁ佐々木、今日掃除に遅れた理由、教えてくれてもいいんじゃないか。」

佐々木「……え。」

工藤「あ、確かに。お前がもう少し早く来てればもう終わってたかもしれないよなー?」

吉田「相沢さんか?」

佐々木「……」

工藤「え、なんだよ。相沢さんって。え、どういうことだよ、佐々木! 吉田!」

佐々木「吉田に隠し事はできない、か……」

工藤「お、おいなんだよ、教えろよー!!」

吉田「工藤、佐々木がクラス委員長の相沢さんを好きなことは知ってるだろ。」

工藤「え、あ、ああ(初耳)」

吉田「今日の給食当番、誰だったか憶えてるか?」

工藤「給食当番……。あ、相沢さんの班!」

吉田「そうだ。だから佐々木は、一番遅くまで給食をたべ、給食当番の相沢さんとともに給食の片づけをしていた。それで掃除に遅れたんだ。」

佐々木「……」

工藤「佐々木、お前……。頑張ったんだな!」

佐々木「いや、頑張ったとかそういうのじゃ」

工藤「いや、頑張ってパクチー食ったんだろ? 相沢さんに食べ残しがあるところ見られたらかっこ悪いもんな!」

吉田「佐々木パクチーダメじゃなかったか?」

佐々木「パクチーは残した……。てかなんで給食にフォーが出るんだよ。ありえん。」

吉田「俺は好きだけどね、パクチー。」

工藤「佐々木、お前、食べ残したのか!」

佐々木「いや、ティッシュによけた。」

工藤「持って帰って証拠隠滅か!」

佐々木「さっき木の陰に埋めてきたよ。」

吉田「言ってくれれば食べたのに。」

佐々木「ほんとかよ。」

吉田「嘘だけどね。」

佐々木「……もういいだろ、この話は。遅れてきたことは謝るよ、ごめん。」

工藤「まー、俺もピーマン出たら同じことしてたかもな。こればかりは仕方ない。」

吉田「謝られたら許すしかないな。」

工藤「さ、はやいとこ終わらせようぜ。って、あ!!」

吉田「今度はなんだー? またパセリを咥えた猫か?」

工藤「そうだんなんだよ!こっちに来る」

吉田「あ、ほんとだ! さっきの猫が……佐々木のほうに」

佐々木「ん、なんだ? お、パセリ!」

工藤「パセリ? 今パセリって! やっぱり俺の目は間違っていなかった!」

吉田「そんな」

佐々木「パセリお前、学校までついてきたのか?」

吉田「……佐々木、その猫?」

佐々木「ああ、うちの猫。パセリって言うんだ。」

吉田「パセリって、猫の名前……?」

工藤「名前かよ、ややこしいな! でも絶対パセリ食ってるんだよ! パセリがパセリ食ってるの!」

佐々木「食ってる? あ、ほんとだ……。うぇ。このにおい……」

吉田「この香り! これは、パクチーだね。」

工藤「へ?」

吉田「そうか、佐々木が埋めたパクチーを、この猫が食ったのか。それを工藤がパセリと勘違いして……」

工藤「そんな! 全部佐々木のせいかよー!」



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